Project/Area Number |
19K00605
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
安齋 有紀 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (80636093)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 公共空間 / 音声アナウンス / ユーモア・アプローチ / 発話主体関係 / 対話形式 / 日仏対照 / 人称表現 / 配慮 / 依頼表現 / プロソディー / 発話主体間関係 / 音声アナウンス表現 / 日仏語対照 / 口頭表現 / 簡潔性 |
Outline of Research at the Start |
公共空間でのアナウンスは、受信者が必要な情報を瞬時に理解できなければその効果が発揮されない。よって、この種の表現には不要な情報を省略または簡略して構成する簡潔性が求められるが、受信者に配慮した表現でなければコミュニケーションの成立に支障をきたすことになる。本研究では公共空間でこの言語現象がどのように表れるのか、表現の簡潔性とコミュミケーションの効率性の関係、その関係を支える発話主体間(発信者・受信者)の調整機能を明らかにする。さらに、日本語とフランス語の事例の対照から、各言語の簡潔性の特徴や言語の簡潔性が各社会で対話場面に応じて発揮する効果について検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
公共空間で発信される協力要請、マナー啓発、注意・警告などのメッセージは、社会の調和のために、社会にとって「好ましい」とされる行動、すなわち発信者が期待する行動を不特定多数の受信者に呼びかけるものであり、アナウンスの目的は受信者が能動的に行動するように誘導することである。どのようなメッセージが受信者を行動させるのか。令和5年度は、メッセージの発信者=発話者を中心とした発話理論によるアプローチと対照的に、実際に現場で行動する受信者=対話者=共発話者に重点を置いて考察した。前年度の研究成果から、リアルタイムの音声アナウンスで観察されたユーモア・アプローチの事例分析を継続し、この表現方法が簡潔かつ効果的に利用者に行為の遂行を促す効率的な手法であることを示した。 また、公共的な場所に個人の通信端末を持ち込み、SNS等の公共性の高い発話スペースで個人として発言する環境が日常的となっている現代社会での言語活動に注目した。このような発話環境では、新しいタイプのアナウンスに対しSNSを使ってリアルタイムで反応する利用者がいる。不特定多数の中の個々の受信者は、協働的な発話への関与者すなわち「対話者=共発話者」となり、音声アナウンスが利用者と一種の対話形式を生みだしていることを指摘した。このように公共空間のアナウンスが対話化する現象から、これまで受動的であった不特定多数のメッセージの受信者が発話主体として顕在化する傾向と、それによって受信者が行動者となり、メッセージの内容が実現される効果との関連性について検討した。これらの研究成果については、フランスで開催されたシンポジウムで口頭発表を行い、論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画通り、前年度(令和4年度)の研究成果の発信として、同年度に東京で開催された国際シンポジウムでの発表内容について論文を執筆した(他の発表者の論文とともに、フランスの出版社から書籍として令和6年度に刊行予定)。また、同シンポジウムの連続企画としてフランス(ロレーヌ大学)で開催されたシンポジウムで、公共空間における音声アナウンスの対話化現象について発表を行った。その渡仏の際、分析対象のデータの収集についても実施できた。 しかしながら、コロナ禍により実施が遅れていた海外調査などの作業と日本語に関する分析の進捗を鑑み、研究全体の状況を踏まえて研究期間の再延長申請を行い、令和6年度も本研究課題を継続することとした。これらの理由により、現在までの進捗状況についてはこの評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は最終年度として、本研究の成果の総括作業を中心に進め、さらに本研究によって見つかった新たな課題について整理する。継続して日仏国際共同研究グループがパリ第3大学を中心に2ヶ月毎に実施している定例研究会に参加し、フランス側研究グループとの意見交換を行う。日本の研究グループについても、定期的に研究の進捗状況の報告を行う。研究成果の口頭発表については、フランスおよび日本でそれぞれ実施する。論文発表については、令和5年度のシンポジウムの発表内容をまとめ、他の発表者の論文と合わせた論文集として令和7年度以降に発行予定である。
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