Project/Area Number |
19K00485
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
吉澤 英樹 南山大学, 外国語学部, 教授 (30648415)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 社会芸術 / 文学史 / 美術史 / 映画史 / 文学の社会的機能 / アール・ソシアル / 1930年台の文学史 / サンディカリスト / ネオユマニスム / 狩猟権力 / 情動的レアリスム / 自然主義文学の継承 / 非政治的プロレタリア / 文学の民主主義 / 共和国市民の文学 / 真正さ / インターナショナリズム / 新しい人間観 / 1930年代 / ポピュリズム / 植民地 / 人類学的視点 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、フランス第三共和政期における非マルクス主義的プロレタリア文学に焦点を当て、主に両次大戦間における庶民層の作家による世界把握と自己認識を解明するものである。当時はエリートたちによる共和国公式のフランス文学のスタイルが確立する一方で、共和国の原理に基づいて普通教育を受けた市民が読み書きを覚え、文章を発表し始めた時代でもあった。そのため本研究では非党派的プロレタリア文学作品を多く刊行したのち消滅した出版社の事情、プロレタリア作家の作品生産の実態、さらに彼らの作品における共和国市民としての想像世界を分析し、当時のフランスにおける当時の文学の機能をいわば人類学的見地から明らかにすることを目指す
|
Outline of Annual Research Achievements |
研究延長期間である2023年度は、本研究の取りまとめ向けた活動と、次研究につなげる活動をおこなった。 前者については2022年度不首尾に終わった資料収集に再び取り組み、夏季休暇中にパリ政治学院のアーカイブにてプロレタリア文学叢書の版元の経営者で思想家のジョルジュ・ヴァロワについての資料収集をおこなった。また昨年度閲覧ができなかったカシャン市のプロレタリア文学のアーカイヴに関しては、管理人で研究者のジャン=ポール・モレル氏の協力の下、本研究に関わる一部収蔵資料の調査やパリ国立図書館における草稿類の閲覧ができた。また渡仏期間中、モレル氏以外にも元フランス国立図書館司書でアンリ・プーライユ友の会の幹事であるパトリック・ラムセイエズ氏とも会い、本研究についてのアドバイスをいただき意見交換する機会を持つことができた。帰国後はヴァロワとプーライユの関する資料の一部をまとめ、両者の関係から『文学の新時代』(1930)が出版された経緯の背景にある文脈を論文としてまとめ年度内に刊行した。その後は国立図書館で収集した草稿を解読し、まとめる作業を続けている。 後者については、成城大学グローカル研究センター所員鈴木重周と共同する形で1930年代における美術史の成立に関する著書を刊行した茨城大学の藤原貞朗氏を招き合評会を行い、本研究の背景となる30年代の芸文界における歴史編纂の実態について議論を交わし、そこから本研究を発展させた次研究のアイディアを構築することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでコロナウイルスの世界的蔓延により海外における資料収集をはじめとする研究作業がかなり滞っており、当初予定していた国際共同研究のようなものは不可能となった。しかしながら今年度は資料収集も行うことができ、当初の予定とは違うもののフランスでプロレタリア文学研究を行ってきたアカデミアの外にいる研究者たちとも関係を築くことができた。さらに本研究をより広い視点で捉えた次研究のアイディアも具体化し、今後の共同研究として体制を作ることができた一方で本助成事業の個人研究としてのゴールが見えたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であるため、次研究につながるような形で本研究の取りまとめを行いたい。具体的には現在解読中である作家の手書き原稿の分析を終え、先行研究であるミシェル・ラゴンのものとはまた違った形で30年代の非党派的プロレタリア文学の文脈化・歴史化を行う一方で、30年代に問われていた社会における文学の機能並びにその美学的側面を美術や映画などの同時代の他メディアとの関係性から解明する成果論考を執筆刊行したい。
|