Project/Area Number |
19K00623
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石田 尊 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40387113)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2019: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 三層分裂動詞句構造 / 心理動詞述語文 / 逆行束縛 / 有生名詞句移動 / 名詞の有生性 / 動詞の他動性 / 統語的他動性 / 受影着点 / 項構造 / 付加詞 / 二次述部 / 他動性 / 外項削除 / 外項抑制 / 文法格後置詞 / 後置詞削除 / 項と述部の対立 / 主格認可 / 構造格 / 文法格 / 場所ヲ格 / 主語特性 / 存在文 / 所有文 / 尊敬語化 / 主語指向照応形 / 従属節 / 叙述 / 日本語学 / 有生性 / 統語論 |
Outline of Research at the Start |
現代日本語においては、名詞の有生性(「こども」のような生き物名詞か否か)が文構造に関与している可能性がある。また、日本語の動詞には「乾く」と「乾かす」のように、語の基本部分は共有しつつもそれ自体の他動性を表示する(自動詞か他動詞かを語のかたちの上で明示する)ものがある。本研究は、名詞の有生性と動詞の他動性表示の問題を関連づけ、それらが日本語の文の他動性(他動詞文らしさ、自動詞文らしさ)や文構造の決定にどのように関与しているかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
当研究においてはこれまで現代日本語の動詞文を対象に、その文中に現れる名詞の有生性と述語の他動性表示とがどのように日本語の文法に関与・貢献しているのかを明確にすることを目的として研究を継続してきた。またその研究の進展の中で、本研究の議論の前提となる現代日本語の動詞句構造の問題についても検討を重ねてきた。 2023年度は特に、動詞句構造に関する重要な提案の一つである三層分裂動詞句構造の仮説について検討することを主眼とし、この仮説が提案された経緯と密接に関わる、心理動詞述語文や一部の非対格動詞の使役文における照応形の逆行束縛現象の再検討に着手した。その結果、従来の二層に分かたれた動詞句構造をさらに細分化し三層構造とするほどの大きな階層差を想定することは支持されないこと、および逆行束縛現象を当研究の立場から適切に分析するには、当研究が提案する有生名詞句移動の適用条件に、名詞の有生性を相対的に捉えるアプローチを導入すべきことが明らかとなった。 ある名詞句が有生名詞句移動の対象となるか否かが決定される基準として、これまで当研究では有生/無生の2値的な基準こそが妥当だとして分析を行ってきており、特に大きな矛盾等は生じていなかった。しかし、逆行束縛現象と有生名詞句移動とを関連付けて分析した場合、「最近接の有生名詞であること」というような単純な基準では移動が適用される名詞句を正しく予測できないことが分かった。このため当研究では今後、有生性と顕著性(saliency)のスケールとの関連付けを導入し、有生性を相対化するようなアプローチの採用が求められることになった。 このことは本研究の研究計画にある程度の影響を及ぼすものの、内容としては重要な進展と見なすべきものであり、これまで分析してきた構文や現象についても、新しいアプローチのもとで分析の精度を高めることができるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度までの段階で生じていた研究の遅れを、2023年度も解消することができなかった。上述のように、2023年度には逆行束縛現象を手がかりとした動詞句構造自体の検討という新たな課題にも着手したため、研究のとりまとめの時期にもかかわらず、全体的な進捗としては足踏みとも言える状況である。また特に研究成果の公表という点では、研究計画の大幅な遅延は明白である。 確かに研究の内容面では徐々に成果を蓄積してきているため、本研究を充実したものとしてとりまとめるためには必要な遅延であるとも認識しているが、研究期間の再延長が認められた2024年度において可能な限り研究を進捗させ、この研究を成果を世に問うこととしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究の成果により、これまで想定してきた動詞句構造には大きな変更は必要ないと判断されたものの、有生性制限や有生名詞句移動に関する分析には一定の調整や変更が必要となっている。まずはこの調整が本研究の記述全体に及ぼす影響について詳細を把握し、これまでに蓄積された研究成果の修正と改善の作業を行う必要がある。 以上の作業を2024年度前半に行い、年度後半は本研究の研究成果の公表のためのとりまとめ作業を行う。
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Report
(5 results)
Research Products
(8 results)