将来世代にわたる災害の影響を減殺する生活再建政策に関する提言
Project/Area Number |
19K01629
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Onomichi City University (2020-2022) Kobe University (2019) |
Principal Investigator |
堀江 進也 尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (50633468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入谷 純 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (30107106)
藤井 隆雄 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (80547216)
安岡 匡也 関西学院大学, 経済学部, 教授 (90437434)
土居 潤子 関西大学, 経済学部, 教授 (00367947)
佐藤 純恵 名城大学, 法学部, 准教授 (70623388)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 生産関数の集計 / 異質資本 / サプライチェーン / 老年世代の労働市場への再参入 / 所得分布 / 稼得能力 / 社会保障 / 人的資本 / 災害 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、災害のような外生的なショックを受けた家計が生活を再建するための要件を、 定量的に探索・分析することを目標とする。このために、所得低下や資産毀損だけではなく、 家計の稼得能力の源泉であるいくつかの能力への負の影響を通じた、現世代家計と将来世代家計への災害被害を包括的に捉えることを目的とする。 このために、市民アンケートを実施して、対数正規分布に従う所得分布の構成要素たる、正規分布に従う個人の技能・能力の分布を特定し、その中でも当てはまりのよい能力のうち災害に対する感応度を定量的に把握し、災害が直接的な被害以外にも健康やメンタルヘルスの悪化などを通じて所得低下に与える影響を分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、被災地における生産性の変化について考察するうえで重要な個別企業(ミクロ生産関数)から経済(マクロ生産関数)への集計についての議論を3点について進めた。災害が発生すると企業は個別に被害を受けるが、その影響を集計するが、これはいくつかの論点を含む。ひとつにはマクロレベルでの経済発展の阻害である。これを考察ための基礎として、一般的に用いられるふたつのモデルである宇沢の2部門経済モデルを、同様に広く用いられるソローの1部門モデルへと集計することを示し、Horie, Iritani, Yasuoka(2022)を執筆し、これを日本経済学会の2022年度春季大会で報告した。次に、企業の集計の水平・垂直な集計についてである。これまで水平な企業間での集計を行ってきたが、垂直な企業の系列をひとつに集計してサプライチェーンを構築することは検討していなかった。これを本年度は行い、土居・藤井・堀江・入谷・佐藤・安岡(2022)「サプライチェーン経済の構築」を執筆し、これを日本経済学会2022年度春季大会で報告した。さらに、水平な企業の集計についての議論を進め、Horie and Iritani(2023)"Heterogeneous Capital and Aggregation of Economy"を執筆し、これを日本経済学会2022年度秋季大会で報告した。これらは、1970年代から活発に議論されつつも(ケンブリッジ=ケンブリッジ論争)、否定的な結論が主流となっていた、ミクロ生産関数のマクロ生産関数への集計化に対して、非常に肯定的な結論を与えるめざましい成果と言える。特に3点目については、Heterogeneous Capitalの集計については、ケンブリッジ=ケンブリッジ論争のもう1点の論点についても議論を進めたことから、非常に重要であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在議論の理論的基礎が非常に硬くなってきてはいるものの、サーベイデータとの連結がやや停滞している。今年度産業についての議論を「今後の推進方法」にも記載しているが、実際に用いられている産業分類が、理論的な生産関数としての整合性を持つ(=同じ産業に含まれる企業が同質な生産関数を持つ)ようにはできていないことが、分かってきたことが原因である。そのため、プロジェクトの終了期限を1年延期することを決定した。来年度は、この点について詳細な検討をすることが必要になる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は次のような考えで進める。経済学者は複数の産業を一つのまとまりとして一つの「産業」あるいは部門と見る。その「産業」も単一の財を生産していると見るのである。例えば,我々が産業連関のデータに直面したときに,それを200部門で表現したり,あるいは50部門で表したりする。そしてそれぞれを「産業」と考えるのである。この作業をできることが経済把握に大いに寄与していることはあらかであろう。これらの作業に通底するものは,複数の企業の生産を総体としてみて把握すると,一企業のように見える,つまり,集計可能性を想定しているということである。経済学では古くから,多くの異なる生産技術(あるいは企業)がある特定の分布に従うとき,総体として一つの生産技術(企業)のように現れることが知られている。あるいは,個々の企業から出発した集計作業に基づかず,企業群の行動が1企業のように振る舞っているようにデータとして観測できる場合もあろう。ある企業群,つまり,産業を1主体として見ることのできるための条件な何であろうか。Horie, Iritani and Yasuoka(2022, mimeo) は一時均衡に着目して,宇沢2部門モデルをソロー1部門モデルに集計することに成功している。この貢献はn部門モデルを一部門モデルに集計することに容易に拡張できる。この貢献の目覚ましい点は,個々の企業が最適行動をして要素需要が決定されるとき,その総需要を最適行動(利潤最大化)の結果とするような集計生産関数を見いだしたことである。その集計可能性を成立させる重要な仮定は二つある。一つは各企業の生産技術が一次同次関数として把握されているということであり,今ひとつは一部門の生産物への需要が国民所得の一定割合となっているというものである。これらを加味して、「産業」の分類を考える。
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Report
(4 results)
Research Products
(17 results)