Project/Area Number |
19K01085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
石橋 悠人 中央大学, 文学部, 教授 (90724196)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | グリニッジ天文台 / メルボルン天文台 / 経度 / 標準時 / 文書管理 / アーカイブズ / イギリス帝国 / 時間意識 / 時間の標準化 / 植民地天文台 |
Outline of Research at the Start |
本研究は近代世界における時間の標準化の歴史を、イギリス帝国に焦点を当てながら検討する。英領の各入植地における時間意識の変革に着目し、それを推進した多様な主体と科学技術の移転を中心に分析する。イギリスとオーストラリアのアーカイブズにおいて綿密な史料調査を行い、帝国各地を舞台に行われた時間の正確化を目指す諸活動が、植民地社会の社会経済や文化的規範にいかなる影響を与え、さらに世界規模の時間の標準化・均質化をどのように促進したかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度はオーストラリアのメルボルン天文台に関する史料の調査と分析を中心に行った。その具体的な成果は、現在執筆中の単著にまとめることができた。メルボルン天文台はヴィクトリア植民地における時間秩序や自然科学研究の重要拠点として発展し、イギリスから様々な装置や観測機器を導入して、周辺地域に正確な時間を伝える役割を果たした。ロンドンのグリニッジ天文台との連携も緊密であり、このネットワークを媒介に機器や時報装置・望遠鏡の技術的な移転が行われている。メルボルン天文台のアーカイブズ史料を分析した結果、帝国の天文学のネットワークが、植民地世界における時間の正確化や標準化を促していたことを解明することができた。
当初の予定では、どのような装置が主にロンドンから植民地に移植され、その過程にグリニッジ天文台がいかにして関与したかを調査することを計画していたが、本年度はメルボルン天文台を事例にこの作業を実施することができた。また、このような技術移転を可能にする要因として、トランスナショナルな科学・知識・技術の移動を、出版物・専門家・装置・書簡などの移動の実態を明らかにすることができた点も実績として指摘しておきたい。そして本国の科学機器・時計メーカーの役割を検討し、各植民地で利用されていた技術の諸相に具体的に迫ることができた点も大きな成果と言える。このような研究の成果は、近代的な時間意識の形成と帝国の拡大の密接な関係を具体的に示すものとして、少なからぬ意義があると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画どおり、植民地の天文台に関する一次資料を詳細に分析することができたため、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は本年度が最終年度にあたる。今後もグリニッジ天文台を中核とするイギリス帝国の科学的ネットワークを実証的に検討することが重要である。
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