Aelfric's Grammarの11世紀写本間言語変異の研究
Project/Area Number |
19K00691
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02080:English linguistics-related
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
市川 誠 東京理科大学, 教養教育研究院北海道・長万部キャンパス教養部, 准教授 (60625747)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2019: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | アルフリッチ / 古英語 / 写本 / 方言 / 写字生 / 文法 / 英語史 / 写本間言語変異 |
Outline of Research at the Start |
後期古英語期の説教集作家 Aelfricが書いたGrammarは、中世で初めて自国語で書かれたラテン語文法書である。11世紀に人気を博したGrammarはイングランド各地で書き写され、現在、断片を含め15の写本が現存する。写本を比較するといくつかの箇所で言語の違いが見られる。Grammarの唯一の刊行本である Zupitza(1881)は脚注に他写本の変異形を記録しているが、その記録は網羅的ではなく、言語変異の様相が不明な箇所もある。本研究は Grammarの11世紀の写本からの転写テキストに基づく写本毎のデータベースの作成を通して、後期古英語期の言語事実の一端を明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5 (2023) 年度は、前年度までに転写を完了したアルフリッチの『文法』の11世紀主要写本9つにおける3人称複数主格代名詞に注目し、先行研究では明らかにされていない各写本における非標準的な語形の出現頻度を調査した。この調査で明らかになったことは、3人称複数主格代名詞代名詞の語形の現れ方は写本によって異なることである。アルフリッチの『カトリック説教集』の標準的な語形である hiはすべての写本で使用される。Higは7つの写本で使用され、特にCambridge, University Library, Hh.1.10写本とCambridge, Corpus Christi College, 449写本で高い頻度で現れる。hyは5つの写本での使用が確認された。その他の語形について言えば、heo、hyg、hyo の出現頻度は極めて小さいものである。本調査で明らかになった3人称複数主格代名詞の非標準的な語形は、書かれた地域が明らかな同時代の他作品、他写本での出現分布を考慮すると、写本が書き写された地域の方言要素を反映している可能性があるという点で興味深い。 本研究では、11世紀に製作された『文法』の写本の言語の分析を通して、各写本、特にイングランド南東部地域で制作された写本における古英語標準語とは異なる言語特徴を明らかにした。それが地域特有の方言要素と断定することはできないにせよ、非標準的な言語要素に注目することで、『文法』の写本が書き写された地域に広く見られる共通の言語特徴が浮き彫りになったと同時に、各地域での『文法』の言語の伝播、受容の仕方について、先行研究では窺い知ることができない新たな知見を得ることができたと考える。
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Report
(5 results)
Research Products
(14 results)