Project/Area Number |
19K01684
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
田村 晶子 法政大学, 比較経済研究所, 教授 (30287841)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 直接投資戦略 / 戦略不全企業 / 国際競争力 / ゾンビ企業 / 投資マネジメント / Miles=Snow理論 / ICTインフラ / 海外直接投資 / 企業の投資戦略 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、近年の貿易論で注目されている「企業の異質性」が海外進出パターンに与える影響・効果の分析に、企業の投資戦略タイプという視点を導入する。特に、従来の研究では除外されてきた、戦略不全に陥っている受身型企業を分析対象に含める。戦略不全企業は、利益をよく見ようとする利益調整を行うことで生き延びている可能性が高いため、「ゾンビ企業」の測定に関わる一連の研究を参考に、企業の受身型傾向を測定する。市場環境の変化にうまく対応できずに受身型傾向を強めている企業を含めることで、直接投資のマクロの国際競争力への影響をより正確に測定することが可能になる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の学術的な問いは、国際競争力を高めるための企業の投資戦略はどのようなものかを解明することである。特に、従来の研究では除外されてきた、戦略不全に陥っている受身型企業を分析対象に含める。戦略不全企業は、利益を多くみせようとする利益調整を行うことで生き延びている可能性が高いため、「ゾンビ企業」の測定に関わる一連の研究を参考に、ゾンビ企業と企業の受身型傾向との関係を分析する。 共同研究者の清水信匡他が行った日本の製造業企業へのアンケート調査(2016年)から、投資戦略タイプ(防衛型傾向、探索型傾向、分析型傾向、受身型傾向)の傾向を、様々な指標により調べた。さらに、そのサンプル企業に関して財務データを調べ、インタレスト・カバレッジ・レシオを負の対数変換した指標を用いて、企業のゾンビ化傾向を測った。戦略タイプの傾向と「企業のゾンビ傾向」との関係を、ビジネス環境、企業規模、産業特性をコントロールした上で分析した実証分析の結果、受身傾向が強いほどインタレスト・カバレッジ・レシオが低下し、ゾンビ傾向が強まることがわかった。 本年度は、企業の投資戦略タイプにマッチした投資マネジメントについて分析し、どのような投資マネジメント・プロセスが企業の収益率を高めるのか分析を進めた。さらに、新しい視点として企業の内部管理に注目し、日本企業の事業部制は投資センターとしての役割を果たしていたかを検討した。分析の結果、多くの日本企業の事業部制は投資責任を持っておらず、積極的な投資戦略を持っていないことが明らかになった。また、事業部制が機能していない企業は戦略不全に陥りゾンビ化する可能性があり、新しい形の事業部制が、企業を戦略不全から脱却するには必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本の製造業企業へのアンケート調査(2016年)から、投資戦略タイプの傾向として、防衛型傾向、探索型傾向、分析型傾向、受身型傾向を様々な指標により調べ、2016年の前後3年間の財務データを集め、「ゾンビ企業」とされる指標を計算し、投資戦略タイプとの関係を分析した。実証分析の結果、受身傾向が強いほどインタレスト・カバレッジ・レシオが低下し、ゾンビ傾向が強まることがわかった。さらに、防衛傾向は、受身傾向より推定値と有意性は低いものの、防衛傾向でもゾンビ化傾向が強まるという結果となった。そこで、戦略不全の受身型企業だけでなく、防衛傾向の企業もインタレスト・カバレッジ・レシオが低下してしまう原因について、さらに分析する必要がある。 また、受身型企業が強い企業が「ゾンビ企業」になるのか、「ゾンビ企業」になった企業が受身型傾向を高めるかなど因果関係の方向を検討するため、時系列データのより厳密な分析が必要となる。また、「ゾンビ企業」が適切な投資戦略により復活する可能性についても分析を始めている。 今年度は、日本の企業の内部管理と収益性の変遷をまとめ、企業の収益性を高める投資戦略への新たな視点、特にゾンビ企業の再生させる投資戦略を模索して、日本企業の事業部制の特徴などから、いくつかの可能性を検討したものの、まだ十分な実証分析が行われていない。 アンケート調査による分析ではサンプル数が少ないため、引き続き、財務データを用いて企業の戦略傾向を計測する手法を確立し、分析対象となるサンプル企業を増やす方策を模索する。
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Strategy for Future Research Activity |
「ゾンビ企業」と定義される指標を、今年度行った金利支払い能力を重視した指標(インタレスト・カバレッジ・レシオ等)に加えて、経済パフォーマンスも考慮した研究を参照して、さらに検証を続ける。アンケート調査に加えて、企業の財務データを分析して企業の戦略傾向を測定する作業も続け、特に戦略不全企業である受身型企業の戦略傾向の測定に関して、どのようなデータが有効かについての精査を行う。その上で、戦略不全企業と「ゾンビ企業」の関係、「ゾンビ企業」の投資マネジメントについて検討する。また、他の機能的な戦略(探索型、防衛型、分析型)により「ゾンビ企業」が復活すること があるのか、理論的、実証的な分析を進める。 今までの研究では、企業の投資戦略タイプにマッチした投資マネジメントについて分析し、どのように企業の収益率を高めるのか分析を続けてきた。今年度の分析では、企業の内部管理に着目し、新しい形の事業部制が企業を戦略不全から脱却するには必要であることが示唆された。本研究課題の締めくくりとして、どのような投資マネジメントが企業の業績を高め、「ゾンビ企業」を復活させ、国際競争力を高めるのかについて分析を行う。
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