19世紀英国予約購読形式出版と読書施設の相関が文芸出版文化の興隆に果たした役割
Project/Area Number |
19K00413
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小林 英美 茨城大学, 教育学部, 教授 (70277862)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2019: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | 19世紀 / 英国文学 / 読書文化 / 出版文化 / パトロン(出資者) / 会員制有料図書館 / 予約購読形式出版 / 文学受容研究 / 19世紀イギリス文学 / 読者層 / ニューヨーク / アイルランド / トランスアトランティック / 予約購読形式 / 読書施設 |
Outline of Research at the Start |
18世紀末から19世紀前半の文学研究において十分に進んでいない課題の一つが、予約購読出版を中心にした読者層と文学の相互影響関係の研究である。書籍に印刷された購入者情報を手掛かりにした研究で、読者層の嗜好や人脈、出版戦略等、研究応用範囲は広いが、十分な研究がなされていない。本研究は予約購読者層と会員制有料読書施設の相関関係に注目する。応募者が構築した予約購読者情報データベースと読書施設会員名簿、そして出版社アーカイヴを合わせて分析し、多様で小さな需要と供給を叶える上掲二つの読者層の連関が、同時代以降の文芸・出版文化の多様性と柔軟性を生成するのに果たした起点としての役割を、実証的に明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は3つに大別できる。第1には会員制有料図書館における文芸嗜好の研究である。昨年度から継続している研究である。現地図書館等での一次資料の閲覧と収集が、今年度もパンデミックに起因する渡航制限で実施できなかったため、昨年度と同様にGoogleBooksや古書のリプリント、オンライン上のアーカイブ調査を続行した。なお昨年度から追加のスコットランド、アイルランド、そして北部イングランドの図書施設についての情報収集は国内での調査のみで、現地調査が出来なかったために遅延しており、次年度に続行することになった。第2には、昨年度の研究を発展させた「読者コールリッジの成長―定期刊行物と図書施設の影響」がある。昨年度の論文では「ノッティンガム・ブロムリーハウス」に代表される地方都市の図書施設と読者層の拡大を取り上げたが、上記研究発表では詩人コールリッジが利用した図書施設との関係だけでなく、ノッティンガムの読者層と彼との関係も追及し、図書施設を媒介にしたネットワークについて論じた。第3はケーススタディで、19世紀初頭に読者の人気を博した「偉人」を主題にした作品についての文芸嗜好研究である。「ロバート・サウジーの「戦う偉人」―『ワット・タイラー』、『ジャンヌ・ダルク』、そして『ネルソン伝』」において、読者の人気と出版事情、そして読書施設の相関関係を論及したが、特にフランスのジャンヌ・ダルクについては、前年度の海外(ドイツ)文学作品嗜好の研究の派生事例にもなった。これは2023年度からの基盤研究(C)に引き継がれるものである。今年度の現地資料調査が十分に実施できれば、研究計画の遅延を取り戻すことができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ禍とロシア・ウクライナ問題の影響により、海外渡航が計画立案時のように容易ではなくなった。オンラインや研究書籍での調査も可能な限り行ったが、イギリスの図書施設の対象蔵書の状態の仔細を確認するには限界があったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の中核となっている現地調査を円滑に遂行するためには、計画の2年間の延長(そのうち1回分は23年度分として認められた)が必要であると考える。校務の都合もあり、1回(1年)に集約することは容易ではない。またこれまでも現地調査の代替として、オンライン上の資料と先行研究の収集と分析・検討を行っているが限界がある。 新型コロナウイルスの蔓延の動向は小康状態に向かう傾向があるが、ロシア・ウクライナ情勢に起因する政情によっては、実施計画の延長又は渡航の断念を検討せざるをえない。なお現地調査を見送ることになった場合は、引き続きオンライン資料と先行研究の収集と分析を行うことを計画している。
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Report
(4 results)
Research Products
(6 results)