古代エジプト国家形成期における儀礼と権力に関する考古学研究
Project/Area Number |
19K01100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Higashi Nippon International University (2022) Waseda University (2019-2021) |
Principal Investigator |
馬場 匡浩 東日本国際大学, エジプト考古学研究所, 客員准教授 (00386583)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 古代エジプト / 国家形成 / 権力生成 / 儀礼祭祀 / 権力形成 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、古代エジプト文明において、儀礼祭祀によるイデオロギー操作の視点から、エリートの権力形成を考察する。文明形成期のヒエラコンポリス遺跡では近年、エリートの儀礼空間と考えられる大型構造物と供物を供給する生産施設と考えられる遺構が磁気探査によって新たに発見された。そこでこれらの発掘調査をつうじて、儀礼行為の具体的内容を明らかにし、権力の維持・強化における儀礼の機能について考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
権力形成に関する近年の研究では、儀礼祭祀によるイデオロギー操作がエリートの権力と地位の維持向上において重要とされる。古代エジプトでは、ファラオを析出するに至る国家形成期にこうした権力形成があったと考えられるが、資料不足によりこれまで十分な議論ができていなかった。しかし、文明形成期のヒエラコンポリス遺跡の調査により、エリートの儀礼空間と考えられる大型構造物が磁気探査によって新たに発見され、イデオロギー操作を考古学的に研究しうる資料が得られた。そこで本研究では、これら遺構の発掘調査を継続させ、儀礼行為の具体的内容を明らかにし、権力の維持・強化における儀礼の機能について考察することを目的とする。 本年度は、継続してヒエラコンポリス遺跡での発掘調査を予定していたが、昨年度と同様に、新型コロナの影響で実施することができなかった。そこで、これまで発掘調査を行ったヒエラコンポリス遺跡における儀礼祭祀遺構を基礎資料とした権力と国家形成の関わりについて考察した。儀礼祭祀の場においてエリートたちは、土製人形などの特殊なモノとビールを供物として祖先に奉献していたことが特筆される。この儀礼行為は、国家形成以降も引き継がれ、初期王朝時代のヒエラコンポリス「ネケンの丘」では大型のマウンドを構築して大規模な供物奉献が行われている。またアビドスやデルタにおいても供物奉献の遺構が検出されており、初期のファラオたちが祖先祭祀に根ざした儀礼を各地で実施することで、地位と権力の安定化を図ったものと考えられる。また、ビールは儀礼祭祀のみならず、それ自体が権威のシンボルであり、再分配システムによる社会統制としても機能していたと考えられる。南方のヒエラコンポリスで始まった儀礼祭祀は、権力顕示の手段として広がり、それが国家形成の政治・経済・社会的ファクターとして大きく機能したものといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、1:儀礼行為に関連する遺構の発掘、2:出土する考古遺物・動植物遺存体の分析から遺構の性格・機能を把握、3:権力の維持・強化における儀礼の機能考察、この3つの作業項目を掲げている。本年度も1の発掘が実施できなかったため、2と3の研究課題に注力した。特に3の権力と儀礼に関する研究は、国内外における学会にて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度こそは、ヒエラコンポリス遺跡における儀礼祭祀関連遺構の発掘調査を再開したい。また、2022年夏に開催された「エジプト国家形成期の国際学会(Egypt at its Origins 7 at Paris)」のプロシーディングに投稿した論文が出版される予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(28 results)
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[Journal Article] Mashes to Mashes, Crust to Crust. Presenting a novel microstructural marker for malting in the archaeological record2020
Author(s)
Heiss, A.G., Azorin, M.B., Antolin, F., Kubiak-Martens, L., Marinova, E., Arendt, E.K., Biliaderis, C.G., Kretschmer, H., Lazaridou, A., Stika, H.P., Zarnkow, M., Baba, M., Bleicher, N., Cialowicz, K.M., Chlodnicki, M., Matuschik, I., Schlichtherle, H. and Valamoti, S.M.
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 15
Issue: 5
Pages: e0231696-e0231696
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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