多言語比較の視点によるキリシタン資料の日本語ローマ字表記の研究
Project/Area Number |
19K00643
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川口 敦子 三重大学, 人文学部, 教授 (40380810)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | キリシタン資料 / ローマ字 / 手稿類 / イエズス会資料 / ポルトガル語 / スペイン語 / スペイン系資料 / 中国語資料 / 英語資料 / 多言語 / 国語学 / 写本 |
Outline of Research at the Start |
16~17世紀のキリシタン資料(版本と手稿類)を中心に、外国人によって書かれた日本語のローマ字表記について、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語、ラテン語等を応用したローマ字表記の実態を明らかにし、多言語間での影響関係を横断的に研究することで、近代に整備される以前のローマ字表記のあり方を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
日本語のカ行子音について、一般的なキリシタン資料のローマ字表記はC・Q表記であるのに対して、マカオで成立したジョアン・ロドリゲス『日本小文典』(1620年刊)とアンドレ・パルメイロの語彙集(1632年写)はK表記を採用していることに注目し、この日本語のK表記と中国のイエズス会による中国語のローマ字表記の関係を研究した。そして、キリシタン資料を用いる日本語研究には、イエズス会のアジア布教における言語研究という視点が必要であることを指摘した。この研究成果を学術論文として公表した。 フランシスコ会イベロ・オリエンタル文書館所蔵のディエゴ・デ・チンチョン神父の報告書に記載されている日本語文(日本文字、ローマ字)と、スペイン王立歴史アカデミー図書館所蔵Cortes 9-2666文書、アビラ・ヒロン『日本王国記』の日本語文(ローマ字)の異同に関する考察を、学術論文として公表した。そこから、アビラ・ヒロン『日本王国記』のイエズス会ローマ文書館所蔵本の日本語に注目した。そのローマ字表記がポルトガル語式表記への「修正」であることについて考察し、口頭発表として公表した。この研究を発展させて、イエズス会の非ポルトガル語資料全般における日本語語彙のローマ字表記について研究した。この研究成果については、2023年度開催予定の国際学会での口頭発表が採択された。 キリシタン時代の多言語資料という観点から、ポルトガル語・日本語の対訳語彙集である『南詞雑解』(成立年不詳、寛永年間写。長崎歴史文化博物館所蔵)の調査を行った。収録語彙のうち、ポルトガル語「ドルミテイラ」(dormideira)とその対訳とされる「罌子/ゲズ」「[木+長]椿/イゲ」について考察した。この研究成果は学術論文として公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、当初の予定からの大幅な変更を余儀なくされた。前年度に比べると行動制限はかなり緩和されたが、資料調査を予定していた国内施設では外部からの利用(訪問・閲覧)の制限が継続されており、所属機関の本務との兼ね合いもあって、現地調査を予定通りに行うことが困難であった。 国外での資料調査も、訪問予定の施設での利用制限が継続されており、帰国時の水際対策の関係もあって、国外へ渡航しての現地調査が叶わなかった。 2022年の秋以降は対面開催を再開する国内学会もあり、対面形式で参加することができた。オンライン開催では難しかった研究交流・情報交換をおこなうことができた。2023年2月には国内での現地調査を行うことができたため、この点では進捗があった。 国外への渡航は依然として制約があり、特に短期の渡航は渡航前後の調整が難しく、電子化されていない古文書に関する現地調査ができなかった。渡航制限以前の国外調査で収集した資料や、国内の現地調査で収集できた資料を活用して研究課題を進めたが、国外にあって原本の閲覧による確認が必要な研究が進められない状況にあった。
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Strategy for Future Research Activity |
ヨーロッパの図書館での資料閲覧について、渡航先の新型コロナウイルス感染症関係の渡航制限はほぼなくなり、帰国時の水際対策も緩和されてきた。現地図書館・文書館の利用については、一部で要予約等の制限はあるものの、現地での資料調査を再開する環境は整いつつある。研究成果を公表する予定の国際学会も、2023年度は対面で実施される。今後は、新型コロナウイルス感染症の影響による渡航制限で実行できなかった国外での資料調査を重点的に行い、国際学会での現地発表も行う予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(13 results)