Project/Area Number |
19K01235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
浅野 久枝 京都精華大学, 人文学部, 講師 (20700008)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 小芝居 / 中芝居 / 歌舞伎 / 市川市蔵劇団 / 細川興行 / 岩井小紫 / 新鋭歌舞伎 / 女役者 / 歌舞伎愛好家同人誌『劇友』 / 大歌舞伎 / 地芝居 / 地歌舞伎 / 関西系小芝居 |
Outline of Research at the Start |
全国各地の地芝居の指導は地元経験者の場合もあるが、小芝居の元役者が担うケースもある。小芝居役者は大歌舞伎にはない演目や演出を素人に伝授し、大歌舞伎とは異なる歌舞伎の伝承に寄与している。ところが小芝居に対する評価は低く、民俗芸能研究者からも芸能研究者からも軽視され、その実態は注目されてこなかった。地芝居は民俗芸能としてのみ評価され、「大歌舞伎とは異なる歌舞伎」としての価値は認知されていない。観光資源としての地芝居が持つ隠れた価値を再発見し、日本を代表する「歌舞伎」文化の多様性を指摘するために、小芝居の実態解明が必要であるが、個人インタビューがデータとなるため、プライバシーの保護には充分留意する。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は各地の地芝居公演も、制限無しの公演をするところが多くなった。当該年度では、滋賀県長浜曳山子供歌舞伎、岡山奈義町横仙歌舞伎、兵庫県多可町播州歌舞伎、および、長野県伊那文化会館に於いて実施された信州農村歌舞伎祭で、南南木曽町の田立歌舞伎、大鹿村の大鹿歌舞伎、下條村の下条歌舞伎の実演を参与観察できた。地芝居の活動の実態を知ることができたと同時に、播州歌舞伎の指導者から聞き取り調査によって、保存・伝承活動における問題点の一端を明らかにすることもできた。例えば、播州歌舞伎では子どもの減少により、子ども歌舞伎が昨年度で終了することになった。伝承の担い手の確保が大きな課題である。 昭和期の小芝居一座の活動に関しては、小芝居一座が松竹株式会社の大歌舞伎が海外公演をするよりも以前から、海外公演をしたことについての資料を国立国会図書館などで、海外邦字新聞の記事を収集し、新たな書籍資料も収集する中で、それらをまとめた論考を京都精華大学の紀要に発表することができた。 また、以前から続けている元芝居役者岩井小紫師への聞き取り調査は当該年度も続けた。さらに、大衆演劇研究者との情報交換をすることもできるような状況になった。それにより、昭和期の女役者についての資料も、昭和期の小芝居の番付なども閲覧することができ、これまでの知見を深めることもできた。これらの研究活動により、昭和初期の小芝居の動向、女役者の活躍などについて、これまでの研究をさらに深めることができた。 また、本課題においてこれまで発表した論考を中心とした刊行物を計画し、岩井小紫氏らへの聞き取り調査に加え、新たな文献資料も収集する中で、これまでの論考の集大成をするための精査を行っていたところ、2024年度の研究成果公開促進費の採択を受けたため、内容を精査した上、2024年度中に出版する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の中で、地芝居の公演が制限され、また、聞き取り調査も遠慮せざるを得ない状況が2023年の前半までは続いていた。2024年後半からは各地の保存会における制限も緩和されることが多くなり、滞っていた調査も可能になったが、当初予定していた調査は十分にできたとは言えなかった。 それに加え、個人的な事情だが、遠方に居住する実母の容態が夏頃より悪化し、介護者は報告者一名のみであるため、介護・付き添いの時間を割かざるを得ず、夏季休暇の間に予定した調査を断念せざるを得なかった。 文献資料調査はかろうじて実施することができた。文献資料調査で得られた情報を取りまとめ、昭和初期に海外公演を行った小芝居劇団の動向についての論考を発表することができたが、まだ十分な調査ができたとは言えず、引き続き資料探査は続ける必要がある。国立国会図書館などでの調査は今年度も引き続き行っていきたい。 上に述べたように、残念ながら現地調査の実施はかなり滞った。そのため、一年の延長を申請し、今年度も引き続き、研究の遅れを取り戻すべく、実施していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
・元小芝居役者岩井小紫師は長浜曳山祭子ども歌舞伎の振付や、長浜三役修業塾振り付け部の指導、岐阜県垂井曳山祭子ども歌舞伎の振付などを行っており、元小芝居役者市川団四郎師は長浜曳山祭子ども歌舞伎、函館の名士歌舞伎、子ども歌舞伎の振付指導を行っている。それらの実態を引き続き参与観察し、小芝居独得の演出などを記録していきたい。同時に彼等に対しての聞き取り調査によって、小芝居的演出の工夫を抽出し、どのように地芝居に伝承しているかを明らかにしていく。小芝居から地芝居への影響関係をさらに突き詰めていく方向で研究を進めたい。 ・これまでほとんど顧みられなかった昭和期の小芝居資料を、国立国会図書館および、各地の図書館から収集し、また、古書籍や公演番附・チラシなども収集を試みていく。かつまた、当該年度には歌舞伎研究者・大衆演劇研究者と連携を始めることができた。各々が収集している資料はある意味私蔵されている形であるため、互いが収集した資料を提供し合って、昭和期の小芝居の実態をさらに深め、追求していく。 ・本課題においてこれまで発表した論考を中心とした刊行物を計画したところ、研究成果公開促進費の採択を受けたため、内容を精査した上、今年度中に出版する方向で作業を進めていく。
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