在豪日本人移住者の故郷概念の動態性―帰属意識における「日本」の位置づけの考察
Project/Area Number |
19K01236
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
長友 淳 関西学院大学, 国際学部, 教授 (50580643)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | ライフスタイル移住 / 関係人口 / オーストラリア / Iターン移住 / 日本人移民 / 移住 / 中間層 / 移民 / 老い / 福祉 / アイデンティティ / 帰属意識 / 日系 / 移民研究 / 高齢化 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、オーストラリアの日本人移住者(1世)および2世の帰属意識やアイデンティティに関する調査を行う。現代の移民研究では、「多元的帰属意識」や複数のアイデンティティを個人が持ちうるという視点が強調される傾向にあり、それは理論的にはトランスナショナリズム論の流行とも合致してきた。しかしその「多元性」への着目の一方で、アイデンティティに占める故郷概念の動態性に関するミクロな考察は見過ごされがちであった。この点を踏まえ、本研究は在豪日本人1世および2世の帰属意識における「日本」の位置づけについて考察し、故郷概念の動態性を聞取り調査およびアンケートから明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍による渡航制限の影響でオーストラリアの調査が中断したため、2022年度は関連するテーマで日本国内での研究を進めてきた。今日の日本人の海外移住者の帰属意識に関する調査と日本国内のIターン移住者では、ライフスタイル価値観やライフコース選択の柔軟性など、関連する点も多く比較研究としても有益と考えたためである。具体的には島根県隠岐郡海士町および福岡県糸島市における調査に基づく論文執筆(下記①)および成果公表のための講演(下記②③)を行った。 ①長友淳(2003)「関係人口から滞在人口へ――島根県隠岐郡海士町における「還流」および「大人の島留学」の取組みに関する文化人類学的・社会的解釈」『国際学研究』12(1):15-26 ②長友淳(2022)「「関係人口」から「滞在人口」へ――島根県隠岐郡海士町におけるIターン移住施策「還流」およびその社会学的解釈」於:青山学院大学(2022年11月4日) ③長友淳(2023)「地域の人手不足を誰が埋めるのか――豪州の移民社会への転換と現在の日本の取組み」於:宝塚南口会館(2023年2月9日) 上記①は若者の新しい労働観やライフスタイル価値観と隠岐郡海士町の新たなお試し移住制度/インターンシッププログラムである「大人の島留学」の親和性についてプログラム運営担当者や参加者への聞き取り調査をもとに論じた。施策の特徴を先行研究における関係人口における「関わりの階段論」を踏まえながら論じた上で、参加者の自己実現志向や移動性および滞在者が循環する「場」に関してJ.アーリらの視座をもとに社会学的解釈を行った。上記②および③は、フィールドワークの成果を大学内外に発信する場として講演を行い、②に関しては隠岐郡海士町、③に関してはオーストラリアの移住者受入れの施策の変遷や近年の動向について論じた。なお、これらの研究成果を2023年度は単著研究図書として出版予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍による渡航制限の影響で、オーストラリアの調査が中断し、関連テーマの調査を日本国内で開始する必要が生じた。しかし一方で、ライフスタイル価値観やライフコース選択の柔軟性など、本調査と関連する点も多く比較研究としても有益な日本国内のIターン移住者の調査も行えた。その点で、期間は1年延長することなったが、研究の裾野を広げることができた。これらの研究成果は、オーストラリアおよび日本国内における事例研究を集めた本として、2023年度中に単著研究図書として出版予定である。 最終年度は、渡航制限が解除されたことを受け、ブリスベンの福祉団体と共同でアンケート調査を実施し、上記図書にて成果公表を行う予定である。2023年4月時点でアンケートの項目リストを作成中であり、すでに当該団体からのアンケートの共同作成・配布・回収に関する協力に関する了解も得ている。今後7~10月目途に現地でのアンケート配布を行う予定である。 なお本研究の取組みは移住と観光・滞在経験の交差領域を研究にもつながり、次年度の基盤研究(B)での応募も予定している。2023年4月の段階で青山学院大学齋藤大輔准教授、大阪公立大学金子勝規准教授、東京福祉大学長谷川司非常勤講師らと初期調査を開始するに至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度として、2023年度は以下の2つの作業を進める予定である。第一に、コロナ禍で中断していたオーストラリアでの調査を現地での調査協力者(日系福祉団体)の協力のもとで実施する。2023年6月までにアンケート作成(日系コミュニティにおける帰属意識および福祉ニーズに関する調査)を行い、7月~10月には現地での配布作業、9~11月にかけて分析作業、10月~12月に論文執筆を行う。第二に、研究成果公表の手段として、単著研究書の原稿執筆を進め、2023年3月までの出版を目指す。内容としてはすでに出版した紀要論文の編集、および現在行っているオーストラリアでのアンケート調査(上記テーマ)や福岡県糸島地域でのIターン移住や観光の「場」の動態性に関する調査結果を含める予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(8 results)