Project/Area Number |
19K01654
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
諏訪 竜夫 山口大学, 経済学部, 准教授 (80507161)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | クーン・タッカー・モデル / 持続可能な観光 / 端点階モデル / オーバーツーリズム / 観光地の持続可能性指標 / COVID-19 / COVID19 / 端点解モデル |
Outline of Research at the Start |
近年、日本では観光立国推進基本法が成立し、観光は21世紀の日本の重要な政策の柱として位置づけられている。しかし観光の促進は自然観光資源の過剰利用等の様々な問題をもたらす可能性がある。そのため国内外で入域料徴収や利用人数調整等の施策が導入されつつある。 これらの施策の効果を評価する手法としては、環境経済学の分野は「環境評価手法」を発展させてきた一方で、近年では「観光地の持続可能性指標」が提示されている。 本研究では最新の「環境評価手法」と「観光地の持続可能性指標」を統合することにより、自然観光資源に対する個人の選好を精緻に推定し、各種管理施策による社会への影響を的確に計測する手法を提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は2019年度及び2020年度に日本経済学会、環境経済・政策学会、ヨーロッパ環境資源学会等の関連学会に参加することで、本研究に関連する最新の研究動向を調査した。 さらにそれらの学会では本研究と関連する他の研究者の報告に対する討論者を務めることで、有益な情報収集を実施することができた。さらに2020年度末には観光に関するウェビナーを開催することで新型コロナウイルス流行下での観光動向分析や本研究に関連する観光地の持続可能性指標(STI)に関する研究の情報収集、意見交換を行った。また2019年度には北海道の自然公園において利用調整の実態に関するフィールド調査を実施した。 2021年度からは観光業者へのインタビュー調査、観光客の観光地訪問データの収集を予定していたが、2020年度初頭からの新型コロナウイルス感染症の流行によって、それらの調査を実施することは出来なかった。そこで本研究は2021年度および2022年度はオンラインで多くの関連学会に参加することで最新の研究動向の把握に努めた。特に2022年度にはアジア環境資源経済学会で本研究と深く関連する持続可能な観光に関する実証研究の報告を行った。 2022年度前半も新型コロナウイルス感染症の影響によりフィールド調査を実施することは難しかったが、2022年度後半から多くの外国で入国規制が緩和されはじめた。そこで本研究は自然資源観光が盛んであるニュージーランドでのフィールド調査を実施した。ニュージーランド南島の主要な観光地であるルートバーン・トラックやマウント・クックを視察し、ニュージーランド環境省による自然観光資源管理政策の実態調査を行った。 2023年度は世界的な観光地であるカナダのバンフ国立公園、ジャスパー国立公園の現地調査を実施し、カナダ政府による国立公園入場料徴収や観光客数制限の実態調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、2019年度には日本国内でフィールド調査や研究動向調査、計量経済学的分析の準備を進め、2020年度には本格的なインタビュー調査・アンケート調査の実施を予定していた。しかし2020年からの新型コロナウイルス感染症流行により、それらの調査は実施できなかった。そのため2020年度から2021年度にかけては主にオンラインで開催される学会やウェビナーに参加するこで、情報収集や意見交換を行った。それらを通じて本研究のテーマである観光地の持続可能性に関する最新の研究動向を把握することができた。 2022年度にはそれまで実施できなかった日本国内でのフィールド調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルスの感染症の流行の継続により、国内でのフィールド調査は実施できなかった。しかし2022年度後半からコロナに関する規制が緩和したため自然観光が盛んであるニュージーランドで持続可能な観光の在り方に関する現地調査を実施した。また2022年度にはアジア環境資源経済学会と環境科学会に参加し、本研究と関連する研究報告を行い、さらに他大学の研究者と情報、意見交換をすることができた。さらに2022年度には2021年頃から公開され始めた感染症の流行という観光の新しい要素を考慮した論文のレビューを進めて、感染症等の観光要因を導入した新しい経済モデルの検討を進めた。 さらに2023年度にはコロナ禍は概ね収束したものの、観光動態はいまだコロナの流行以前の状態に完全に戻ったとは言い難かった。そのためコロナ前に状態に近づくことが想定される2024年度に、本研究の最も重要なプロセスである日本国内の観光地でのインタービュー調査やそれらの観光地の利用状況に関するアンケート調査を実施することとした。 そのため本研究の進捗状況は「やや遅れている。」といわざるをえない。そこで本研究は研究期間の再々延長を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では2020年度までの計量経済学的な準備と研究動向のレビューに基づき、2021年度からはフィールド調査と観光客へのアンケート調査を実施することで、観光地の持続可能性指標と端点解モデルを結合した実証研究を進める予定であった。しかし2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の流行により、2021年度と2022年度にそれら一連の調査を実施することはできなかった。そのため本研究は研究期間の再延長を行った。 2023年度に当初予定していたフィールド調査とアンケート調査を本格的に進めていく予定であったが、2023年度の初頭でも新型コロナウイルス感染症は5類へ分類されておらず、2023年度の観光の状況は引き続きコロナ禍の影響を脱しているとはいい難かった。 そのため本研究では2024年度に観光地での観光客や観光関連事業者への聞き取り調査を実施する予定である。また2024年度もこれまでと同様に多くの学会、研究会に参加することで最新の研究動向をより詳細に調査し、他の研究者との情報交換を進めていく。 2024年度に本研究を進めるにあたっては、研究計画立案時に考慮していなかった新型コロナウイルス感染症の流行の影響を考慮する必要がある。コロナ禍を経たことで人々の観光への意識、特に混雑や感染症対策に対する認識が大きく変化した可能性が高く、コロナ収束後の現在においても人々の観光への選好が新型コロナ流行前と比べて大きく変化していることが予想される。そのため2024年度にアンケート調査を実施することで、コロナ流行による外出制限の影響が無い状況でのデータが入手できる一方で、観光客の新しい選好を推定できる可能性がある。その際にこれまでに刊行されたコロナと観光の関係に関する論文を参考にすることで観光地の持続可能性の評価項目に感染症という要素がどのように加わるのかを検討することができよう。
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