Project/Area Number |
19K01663
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
大坂 仁 京都産業大学, 経済学部, 教授 (90315044)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | アジア経済 / 脱工業化 / 産業構造変化 / 中所得国の罠 / アジア |
Outline of Research at the Start |
本研究課題ではアジアにおける中所得国の罠を分析し、あらたな開発政策を提示することを研究目的とするが、それにはまずアジアの脱工業化とそれに伴う産業構造変化の実態把握が重要である。中所得国の罠とは所得レベルの上昇が頭打ちとなり、高所得国入りできない中所得国の問題を指すが、この中所得国の罠を避けるには継続的な労働生産性の伸びが重要となる。本研究課題では中所得国の罠の主な要因の一つに未熟な脱工業化の問題があると考え、主にマクロ経済データを用いて実証的に分析していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き文献・先行研究レビューを行い、実証分析においても昨年度の回帰分析に追加的な計量分析を行った。まず、先行研究においてコロナ禍(COVID-19)の感染状況が改善し、利用できるデータも少しずつ入手が可能となりつつある状況で、Viollaz, Duque, Diaz-Bonilla, Newhouse and Weber (2023)などコロナ禍が途上国経済に及ぼす影響に着目する分析もみられるようになってきた。 次に、実証分析において本年度も世界銀行のデータを用いて回帰分析を行った。昨年度は1人あたり所得にみられる経済成長と工業化を示すデータに逆U字の関係がみられることを示したが、今年度は推定された逆U字における転換点でデータを二分し、それぞれのサンプルで回帰を行うことで線形での関連性を分析した。また、可能な範囲で階差変数における回帰分析も行っている。結果として、アジア中所得国の経済成長に工業化は寄与し、また更なる経済成長において脱工業化の産業構造変化がみられることが昨年度と同様に示された。ただし、それぞれの説明変数において重要性は異なっている。水準値のデータでも階差変数においても、工業化の要因として人口の増加(プラス効果)を挙げることはできるが、脱工業化において人口の統計的有意性は示されなかった。一方、工業化および脱工業化の要因(いずれもプラス効果)として投資や人的資本の重要性を挙げることができる。特に、人的資本のパラメータ推定値は工業化よりも脱工業化で大きいことが示された。これらの結果は、昨年度のデータ分析で得られたように工業化には労働投入、またサービス業を中心とする更なる産業構造変化に投資や人的資本の拡大が重要であることを示すものである。なお、これらの産業構造変化におけるデータ分析の結果は、産業別にみる労働者比率よりもGDP比率で強く示唆されるものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度もコロナ禍によって研究活動に影響を受けた。本年度は昨年度と異なり、夏期に海外へ出張することができたが、予防的に出張回数を減らすなどしたため資料集収集や意見交換などの活動で制約を受けることになった。 なお、これまでの分析で示したように、中所得国全体としては1人あたりGDPにみられる成長率が高所得国よりも高い傾向にあり、中所得国の罠の存在を支持しない結果となっている。ところで、最近の研究でコロナ禍による途上国経済への影響においても検証が行われるようになってきており、特にViollaz, Duque, Diaz-Bonilla, Newhouse and Weber (2023)では、コロナ禍で多くの途上国で失業の増大や所得の減少が推測される結果が示されている。このように、コロナ禍によって本研究に遅れが生じているものの、同時に先行研究によって新たな課題も示されるようになってきた。 次年度は研究課題の最後の年度となるが、コロナ禍によって延期していた幾つかの出張を予定通り実施することで、関連資料やデータの追加的な収集などを行っていく予定である。いずれにしても、全体として当初の予定より研究の進捗状況はやや遅れていると判断している。 (参考文献) Viollaz, Mariana, Daniel Duque, Carolina Diaz-Bonilla, David Newhouse, and Michael Weber (2023), “From middle class to poverty: The unequal impacts of the COVID-19 pandemic on developing countries”, World Bank Policy Research Working Paper 10304.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はコロナ禍の感染状況が著しく改善しているため、当初の研究計画に基づいて資料およびデータ収集のため国内外の出張を予定通り行う。特に今後の研究として、コロナ禍による影響で分析が遅れていたアジアの脱工業化と生産性格差の問題を取り上げていく。また、計量分析に必要なマクロ経済データに関して、世界銀行などの国際機関のデータベースを利用して時系列データやパネルデータの分析を行っていく。これらの分析に関しては最新の分析手法の情報を入手し、先行研究を参考に分析を試みる。 なお、昨年の先行研究の論文の中に、途上国経済へのコロナ禍の影響を分析したものがみられた。特に、Viollaz, Duque, Diaz-Bonilla, Newhouse and Weber (2023)は途上国の労働市場におけるコロナ禍の影響に関して興味深い分析を行っている。彼らの分析では、ブラジル、スリランカ、フィリピン、南アフリカ、トルコなどをサンプル国としてコロナ禍の雇用や所得への影響を推定したところ、サンプル国によって程度の差は異なるものの、いずれの国でも雇用の喪失や所得の減少が推測され、中には農業部門の増大がみられた国もあった。このように、コロナ禍における途上国のデータも少しずつ利用可能となっているため、本研究課題に関連して、コロナ禍の影響についても可能な範囲で分析を試みたい。 上記に加えて先行研究レビューも引き続き行い、本研究課題に関する最新の研究動向を把握していく。また、国内外の研究者とこれまでの研究内容について情報交換を行っていくなど、アジア途上国の今後の経済成長へ向けた考察と将来的な展望を行っていきたい。
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