現代日本の政党間競争:棄権者を組み込んだ交換ネットワーク理論と契約理論による分析
Project/Area Number |
19K01483
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
三船 毅 中央大学, 経済学部, 教授 (00308800)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
|
Keywords | 政党間競争 / 棄権 / 投票行動 / フォーマルモデル / 選挙 / 交換ネットワーク / 空間理論 / 交換理論 / ネットワーク |
Outline of Research at the Start |
理論研究を中心に,先行研究の文献資料から先行研究の整理とデータ整理を中心 に研究を進める.選挙,政策形成,分裂・新党に関しては,多様な演繹理論からモデル化が行わ れている.よって,統一的な枠組みとして,本研究は自民党1強形成のメカニズムをゲーム理論 の形式に整理する.理論研究として,ゲーム理論と交換ネットワーク理論との結 合を目指す.演繹モデルを構造的因果推論の方法を用いてデータによる実証分析を行い, 自民党1強が存在するメカニズムと問題点を検証する.
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は有権者の棄権が政党間競争に及ぼす影響をフォーマルモデルにより理論的に分析することである.本研究を開始する前には,政治参加,投票参加,投票率の低下について,いくつかの論文,著作を発表してきた.そのなかで解ったことは2つある.まず,投票参加に関しては実証研究ではその要因が詳細に検討され,理論研究では投票か棄権かを決定する均衡がモデル化されてきたことである.しかしながら,参加の対極である棄権に関しては,政治過程,選挙過程に対して如何なる影響を及ぼすのかについては理論的,実証的にも研究されていないのである. これらの問題を解明するために新たなモデルの基礎をJ.Coleman(1973,90)の「行為の線型モデル」とした.このモデルは過去においては「交換ネットワークモデル」と紹介されたこともある.彼のモデルは,経済的交換や様々な社会的交換において発生する勢力(権力)のメカニズムを考察し実証研究にも適用可能なモデルである. このモデルを適用して解明されたことは,以下のことである.2つの政党,政党Aと政党Bがあり,もしA党よりもB党の政策に対する有権者の関心が大きな比率で低下するならば,勢力比はさらに小さくなり,政党A党の勢力は安定して相対的には拡大しているのである.つまり,現実の政治に即して考えるならば,政権交代が起こり難いような国家では,長期的な棄権率の増加は第1党(与党)の勢力を安定強化させてしまうのである.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗状況としては70%くらいである.やはりコロナ禍による様々な制約が大きい.このような状況が本研究課題の進捗状況に影響を及ぼした要因は2つある. 第1に,大学の教育環境の変化への対応に大きく時間をとられたことによると考えられる. 第2に本研究本研究は有権者の棄権が政党間競争に及ぼす影響をフォーマルモデルにより理論的に分析することが中心であるが,モデルをデータから検証することも必要であると考えられる.よって,インターネットによる調査を2022年の参議院選挙で行ったが,安倍元首相が殺害される事件による調査対象者の心理的変化がバイアスとしてデータに影響を及ぼした可能性もあり,データの信頼性が損なわれることにより実証分析ができていない.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は,選挙における有権者の棄権が選挙過程にいかなる影響を及ぼすのかを,合理的選択理論の枠組みから理論的に検証することである.申請者は,これまでに合理的選択理論(行為の線型モデル)の枠組みから,選挙における棄権者の増加は政権与党の勢力を補強し安定化させる可能性が高いことを検証してきた.この分析枠組・モデルをさらに発展させ,以下の3点を理論的に検証し,棄権がもたらす民主主義の危機を明らかにする. (1) 棄権の発生メカニズム:政党間効用差と疎外感による棄権の発生メカニズムの再構築. (2) 政党・候補数が及ぼす影響:政党数が多ければ票と政策の交換過程で有権者の政党・政策に対する制御能力が低下し棄権増加の可能性を明らかにする. (3) 一票の価値:選挙は政策と投票の交換であるとして,その交換レートが棄権に及ぼす影響を明らかにする.
|
Report
(4 results)
Research Products
(4 results)