Project/Area Number |
19K02046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
飯島 伸彦 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (20259310)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | アジェンダセッティング / 人口減少 / 言説分析 / 内容分析 / 間テキスト分析 / 人口減少社会 / アジェンダ設定 / 社会的構築 / 新しい生活困難層 / 間テキスト言説分析 / 異次元の少子化対策 / 間テクスト分析 / 日本創成会議 / 地方創生 / 少子化社会 / 高齢化社会 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、民間団体としての「地方創生会議」の一連の文書・言説、およびそれに関連する行政省庁の政策文書および与野党の政治的文書の収集および分析を系統的に行い、さらに中部地域における地域政策への影響について具体的に検証する。また、全国紙の報道や地方紙の報道を中心に、系統的な地方創生言説の展開、政策の展開を跡付ける。同時に、中部地域における地域政策担当者、経済団体、住民リーダー、NPO関係者への聞き取り調査を通じて、人口減少問題がどのように受け止められ、影響力の構造にどのような変化があり、時系列的な重心・重点の変化・違いについて検証し、最終的に具体的な提起のあり方の提案をめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新型コロナ状況前および後の展開を受けて、現代日本社会における「人口減少問題」がどのようにアジェンダされ、メディア報道の展開、政策展開が進められつつあり、さらにはあらたな展開を見せているかの検討を行った。現在の急速な人口減が進みつつある中でのあらたな展開についても焦点化した。 第1に、人口減少の問題は日本の社会が成熟社会を迎える中で、少子化の進行と高齢化の進行という同時進行する事態を接合し、人口減少問題としてアジェンダされてきた経緯がある。そのアジェンダのされ方について、日本社会が抱える隣接する社会課題とどのように関連させながら言説展開がなされてきたかを検討した。現代日本社会の人口構成に関わる複合的な諸要因のなかでどのような課題・要因と関連させて課題設定されてきたかについて検討を行った。そのなかで社会が分極化・格差化が進んできているというとらえ方との関連で、新しい生活困難層」の諸問題との関連などを重視する必要性について検討した。 第2に、課題設定のされかたとメディア言説との関係、政策展開のありかたの関係について、政府および自治体を中心に主として少子化対策と高齢化対策等との関係を明らかにした。依然として取り組まれている従来型の取り組みがなされているが、その具体的な展開について新型コロナ前、新型コロナ状況下、新型コロナ後の対策の展開についての検討を行った。 第3に、以上のマクロ社会的状況の変化の検討を踏まえて、地域類型(大都市部、大都市周辺部、地域中核都市、地域周辺部などの類型化)を一定押さえたうえで、各地域における当該課題の課題状況、アジェンダのされ方の特徴などの検討を行った。 第4に、人口減少問題が主としてどのようなアジェンダの特徴をもっているか、リスク社会論などを踏まえて、そのアジェンダのされ方、取り組まれ方の特徴について、社会理論的な検討を踏まえて、検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度の研究は前半については新型コロナ状況が継続しており、当初予定の地域調査等が順調に進んでいない現状である。さらに新型コロナ状況から通常の社会の状態に復帰が進む中で、人口減少問題は少子化問題においても高齢化問題としても、新たな課題が生じてきている。 第1に、この課題は日本社会が抱える長期的な課題であるとともに、各地域が抱える中長期的な課題と関連しており、その地域類型が抱える社会課題との関連のもとに分析考察され、アジェンダされなければならない面があるにもかかわらず、人口問題という問題がどうしてもナショナルな問題・課題として認識・アジェンダされ、現代日本特有の中央―地方関係のもとで、政策展開が行われてきたという経緯がある。 第2に、日本社会における社会課題としてのジェンダー編成の歪みの蓄積との関連で、人口減少問題はとらえられなければならない面が十分踏まえられていない点についても検討が必要である。2010年代以降のこの問題の展開について、「新しい生活困難層」との関連で分析がすすめられなければならないが、その際にジェンダー編成上の特徴と関連させて取られなければならない。その点、十分な検討ができなかった。 第3に、自治体の人口減少が対策として、それに密接にかかわる政策領域(育児・貧困・ジェンダー・介護など)との関連で人口減少という課題設定がどのように具体的に関わるかについての検討も不十分であった。 以上のような課題について、中部地域の具体的な地域調査を行う予定であるが、調査の実施、分析の進展について、十分な研究が行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、新型コロナ状況が途中まで継続するなか、地域の調査は不十分で必ずしも予定通りに研究が進まなかったため2023年度に実施できなかったことを2024年度は進める。また、少子化対策という点での新たな展開が中央政府レベルで展開されているため、人口減少社会の問題の言説分析を進めつつ、人口減少問題全体の中での少子化問題の位置づけも再吟味しその地域的展開、全国的な政策と地域政策、全国的問題の推移と地域的問題の推移についての関係について、その関連する周辺領域も含めての分析枠組の整理を進める。新しい生活困難層の問題、育児、働き方、ジェンダー、介護などとの関連についての分析を進める。それらに基づきつつ、各種の政府文書、経済団体文書、自治体文書、マスメディア言説の間テクスト分析を進めそれらを前提にしつつ、地域を限定して地域の政策分析、地域分析・地域メディア分析・調査を行う。2024年度あらたなる少子化対策が中央政府レベルで展開されつつあるなかでの、地域への影響に対象を絞った形での分析を進め、その隣接・周辺領域についての施策・政策の言説のテクスト分析・キーワード分析を実態と突き合わせつつ進める。さらには焦点をしぼり基礎自治体を選んだうえで同様の分析を進める予定である。また、2024年度後半には具体的な自治体・地域についての言説分析にもとづきつつ地域の政策・施策の実態調査、地域メディアの実態調査・実地調査を行っていく。新型コロナ状況のなかでの当該地域の人口構成の推移、動態、さらには政策・ 施策も調査し、また、新たなる少子化対策が打ち出されつつある中での地域政策の展開、メディア言説の展開についての課題状況・政策展開・実施の状況の分析・調査を行っていく。そのうえで、自治体・地域の対応の類型をパターン化、人口減少問題についての地域社会の対応・反応について分析考察し、まとめていく予定である。
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