Project/Area Number |
19K02037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
佐藤 雅浩 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (50708328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 智和 大妻女子大学, 人間関係学部, 准教授 (00508244)
櫛原 克哉 東京通信大学, 情報マネジメント学部, 専任講師 (00814964)
山田 理絵 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任助教 (70837335)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 医療化 / 心理学化 / 精神医療 / ワークショップ / 摂食障害 / 精神疾患 / うつ / 発達障害 |
Outline of Research at the Start |
この研究は、日本社会を主たる対象として、社会の「医療化」(=従来は教育・宗教・法・家族等の領域に委ねられていた問題が医療的な介入の対象となること)もしくは「心理学化」(=心理学的な知識や技法が日常生活の多様な局面に介在するようになること)について、社会学的な実証研究を行うものである。本研究では、上述の「医療化」や「心理学化」に関連する複数の事例を調査し比較することで、それらの類似点や相違点を明らかにし、既存の医療化論・心理学化論に対して新たな知見を提供することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究の4年目にあたる本年度は、これまでと同様に、研究プロジェクト全体にかかわる研究活動と、各研究組織構成員の役割分担に沿った調査研究活動を並行しておこなった。前者に関して言えば、今年度は外部の研究者を交えた研究報告セミナーを6月と8月の2回にわたって開催し、社会の心理学化および医療化に関する学術的知見の深化を試みた。また10月と12月には、外部のコメンテーターを招いて研究組織構成員の出版した書籍(『メンタルクリニックの社会学』および『創造性をデザインする』)に対する合評会を2回にわたって公開で開催し、本研究活動によって得られた学術的な知見を、広く一般社会に還元することを目指した。次に後者の各研究組織構成員の調査研究としては、研究代表者の佐藤は精神科医を対象とした医療化の進展に関する意識調査の分析結果を論文として公表するとともに、昨年度から引き続き「健康と生活に関する意識調査」によって得られた量的調査データの分析を行った。また研究分担者の櫛原は、精神科診療所の歴史と医療者および患者を対象に実施した社会学的調査の結果をまとめた上記の著書を刊行したほか、大学生のメンタルヘルスの国際比較という視点から、学生相談に従事する心理職を対象にインタビュー調査を実施した。同じく研究分担者の牧野は、ワークショップやファシリテーションを活用したまちづくりの手法についての分析章を収録した上記の書籍を刊行し、社会の心理学化に関する研究活動を継続しておこなった。また同じく研究分担者の山田は、継続的に実施している摂食障害の自助グループに関するインタビュー調査を行った他、受刑者のなかで摂食障害を持つと診断されている人々の処遇について全国4カ所の刑務所を訪問し、摂食障害をもつ受刑者の処遇に関して関係者にヒアリング調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの研究計画においては、本年度が研究の最終年度にあたっており、研究代表者および研究分担者が各種の調査によって収集した社会の医療化および心理学化に関する調査データを比較考察し、当該研究領域に対する新たな理論構築を行うことが目指されていた。しかし2020年度から継続する新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴い、今年度も対面での研究会や遠隔地での調査など、実施が困難になった活動が存在した。そのため、研究期間をさらに1年延長し、今年度はこれまで得られた調査データの分析や研究成果に基づいた書籍や論文の執筆および刊行、外部の研究者を招いての学術交流、一般社会へむけた研究成果の公表などの活動に専念することとした。その結果、上記のとおり各研究組織構成員は、これまでの研究成果をまとめた書籍出版物の刊行や、セミナーにおける研究成果の発表など、充実した研究活動を行うことができた。また秋から冬にかけて開催した研究組織構成員による刊行物に対する2回の合評会においては、医療関係者や人類学者、カウンセラー、研究者以外の一般参加者など、多様なバックグラウンドをもった参加者との学術的な交流をもつことができた。その結果、社会の医療化および心理学化に関して、社会学以外の知見による現象の記述や分析の可能性について、新たな知見を得ることができた。以上の諸点から、昨年度末の時点で予定されていた研究活動は一部制限された点があるものの、全体としての研究活動はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、研究期間の再延長が認められたため、次年度が研究の最終年度となる予定である。そのため、次年度にはこれまで新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴って延期されていた残りの研究活動を遂行するとともに、当初の研究計画に基づいて研究結果の総括を行う。具体的には、研究組織構成員を中心とした研究会を複数回実施し、これまでの研究活動で得られた経験的あるいは理論的な知見を統合し、社会学を中心とした領域において蓄積されてきた「医療化」「心理学化」概念に対して、新たな学術的貢献を行うことを目指す。なお上記の研究統括に関する作業は研究代表者の佐藤が中心となって行うが、その他の研究分担者は、引き続きそれぞれの研究対象に応じた調査研究も継続しておこなう予定である。すなわち櫛原は、来年度に公立小中学校の教職員を対象とした発達障害に関する調査結果を集約するほか、精神医療における非自発的入院を研究テーマとし、継続して医療機関におけるフィールドワーク等を実施する予定である。また研究分担者の牧野は、2022年に行われた全国的な若者調査のデータを用いて、(1)自己啓発書購読の規定要因が10年前とどう変わったのか、(2)自己に対する再帰性を高めることが、アイデンティティの確立および成人期の発達課題にどのような影響を及ぼすのか、という2点の課題について計量的な分析を行う。さらに山田は、これまでも実施してきた摂食障害の関係者へのインタビュー調査を継続して実施しつつ、文献調査に基づいて摂食障害の医療化過程について考察を行うと同時に、摂食障害がある受刑者の処遇に焦点を当てた調査を発展させ、文献調査やフィールドワークを実施する予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(20 results)