Project/Area Number |
19K01253
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
服部 寛 南山大学, 法学部, 教授 (30610175)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 法哲学 / 人間の尊厳 / 尊厳 / 人権 / 天皇 / 国体 / 生ける憲法 |
Outline of Research at the Start |
「人間の尊厳」の概念は、今日の我が国において同概念につき高い研究上の関心が見られ、また「尊厳」が危険にさらされる局面や事件にクローズアップされるものの、国際的な状況と異なり、当該概念自体は我が国の法律上ほとんど明記されていない。同概念につき手近で適切な手引きが欠けており、かつ「尊厳」概念の日本の特殊歴史的背景にも解明が進んでいない。本研究は、今日の日本社会に根付いているとは言い難い、この「人間の尊厳」概念について、同概念の研究が進展しているドイツにおける基礎研究の紹介的検討を通じて、同概念を根本から適切に理解し日本社会に根付かせるための基盤を提供するための、基本的視座を獲得することを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度も、前年度に引き続いて、文献や資料の収集と整理に従事しており、特に、戦前~戦時また戦後直後の日本の法秩序における「尊厳」の担い手とその内実について、法哲学者や憲法学者の見解を中心に、慎重な分析を行なった。とりわけ、宮沢俊義や清宮四郎といった戦後をリードしていく憲法学者の見解についての検討に力を入れたほか、日本国憲法制定過程における尊厳概念の動向についても注視した。これら自体については、本研究が採る「尊厳」概念の観点からのものではないとはいえ、すでにかなりの先行研究の蓄積があり、その整理や検討にあたり慎重の上に慎重を期しているため、論文の形でまとめるにあたっても、想定よりも多くの時間を要してしまっている。ドイツの戦前から今日に至るまでの尊厳概念をめぐる動向などについても、適宜目配せをしており、これらにも論及する形での論文を仕上げるために時間と労力が思いのほかかかってしまった。《不文憲法としての国体》および日本における「生ける憲法」概念の内実の変化など、法哲学や憲法学を中心に、これまでの基本概念や基本的な見方の見直しにもつながり得るであろう諸点について、検討を重ねてきている。また、本研究の(人間の)尊厳概念の理解の基礎となる、Dietmar von der Pfordten氏の『人間の尊厳』の翻訳作業についても、引き続き従事している。そのほか、今日の日本法における尊厳概念の位置づけについて、近年の様々な法的問題や注目されている訴訟などの分析にも取り組み、特に日本国憲法第24条第2項にある「個人の尊厳」概念が関連する諸問題について、学説・判例の動向を注意深く見ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「研究実績の概要」欄に記載のとおり、これまでの検討を深化させてきてはいるものの、考察の対象について、法哲学・憲法学のメインストリームと対峙するような理解に到達しかねず、先行文献の渉猟に多くの時間とエネルギーを浪費せざるを得ない状況に陥ってしまった。ただ、研究の方向性については、これまで進んできたものでよいということを確信するところまで行き着いてもいる。補助事業期間の再々延長をすることが可能ということで、2024年度こそ、論文の公表と翻訳書の公刊など、アウトプットに取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間について再々延長を認めてもらうことができ、2024年度は、翻訳書の公刊に目処をつけることと、論文執筆・公表を2つの軸として、これまでの蓄積のアウトプットに力を費やすことにしたい。また、円安などの状況から、国外での資料収集についてはかなり難しくなってしまったが、国内の図書館や資料館での文献・資料収集に努めることにしたい。
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