Project/Area Number |
19K00923
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02100:Foreign language education-related
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
宗実 陽子 立教大学, 外国語教育研究センター, 特定課題研究員 (30809950)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ICC / conceptual model / globalization / interculturality / Intercultural competence / intercultural competence / language education / intercultural skills / culture / model / multiculturalism / 異文化コミュニケーション |
Outline of Research at the Start |
グローバル化の急速に進む社会において、外国語学習の究極の目的は、コミュニケーション能力を伸ばす事から異文化コミュニケーション能力を伸ばすことへと移行しつつある。異文化コミュニケーションそのものを主軸として、それに影響を与える要素を組み込んだ概念モデルはこれまで主に、著名な学者が唱える理論に基づいて構築されてきた。本研究では、大学教員、大学生、実社会で異文化の人達と仕事に携わる人達の観点を統合し、外国語教育のクラスルームでの実践に直結する新しい異文化コミュニケーションモデルの構築を考案し、効果的な異文化コミュニケーション教育の在り方を探究し、異文化コミュニケーション能力開発の礎とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
異文化コミュニケーションの概念モデルはこれまで主に欧米の著名な学者達の提唱する理論に基づき構築されてきた(Byram, 1997; 2021; Deardorff, 2006)。従って、大学教員、大学生、実社会の人達の視点を多角的に取り入れたモデルは未だ提示されていない。本研究では、大学教員、大学生、実社会で異文化の人達と仕事に携わる人達、三者の視点を統合したモデルを考案し、効果的な異文化コミュニケーション教育の礎とする事を目的とする。本研究のデータ分析・異文化コミュニケーションのモデル構築に当たっては、学者達の合意に基づき構築されたDeardorff 博士(2004; 2006)のプロセスモデルを基準(point of reference)として進めてきた。異文化コミュニケーション能力に寄与する要因として多くの要因が抽出されたが、三者に共通する見解としては、異なる文化や価値観への尊重、寛容さ、違いを受容する心、柔軟さ、自文化・異文化の深い理解、深い自己認識、適切且つ効果的なコミュニケーションができる能力など、これまで提唱されてきた要因と概ね類似している事がわかった。本研究により新しく見出された特色ある主な結果は次の通りである。1)学生の見解としては、新しい経験から学び取ろうとする意欲と姿勢、積極的なコミュニケーション、諦めない粘り強さ、自分の意見を持ちしっかり主張する事、すべての人類が平等であるという深い認識、等が抽出されてきた。2)教員の見解は概ね Deardorff博士(2006)、Byram (1997; 2021) 等学者達の見解と一致していた。3)実社会の人達の視点としては、異文化の人達とコミュニケ-ションをとりながら仕事を進めるにあたり、論理的思考や交渉力、積極的に主張する事、総合的な人間力の重要性等が抽出されてきた。これらの結果を統合しモデルを提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は、ほぼ計画通りに進み、進捗状況は概ね順調と言える。アンケート及び、インタビューの分析を進め、その分析結果を基にモデルの構築・改良を推進し、論文を執筆してきた。本研究の核となる大学教員、大学生、実社会で異文化の人々と仕事に携わる人達、三者の視点を統合した新しい異文化コミュニケーションの概念モデル完成版は、本年3月アメリカ合衆国にて開催された国際会議、American Association for Applied Linguistics, Houston (March 16-19) にて発表した。本テーマでの論文執筆も進み、ヨーロッパ系の査読学術誌に投稿、Reviewerのコメントに基づき改良中であり、順調に進めば本年度中に出版される。 又、異文化コミュニケーションに関する心理・意識をより深く探究する為加えたアンケート追加項目の回答結果を分析し、非常に興味深い結果を得た。派生研究の一つである教員対象アンケート分析結果(アンケート追加項目)に関しては、論文を執筆し、2023年4月Journal of Multilingual and Multicultural Development (Taylor and Francis)に出版する事ができた。 2024年2月に、応用言語学の分野でヨーロッパの第一人者であり、全てのサイエンスの分野を通してScientific Index世界のトップ3%の著名な学者をゲストスピーカーとして招き、応用言語学の分野と異文化間コミュニケーションの分野を結ぶオンライン国際会議を開催し、好評を得た。 コロナ禍、異文化コミュニケーション能力を伸ばす為の具体的な授業案として日本人学生とドイツ人学生とのオンライン交流によるCultural Exchangeをクラスルームアクテイィヴィティーの一環として企画・実施した。これを授業案の提示としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい異文化コミュニケーションの概念モデル完成版をベースに、応用言語学の分野と異文化コミュニケーションを結ぶ研究を継続し、新しい研究への出発点としたい。具体的には、言語学習者の心理的要因と個人差(psychology of language learners, individual differences in language learning) 例えば、筆者が応用言語学の分野で実績を積んできたテーマ、「コミュニケーションしようとする意欲: Willingness to Communicate」、 想像し可視化する力: Visualization、目標設定: Goal-Setting等がいかに実際の異文化間コミュニケーションにおける効果的なコミュニケーション、相互理解、誤解回避や、平和的紛争解決に繋がっていくか等 応用言語学の分野と異文化コミュニケーションの分野を結ぶ未開拓の研究分野を切り開いていきたい。現在、ヨーロッパ系の国際雑誌に投稿中である論文は査読者のreviewに基づいて改良し、に出版を目指す。 2021年5月にはJALT T SIG主催のForum招待講演の依頼を受け、英国の世界的に著名な異文化コミュニケーションの分野の学者とForumを共にした。今後もこの経験を生かし当該分野に貢献していきたい。具体的には、職場における文化的多様性のマネージメントについての文化比較等の研究を計画していきたい。 異文化コミュニケーションにおけるメタ認知も含めInterculturality に関する新しい観点の研究をさらに続けて行きたい。具体的には Dervin (2022)、Dervin & Yuan (2022)、 Dervin & R’boul(2022)、R’boul (2023) 等の研究への造詣をより深めていきたい意向である。
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