ゲルマン語強変化動詞並びに関連する品詞の形態組織発達に関わる歴史・比較言語学研究
Project/Area Number |
19K00553
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 俊也 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (80207117)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 形態論 / 動詞体系 / 印欧祖語 / ゲルマン祖語 / 過去現在動詞 / 強変化動詞 / ヴェルナーの法則 / 形態的混交理論 / 形態変化 / 音(韻)変化 / 古高ドイツ語 / ゴート語 / ラテン語完了形 / Proto-Germanic / Strong Verbs / Verner's Law / Morphological Change / Laryngeal Theory |
Outline of Research at the Start |
動詞体系などの形態体系は、「体系」を成しているがゆえに、体系的にアプローチせねば、説得力ある新たな説明は生まれない。と同時に、それは「語等置の方法」を緻密にかつ正確に用いた重厚な経験的基盤がなければ、説得力を欠くものになる。緻密で正確な語等置の手段を用いて、それぞれのゲルマン語動詞が他方言のどの動詞(のどの活用形)と等置されるべきか、それを厳密に洗い出すことから本研究は出発する。個別のゲルマン語動詞のより妥当な歴史的由来を究明することを研究の第1の目的とする。そしてその積み重ねに則り、ゲルマン語動詞体系生成過程の新たな解明に貢献することを、第2の目的としたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
ゲルマン祖語あるいは古英語も含むゲルマン諸語の強変化動詞の活用体系の形態(音韻)的特徴が印欧祖語の動詞体系からどのようなメカニズムで発達したか、これまでの研究では必ずしも十分な成果を得られないで来た。ゲルマン祖語の強変化過去の形態は、印欧祖語の完了形を受け継いだ形であるというのが多くの学者が依る定説であると言えるが、その立場から(のみ)では十分に説明できない現象が多々見られる。次のような現象である:強変化I-III類の過去複数形は、語根末の無声摩擦音がある場合、その摩擦音は通常ヴェルナーの法則で有声化されるものの、ヴェルナーの法則による有声化を受けない例が少数ながらあるの は、なぜか。強変化IV, V類の過去複数形に見られる語根の長母音はどこから来たか。(従来唱えられていたような、畳音と語根の縮約に由来するならば、語根末の無声摩擦音は有声化されるはずであるが、有声化されない例が多々見られるのはなぜか。)強変化第VI類の過去単数、過去複数形の長母音は何に由来するか。ゴート語強変化VII類動詞では、多くの場合母音交替が見られないが、これはなぜか。 このような現状の中で、これまでに私は形態的混交理論(morphological conflation theory)の立場から、過去現在動詞、強変化I-III類動詞、強変化IV, V 類動詞の形態(音韻)的特徴がどのようにして発達したのかを説明する図式を構築してきた。これらの成果を受けて、強変化VI類動詞、そして強変化VII類動詞の形態(音韻)的特徴がどのようなメカニズムで発達したかについても、説得力ある説明を試みることが、本研究の目的である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに形態的混交理論(morphological conflation theory)の立場から、過去現在動詞、強変化I-III類動詞、強変化IV, V類動詞の形態(音韻)的特徴がどのようにして発達したのかを説明する図式を構築してきた。これを受けて、強変化VI、VII類動詞がどのようなメカニズムで発達したかに焦点を絞って、考察を続けている。 強変化VI類動詞の発達については、先行研究のうち、Wolfgang Meid (1971) の分析を建設的に批判して、よりよいモデルを構築できないかと考えている。 また、強変化VII類動詞の発達については、ゴート語の当該動詞の形態的特徴を分析することで、その発達のあり方が推測できると考えている。 これら観点から、新たな論考をまとめて公刊することを目指した。しかしながら令和4年度については、学内で重要な業務の責任者となっていたため、このための十分な時間を取れずに果たせなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1年間の科研費(基金)の補助事業期間延長申請をして、これが承認されている。これに基づき、令和5年度(2023年度)には、強変化第VI, VII類動詞の活用組織がどのような経緯を経て発達したのかについての論考を公刊したい。これまで、過去現在動詞、強変化I-III類動詞、強変化IV, V類動詞の活用組織発達に関して形態的混交理論の立場から新たな説明を試みたが、これらの図式と矛盾することのないモデルで、強変化第VI, VII類動詞の活用組織発達に対しても説明を試みたいと思う。また、通常強変化V類に分類される *etan- 'eat' がなぜ過去単数形も過去複数形も長母音を示すのかという問題は、従来の研究では未解決のままである。この点についても、形態的混交説の観点から新たな見解を提供したいと計画している。
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Report
(4 results)
Research Products
(2 results)