Project/Area Number |
19K01438
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05070:New fields of law-related
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
松村 歌子 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (60434875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 匡子 神奈川大学, 法学部, 教授 (10222291)
宮園 久栄 東洋学園大学, 人間科学部, 教授 (40348446)
清末 愛砂 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (00432427)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | ドメスティック・バイオレンス / 被害者支援 / 加害者プログラム / 裁判所 / 問題解決型司法 / DV加害者 / ソーシャルワーク機能 |
Outline of Research at the Start |
日本では、加害者への働きかけが必要との認識を持ちながらも、法制度の未整備、実施主体が明確でない、ノウハウがないといった理由から、加害者は実質的に野放し状態となっている。そこで、本研究では、いわゆる応報的な懲らしめとしての刑罰を加害者に科し、社会から排除するという従来の手法ではなく、社会を巻き込んだ形で、継続的な教育プログラムの受講を新しい刑罰の選択肢の一つとして模索し、もって被害者支援に資することを目的とする。それこそが、再犯防止等推進法の理念にも適う取組みであり、どのようなアプローチがDVの再加害の防止に資するのかについて法的に検討し、プログラムを支える枠組み・法制度の構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
DVは再犯・再加害の可能性が高く、私的な領域の中での暴力であるからこそ、加害者への働きかけが大変重要となるのに、再犯防止計画からも漏れ、従来の刑事司法的対応では真の問題解決につながっていない。日本でも、DV加害者更生教育プログラム全国ネットワークが設立され、加害者プログラムを実施する民間団体も増えてきたが、任意参加の現状ではプログラムが必要な者にアプローチできていないし、その実効性及び効果が不十分となることが指摘されている。 本研究では、いわゆる応報的な懲らしめとしての刑罰を加害者に科し、社会から排除するという従来の手法だけではなく、社会を巻き込んだ形で、継続的なプログラムの受講を新しい刑罰の選択肢の一つとして模索することで、被害者支援に資する法制度の構築を検討している。どのようなアプローチがDVの再加害の防止に資するのかについて、特に法的な側面から、諸外国の法実践を参考にしながら、加害者プログラムを現行制度にどう位置付けるべきか、DV防止法改正を含め保護命令制度の課題を含め、司法の役割を再確認してきた。 DVや性暴力、セクハラ、LGBTなど性的少数者に対する差別といった問題は、法分野も監督官庁も多岐にわたる。一つの法分野や監督官庁だけでの解決は困難であり、特定の法律だけを改正すれば、解決するような問題ではない。分野横断的に対応できる監督官庁として、北欧の被害者庁に類似する仕組みなど、誰一人取りこぼさない支援ができる体制を作ることや、NZの女性問題省のように、法制度のチェックを行う省庁が必要なのではないか。柔軟でフットワークの軽い、1人ひとりのニーズに合わせたきめ細かい支援を行なうことができる民間団体と行政との関係も再考が必要であり、民間団体のノウハウや人材を搾取するのではなく、対等なパートナーとして財政的基盤の安定を図り、支援者の養成にも力を入れていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年2月以降2023年5月まで、感染症拡大防止の観点から全国的に行動制限が行われた。2021年度以降は行動制限の緩和やZoomなどの活用によりオンライン化が進んだことで、学会での報告や研究活動なども少しずつ活発化し、時間場所を問わずに共同研究者と打ち合わせができる面もあったが、調査や対面での研究活動が十分に進んでいない面もある。 本研究では、2024年度を最終年度とし、DVの再加害防止に向けた法制度の比較検討及び構築を目的として、諸外国の法実践を参考に、日本においてどのような形で加害者に働きかける法制度を構築するのが有効か、加害者プログラムの実施に必要な法制度の構築について、ジェンダーの視点を入れつつ、検討を行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も、国内の加害者プログラムの実施団体や被害者支援団体への聞き取り調査や、関連する学会やシンポジウム・研究会に参加・報告し、情報収集及び関連する研究者や支援者との交流を深め、意見交換を行う等をして研究を進めていく予定であり、具体的には、今年度は法社会学会、被害者学会、司法福祉学会、亜細亜女性法学会、子ども虐待防止学会、ジェンダー法学会に参加する予定である。 また、韓国、台湾やカナダ、アメリカ、イギリス、ニュージーランドの研究者や司法関係者とも交流をし、関連する諸問題の知見を得たり、実地調査について協力を願う予定である。
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