Project/Area Number |
19K01070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村田 勝幸 北海道大学, 文学研究院, 教授 (70322774)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | アメリカ史 / ハイチ人 / 難民 / 亡命 / 20世紀 / 法制度 / シティズンシップ / 人種主義 / 監獄国家 / 刑事司法制度 / 黒人史 / 移民 / 人種 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、1970年代以降のアメリカ合衆国を舞台に展開されたハイチ人の難民資格申請者による裁判闘争を歴史学的に分析しようというものである。代表的な難民資格認定裁判の実態に一次史料の子細な分析を通じて迫るとともに、これまでのアメリカ移民難民史研究の射程から事実上こぼれ落ちたハイチ人という存在を中心的なフィールドに定置する。そのうえでハイチ人難民資格申請者の包摂と排除を人種(主義)やネイション、法的正義などの観点から考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和五年度(2023年度)は、当初、令和4年度で完結する想定であった研究プロジェクトを延長した一年目であった。幸い新型コロナウィルス感染症のパンデミックによる渡航規制がほぼ解除され、2023年8月26日から9月3日にかけて、念願していたニューヨークでの史資料調査を実施することができた。ニューヨーク公共図書館スティーヴン・シュワーツマン本館でのアメリカ移民難民政策の法規に関わる資料収集作業に続き、ハーレム所在の分館、ショーンバーグ黒人文化研究センターにてアイラ・ゴロビンハイチ人難民コレクション(Ira Gollobin Haitian Refugee Collection, 1972-2004)所蔵の一次資料(文書資料および写真)にあたった。そこでは、ハイチ人難民申請者を対象とした宣誓供述書や、ハイチ人側弁護士が支援組織などに宛てた書簡やメモランダム、洋上警備隊の日誌などの貴重な史資料を入手することができた。申請者は2022年9月に「収監と国境警備のアメリカ」という論考を藤永康政・松原宏之編『「いま」を考えるアメリカ史』(ミネルヴァ書房)で発表していたが、そこでは踏み込んで分析することができなかったハイチ人難民申請者をめぐる歴史実態を、今回渉猟した史資料に基づいて明らかにすることができた。その成果の一部は、「『例外』が構築する規範 ハイチ人難民が可視化する『リーガルボーダーランド』」『アメリカ研究』(2024年3月)で発表している。また、本研究プロジェクトを通じて得られた理論的な視点の一端は、申請者が訳者となった著書、ロビン・D・G・ケリー『「人種か、階級か」を超えて 大恐慌期アラバマにおけるコミュニストの闘い』の「訳者あとがき」でも示されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結果的には、パンデミックによって渡航制限がかかっていた期間に国内で入手可能な資料や文献を大量に読み込んでいたことで、昨年度はじめて実現した現地調査を実り多いものとなった。まだ不充分であるが、昨年度現地調査によりそれまでの遅れを一定程度取り戻すことができたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
二度目の期間延長が許可されたことで、幸い計6年間にわたって研究プロジェクトをおこなうことが可能となった。ただそれでも、当初の構想では3回ないし4回のアメリカ渡航を想定して課題設定をしていたため、最終年度にあたってプロジェクト全体の枠組みを修正する必要があると考えている。具体的には、年代順に裁判事案毎に分析をするという手法ではなく、複数の事案をまたいで縦断的に扱うというアプローチに切り替えたい。一次資料についていえば、昨年度の調査で「宣誓供述書(affidavit)の重要性を再確認しており、今年度は同資料を中心に現地調査をおこなう予定である。本研究を総括するにあたって、本研究プロジェクト延長線上に、中長期的な研究に耐えうる新たな学術的論点やテーマを見出したいと考えている。
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