北欧におけるイノベーション政策の刷新とそのミクロ的基礎としての触媒組織・人材
Project/Area Number |
19K01650
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Kansai University (2022) Nagoya Institute of Technology (2019-2021) |
Principal Investigator |
徳丸 宜穂 関西大学, 政策創造学部, 教授 (00387656)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | イノベーション公共空間 / イノベーション政策 / 産業構造転換 / 北欧モデル / フィンランド / 触媒作用 / 公共空間 / ミッション指向型イノベーション政策 / 進化的政策 / 中間組織 / 対話 / 触媒組織・人材 / ミクロ的基礎 / 進化論的政策 |
Outline of Research at the Start |
公共調達によって需要側から民間企業のイノベーションを促進する,新しいイノベーション政策においては,買い手である公的機関と売り手である民間企業の関係を媒介して活性化する中間的組織の役割が重要である.本研究はこれらの役割を触媒作用と呼ぶ.その担い手である触媒組織・人材が触媒作用を果たすメカニズムを明らかにすることが本研究の目的である.具体的には,フィンランドにおける政策実施の事例を対象にして,触媒組織・人材が埋め込まれている社会的・制度的文脈を明らかにした上で,組織・個人の能力が形成・発揮されるメカニズムを析出する.これによって日本を含む先進諸国への示唆を得ることができると期待される.
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究成果は以下の通りである. (1) イノベーションの公共調達において,調達する製品・サービスの革新性を高める上で重要だと考えられる制度的・組織的条件を,フィンランドを対象とした事例研究に基づいて明らかにした英語論文を執筆し,国際学術誌に掲載された.本研究課題全体にとって特に重要な論点は,学習の起爆剤となる矛盾・葛藤を顕在化させる中間組織の役割である. (2) 既存産業が急速に衰退し,地域レベルでの産業転換が必要になった時に,地域の諸組織や中央政府がどのような役割を果たしたのか,またそれら組織の力量を支える制度的条件はいかなるものであったのかを明らかにする論文を執筆し,学術誌に掲載された.フィンランド・オウル市を対象とする事例研究である.本研究課題にとってとりわけ重要だと考えられるのは,いわゆる北欧モデルを構成する諸制度は,機動的な産業転換・新産業創出を可能にするように作用するという論点である. (3) フィンランドにおいては,イノベーションシステムの概念では捉えきれない制度的構図の下で,イノベーション政策が行われるようになってきていることを,ヘルスケアおよび都市再開発に関連したイノベーションの事例をもとに論じる研究を行い,学会発表を行った.そこでは,その制度的構図は「イノベーション公共空間」という概念で捉えうるという試論を提起した.この研究は2022年9月に実施した現地調査に主に基づいている. (4) イノベーションの公共調達に関してフィンランド地方自治体に対して実施した質問紙調査の結果を分析し,研究会にて報告を行った.上記(1)で明らかにした制度的条件がイノベーション成果を高めうるということを,一般的に明らかにしたという意味がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍で2年間渡航できなかったこともあり,現地調査がおよそ2年間分遅れている.そのために,十分な知見を得ることができておらず,実施すべき質問紙調査の課題設定,仮説群,対象について十分に検討できていない.その上,久しぶりに2022年9月に実施できた調査では,新しい政策群が登場しており,その意味・意義を確定させて質問紙調査を計画する必要も生じている.以上のような理由から「遅れている」と判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度9月には再度渡航し,個別事例の調査を深く行うとともに,中央政府レベルでの政策の全体像と近年の変容を俯瞰するための聞き取りを行う.また,地域レベルでイノベーション政策を実施する組織の運営について知るために,いくつかの地域での調査を実施する.以上によって,秋以降の論文執筆のもととなる知見を得るとともに,質問紙調査の企画に資する知見を獲得することにしたい.それを踏まえて2024年度には質問紙調査を実施できるようにする.
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Report
(4 results)
Research Products
(25 results)