Anthropological Study on a Translocal Community in Pingelap
Project/Area Number |
19K01201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中谷 純江 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 教授 (30530034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 靖 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 准教授 (00244161)
山本 宗立 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 准教授 (20528989)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 島嶼 / トランスローカル・コミュニティ / 親族 / 交換 / 婚姻 / 養子 / ジェンダー / 遺伝病 / 相続(inheritence) / 婚姻 (marriage) / 養取 (adoption) / 移動 |
Outline of Research at the Start |
近年の国境を越える移動は、文化人類学においては「トランスナショナル研究」の枠組みで、国内移動と切り離されて論じられてきた。また、グローバルな政治経済構造との関係における個人や世帯の戦略として説明され、その結果、移動は個人にとって経済的機会につながるが、地域社会にとっては力喪失の契機としてマイナス面ばかりが論じられてきた。本研究では、人々が移動による人口減少に家族や親族のシステムをどのように変化させて対応してきたか、また移動がコミュニティにもたらす新たな資源にも注目し、トランス・ローカルなコミュニティの資源管理と継承の方法を現地の人々と共に探り、島嶼社会の存続可能性について明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ミクロネシア連邦ポンペイ州ピンゲラップ環礁島を主対象とし、移動と島嶼性とコミュニティの3点について考察する。人の移動は、ホーム社会にとって人口減少や高齢化、労働力衰退などのマイナス影響をもつ一方で、人の移動によって生まれる広範なネットワークや情報や成功者による寄付など、新たな資源をもたらす。島嶼社会の居住者と移出者が共有する有形無形の資源がどのようなネットワークの中で所有され、利用・管理され、受け継がれるのかについて調査を行い、移動を通して得られるネットワークや資源を用いてコミュニティを維持、発展させる方途を見出すことを目的とする。 今年は最終年度であったが、2020年から3年間続いて、新型コロナ感染症の影響で海外渡航ができず、フィールド調査にもとづく研究を行うことができなかった。このため、2019年度に実施した調査やその他の研究成果にもとづき、養子慣行を人口の不均衡是正や富の再分配制度とみなす視点から、国内の島嶼社会を対象に比較研究を行なった。鹿児島県喜界島と沖永良部島、沖縄県で親族制度や婚姻・養子に関わる聞き取りを行い、ミクロネシア・ピンゲラップ島で観察された双系社会における養子の役割や位置づけが、日本の島嶼部に見られる父系社会もしくは、血縁に基づかない社会(地縁社会)とどう異なるのかを考察した。喜界島や沖永良部島では、島の歴史背景や社会構造が階層的かいなかによっても、親族システムや女性の社会的地位が異なることが明らかになった。沖縄においては、養子慣行自体が門中制度と強く結びついて展開してきたことと、近代化や日本化(明治以降のヤマトの影響)によって家父長的な女性排除が強まっていったことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ミクロネシア・ピンゲラップ島(本島)とその移民コミュニティを対象に調査の準備をすすめてきたが、親族関係、遺伝病の現出、本島との繋がり、アイデンティティ等についての聞き取り調査が、コロナ禍で3年連続(2020, 2021、2022年度)実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、1年目に島の生産資源に注目し、「土地」と「労働力」をめぐる交換・贈与のシスムについて明らかにした。次の課題として、これらの資源がどのような範囲の人々によって利用・管理されているか、島外コミュニティを対象に調査を行う必要がある。具体的には、島の居住者と移出者をつなぐ親族・婚姻関係のネットワークを明らかにする。親族や婚姻関係は居住者だけでなく、移住者にとっても非常に大きな意味や役割をもっていることが想定され、具体的な相互行為のあり方を調査する。また、親族婚姻関係は、ピンゲラップ島の遺伝病(全色盲)の現出にも関わっているため、移住の影響について分析する。さらに3つめの課題として、最も基層部分で人々が共有する文化資源、伝統的な価値規範や知識や技能等の伝達についても調査する。グローバル化の中で、人の移動や情報伝達が容易になり、一方では文化の画一化(アメリカ化)が進む中、他方では人々のアイデンティティと結びついた文化資源がコミュニティの存続に果たす役割は強まっている。1.生産 資源の共有、2.親族婚姻関係の共有、3.伝統・慣習・アイデンティティの共有という、3つのレベルで資源共有する人々の間の、地理的空間を越えた相互行為を記述し、人々がこれらの資源をいかに活用して「トランスローカル・コミュニティ」を発展させることができるのかを考察する。次年度こそ、米国の移民社会を対象に、2つ目及び3つ目のテーマに関する調査を行う。
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Report
(4 results)
Research Products
(26 results)