英語の不定冠詞と関連構文の発達に関する実証的・理論的研究
Project/Area Number |
19K00673
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02080:English linguistics-related
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
茨木 正志郎 関西学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (30647045)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 後置属格 / 指示詞 / 不定冠詞 / 二重決定詞 / 二重属格 / 冠詞 / 文法化 / 冠詞の発達 / 名詞句 / 属格 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、二重決定詞(a(n) his friend)の消失と後置属格(a friend of mine)の出現を明らかにすることで、不定冠詞を含む限定システムの発達の解明を試みる。YCOE(古英語)、PPCME2(中英語)、PPCEME(初期近代英語)の史的コーパスを使って、不定冠詞と関連構文の分布の変遷について調査を行い、調査結果より浮かび上がった事実に対して、生成文法理論に基づく文法化理論を用いて説明を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、指示詞タイプの後置属格の出現とそのメカニズムについて研究を行った。これまで不定冠詞タイプの後置属格のみを対象として研究を行ってきたが、指示詞タイプの後置属格についても調査・分析を行うことで、英語史における後置属格の出現と発達に関する全体像を明らかにすることを目的としている。 まず、Gaaf (1927)やAllen (2002)などの先行研究で提示されているデータ加えて、独自に行ったヘルシンキコーパスを用いた調査を行い、指示詞タイプの後置属格が初めて出現したのは1450年ごろで、一定数観察され十分に発達したと考えられるのは1650年ごろであることを明らかにした。複数の先行研究で指示詞タイプの後置属格の初出の事例は確認されていたが、十分に発達した時期を明らかにしたのは、管見の限り本研究が初めてである。 次に、後置属格は二重決定詞から発達したというHeltveit (1969)らの構造再編成の仮説に基づき、含む二重決定詞と後置属格には相関関係があるという仮説を立て、この仮説を支持するデータをコーパス調査より得た。具体的には、指示詞を含む二重決定詞の出現数が17世紀後半には3分の1程度まで減少し、同じ時期に指示詞タイプの後置属格の出現数がおよそ3倍になっていることを明らかにした。この事実は、後置属格が二重決定詞に取って変わったことを示唆していると考えられる。 最後に、後置属格について、生成文法の理論的枠組みの中で、その出現と発達に説明を与えた。具体的には、二重決定詞と後置属格は同じ基底構造を持つと仮定し、属格付与が内在格から構造格に変化したことに伴い、二重決定詞から後置属格が出現したと主張した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナの影響により、予定していた出張を取りやめたり学会・研究会に参加できなかったこともあって、進捗に遅れがでた。遠隔会議システムを利用するなどして、いくらか研究打ち合わせや学会に参加することもできたが、それでも当初の予定通りに進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度より、ほとんどの学会・研究会が対面で開催されるようになってきており、学会参加や研究打ち合わせを以前よりスムーズに行えるようになったので、積極的に活動をしていきたい。また、遠隔会議システムや電子メール等を利用して研究協力者と意見交換も行っていく。また、これまでの研究成果を学会や研究会で発表し、フロアとの意見交換を通じて本研究を進めていきたい。
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Report
(4 results)
Research Products
(13 results)