Project/Area Number |
19K01191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04020:Human geography-related
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Research Institution | Kyushu University (2022-2023) Teikyo University (2019-2021) |
Principal Investigator |
山本 健兒 九州大学, 経済学研究院, 特任研究者 (50136355)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 経済地理学 / 場所 / エコ社会的市場経済 / 戦略的経営 / 地域整備 / 環境保全 / 経済力 / フォラールベルク / 土地利用 / 住民運動 / 財政 / オーストリア / エコロジー / 地域整備計画 / ゲマインデ / 隠れたチャンピオン |
Outline of Research at the Start |
本研究は、グローバリゼーション進展下で、大都市圏及びこれを擁する地域に劣らない経済発展を実現しているオーストリアのフォラールベルク州を研究対象地域として、その活力の源泉の解明を目的とする。この州は1980年代までの繊維工業地域から金属・機械・電機工業地域へと変化するとともに、農業・観光産業も盛んである。その活力の直接的要因は立地企業の活動にあるが、州全体としての「場所に関する戦略的経営」がその基盤をなしていると考えられる。それは州政府、基礎的地方自体、企業団体、労働者団体、農業者団体などの相互作用の結果として構想され実行されていると考えられる。この仮説の解明が本研究の具体的な目的である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は現地滞在での調査研究を5月中旬と8月末から9月中旬にかけての2回行なった。5月にはフォラールベルク州の経済的首都と言えるドルンビルンに滞在し、市内に存在していた複数の大規模繊維工場敷地を徒歩で巡り、現在の企業立地状況を観察した。また、ドルンビルン川から取水した水が流れる運河沿いに点在していた工場や関連施設などの産業歴史遺産を観察した。ドルンビルン市域内の山間集落や平坦地とそれぞれの周囲の自然や建造環境が、企業の経済活動や市民の生活環境とどのように関係していたか、及びその現状に関する問題を考えるうえで、それらの観察は有効だった。 また、フォラールベルク州の産業化に大きな役割を果たした刺繍織工業の現状について、地元研究者、刺繍織工業団体事務局職員、及び刺繍織工業企業経営者からの聴き取りを行なった。さらに、以上の観察や聴き取りと関連する文献や、地域の経済力と州民の生活のための環境整備の基礎となるフォラールベルク州の空間計画(地域整備計画)に関する文献を州立図書館で閲覧・収集した。 9月には、フォラールベルク州政府の経済及び空間計画の両分野担当閣僚、経済会議所会頭、同会議所工業部会長の企業経営者、経済会議所ツーリズム部長、ドルンビルン市・シュルンス町・エク町・ランゲネク村の各首長、心身障碍者自立支援団体や家庭環境に恵まれない青少年育成団体の事務局長などに各事業所でインタビューをし、エコ社会的市場経済政策や「場所に関する戦略的経営」の実践に関する具体的な状況の把握に努めるとともに、州内での経済的周辺とも言える山間地集落(ブレーゲンツァーヴァルトやモンタフォンなど)や自然の観察を行なった。州立図書館での関連文献の閲覧収集も続行した。 以上の現地調査の一端は、11月に法政大学市谷キャンパスで開催された人文地理学会大会で報告するとともに、本年度内に公表した論文の作成に生かした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は新型コロナウィルスまん延が日本及びオーストリアでほぼ終息したため、また教育職から解放されたために比較的長期間の現地調査を2回行なうことができたが、その際に収集した資料をもとにしての論文執筆が予定していたほど進捗しなかったからである。その理由は、2015~2017年度に実施した科研費挑戦的萌芽研究の成果の一部と、2019年以降に実施している基盤研究(C)の成果の一部とを合成して学術図書として刊行すべく日本学術振興会の2023年度研究成果公開促進費(学術図書)の助成に応募したところ採択されたので、これの刊行のための初校、再校、索引作成などに予想していた以上に多くの時間を割かざるを得なかったことにある。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、これまでに収集した資料を活かした論文作成、及びそのための学会報告などに専心する。特に、本研究の究極的な目的である「エコ社会的市場経済」原則や「場所に関する戦略的経営」の理念と実態に関する総論的論文及び、この政策との関りでフォラールベルク州内でも特に注目に値する基礎的地方自治体やその連合体レベルでの具体的な地域整備政策・地域振興政策に関する論文を作成し、私が所属している学会の学術雑誌に投稿する。
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