高精細デジタル画像解析による幕末明治初期ガラス原板写真の史料学研究
Project/Area Number |
19K00934
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03010:Historical studies in general-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷 昭佳 東京大学, 史料編纂所, 技術専門員 (70532670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保谷 徹 東京大学, 史料編纂所, 名誉教授 (60195518)
箱石 大 東京大学, 史料編纂所, 教授 (60251477)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 写真史 / 日本史 / 古写真 / 画像保存 / 文化財写真 / 画像史料 / 史料研究 / 古写真史料学 |
Outline of Research at the Start |
従来の焼付写真を基にした研究では、作者や制作年の特定、ガラス原板写真からの焼き出し時に失われていた細部の表現や製作や伝来に関する情報を得ることは不可能であった。本研究では、出所・伝来が確かなガラス原板写真からの高精細画像情報と、「もの」としてのガラス原板写真情報により比較検証し、オリジナルのガラス原板による厳密な写真史料の比定を行う方法論を確立し、より信憑性の高い歴史資料としての古写真の定義を明確にする。そのうえで、国内外に点在する日本関係のガラス原板写真の高精細デジタル撮影による解析と史料学的な調査・研究を推進し、写真史料の展示を実施してこれまで蓄積してきた研究成果を公開・発信する。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度までと同様にコロナウィルスの感染拡大の影響を受けつつも、前半は国内での幕末明治初期写真史料の調査研究に取り組んだ。また後半には、当初は2019年度に計画していたが実行が困難となっていた海外所在の日本関係古写真史料の現地調査を再開した。今年度の主な調査研究と成果の公表は、以下であった。 ①彩色写真技法「写真油絵」の復元調査:横山松三郎の弟子の小豆澤亮一が明治18年に特許を取得し僅か数年間だけ用いられた、和紙を用いた日本独自の技法である紙製の「写真油絵」の復元に取り組んだ。現存する作品の表面にはひび割れなどの劣化が目立ち、保存修理法の確立が急がれている。そこで僅か6行の特許文面を読み解き、さらに文化財修復工房の技術者の協力を得て再現した失われた技法の実際について、イタリアで開催された国際カンファレンス「Colour Photography and Film, 2nd edition」において報告し、国際的に成果を公表した。 ②本山家伝来古写真調査:長崎本石灰町乙名であった本山家伝来の古写真資料群の調査および撮影・目録整備(写真101点、関連附属品4件5点)・保存処置を行った。調査で得られた知見および目録と画像は、長崎市長崎学研究所紀要『長崎学』第7号に掲載して、一般に公表した。 ③木村芥舟関係写真資料調査:幕末期に幕府の要職を歴任した木村芥舟関係写真資料について、高精細デジタル撮影(130カット)を中心とする調査研究を行った。 ④イタリア所在日本関係古写真調査:文明博物館および軍事地理研究所に出張し、幕末の日本関係古写真について調査および画像収集(260カット)を行った。成果の一部は「海外所在日本関係古写真史料の調査研究の概要-在イタリア、在オランダを中心に-」『国際研究集会「海外所在日本関係古写真の史料学研究」』JSPS科研費(JP19K00934)共催のなかで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでコロナ禍によって出張調査等に大きな影響があったが、今年度からは徐々に国内外での出張調査を再開することが出来ている。 次年度は、延期となっていた当初計画されていた調査を遂行する予定で既に関係機関・関係者との調整に入っており、残された研究課題について着実に取り組むことが可能であると見通せている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる次年度は、前半にコロナ禍で延期となっていた国内の調査先に出張し、史料情報と画像の収集をはかる予定である。また同時に、前年度から継続している国内調査についても年度前半に集中的に取り組む計画である。また年度後半には、これまでの国内外での調査で得られた様々な知見とデータを取り纏める作業を行い、研究成果の公表に備える計画である。
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Report
(4 results)
Research Products
(34 results)