Project/Area Number |
19K01685
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
上山 仁恵 名古屋学院大学, 経済学部, 教授 (90295618)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 少額投資非課税制度 / NISA / 家計 / 個人投資家 / 資産選択 / ポートフォリオ分析 / 証券市場 / 証券投資 / NISA / 金融リテラシー / 住宅資産 / ポートフォリオ |
Outline of Research at the Start |
本研究では、2014年1月からスタートした少額投資非課税制度(通称NISA)による日本人の資産選択の行動に与える政策効果を検証する。具体的には、NISA導入により、1)新規の証券投資家を増やしたのか(NISAによる新規投資家の証券市場への参入効果の検証)、2)新規の証券投資家を育てたのか(新規投資家の証券市場参入後の行動分析)、という2つの観点から詳細な実証分析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2014年1月からスタートした少額投資非課税制度(通称NISA)の日本人の投資行動に与える政策効果について検証することである。 なお、岸田政権は2022年12月、現在のNISA制度を大幅に変更し、新しいNISA制度を2024月1月から始めることを公表した。具体的な変更点は、1)非課税期間(現制度の5年間)を無期限にすること、2)つみたてNISAと一般NISAの枠を無くして併用を可能にすること、3)年間投資枠を最大360万円に拡充すること、といった点が挙げられる。岸田政権が打ち出している「資産所得倍増プラン」を背景にNISA制度は大きく変わることなり、NISA制度の政策的な評価に関わる研究は益々重要な意義を持つと考えられる。 以上を踏まえ、2022年度の研究は、NISA口座を利用した投資銘柄の非課税期間終了に関わる行動について分析を行った。非課税期間が終了する投資銘柄については、1)売却する、2)課税口座に移行して投資を継続する、3)ロールオーバーする(新たな非課税管理勘定枠への移し替え)のいずれかを選択することになるが、ロールオーバーの認知度は利用者の半分程度であり、十分理解してNISA制度を利用しているかどうか危惧されていた。従って、NISA利用者に調査を行い、ロールオーバーに関わる属性分析を行った。 その結果、高齢者や金融リテラシーが低い人、金融機関や家族・知人等の勧めでNISA口座を開設した人、NISA口座の投資で損失を経験している人ほど、ロールオーバーの理解が低いことが判明した。すなわち、NISA口座の開設の際にはより丁寧な説明が問われるが、5年間の投資期間では損失になる可能性もあり、非課税期間の無期限化という制度変更の妥当性を裏付けた分析結果を提示できたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「やや遅れている」理由は、岸田総理が2022年5月に資産所得倍増プランを表明し、NISA制度の変更を示唆したが、具体的な制度変更の内容が2022年12月まで不明であり、NISAに関わる研究を進めることが難しかったためである。 また、2022年度はNISA制度のロールオーバーの認知度に関する調査・研究を進めていたが、NISA制度の変更の1つとして、非課税期間の無期限化(すなわちロールオーバーの廃止)が決まったため、ロールオーバーに関する研究意義がやや低下してしまった。当初、ロールオーバーに関する研究は2022年度の秋の学会等で発表を予定していたが、廃止の見通しが広がったため、ロールオーバーに関する研究の深堀が難しくなり、研究の方向性を変更することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、若者がNISA制度を利用する際、非課税期間が長いつみたてNISAを利用することが多いが、年間投資枠が40万円(つみたて額は月平均3万円程度)であるため、NISA口座以外を利用した投資や貯蓄手段を考える(行う)可能性が高かった。 しかし、新しいNISA制度では、年間投資額が大幅な増加となるため、収入が低い若者層を中心に、NISA口座だけを利用した資産運用(すなわち預貯金等の安全資産の貯蓄をしない行動)を採る人がある程度発生することが考えられる。特に、若者層は金融リテラシーが低く、分散投資の重要性を十分理解していない人も多いため、政府や金融機関のNISAの利用推奨に関わる宣伝等を背景に、NISA口座だけの運用に偏り、預貯金等の安全資産の確保が不十分となる可能性も考えられる。 以上の懸念事項を背景に、本研究の今後の推進方策としては、若者を対象に、NISAの利用や貯蓄手段の内訳に関する行動について分析し、新しいNISAの普及に関わる政策提言を行う予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(7 results)