地域社会における歴史意識の現状と今日的課題―「郷土史」の危機と重層性の研究―
Project/Area Number |
19K02049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
高田 知和 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (70236230)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 郷土史 / 地域史 / 専門家 / 非専門家(素人) / 歴史叙述の主体 / 郷土史家(郷土史研究家) / 郷土史団体 / 地域史誌 / 歴史意識 / 郷土史家 / 字誌 / 地域社会 / 重層性 |
Outline of Research at the Start |
「郷土史」とは、アカデミズム史学と異なりその地域で暮らしている人たちによる、自分たちの住む地域の「歴史から広く民俗、社会全般に及ぶ総合研究」で、「無形資料」や生活の実感も含めた生活総合の研究と言ってよい。だが今日、全国に渡って「郷土史」の危機というべき状況が見られる。それは「郷土史」に携わる人たちの減少、郷土史団体の不振―会員の減少、高齢化・固定化、種々の活動の停滞など―と、それらに伴う地域に残る有形無形の地域資料の継承が困難になっていく事態である。この点に鑑み、本研究では独自の視点を設定し「郷土史」の重層性の点からその現状と今日的課題を明らかにし、地域社会の歴史意識を問うていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度取り組んできたことは、次の通りである。 まず、ある一つの郷土史団体に深く関わって現地調査、関係者からのヒアリング、参与観察、それとこれまで同団体が歩んできた歴史の文献調査を行なった。同団体は1950年代に設立されたところで、当初は一人の突出した郷土史家(郷土史研究家)が中心になって活動していたが、彼が死去した後は複数の人たちが中心になって郷土史研究をすることとなった。やがて、郷土の歴史研究や調査だけでなく、むしろ地域づくりとも関係するようになる。そして近年では行政の歴史文化財関係部署と連携しながら活動を行なうなど、その性格に変化を見せながら継続してきた団体である。 ついで、同団体の近隣にある諸郷土史団体についても同様の調査を行なった。そこでは活動が休止しているものもあれば、活発なところもある。郷土史の研究調査に軸足を置いている団体もあれば、他方で広く市民活動を行なっているところもあるなど一様ではない。 また、それらの団体の活動を総体的かつ相対的に理解するため上記以外の地区の郷土史団体についても主に歴史的経過を調べた。設立時期は戦前にさかのぼるものもあるが多くは戦後であり、1950年頃の文化運動のなかでつくられたりそれ以降の歴史ブームのなかでつくられたものもあるが、いずれも当初は突出した郷土史家(郷土史研究家)が中心になっていたものが多く、最初に述べた団体と同じくそうした人がいなくなった後で活動に変化が見られたものもあった。 総じて、これら郷土史団体は今日ではどこでも高齢化と会員の減少のために活動が沈滞・休止しているところが見られるが、他方で行政の歴史文化財関係部署との関わりが深くなっていることも多く、また大学などの専門家との連携も見られる。本年度はこれらのことを現地調査するのに費やした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のために研究に大きく支障をきたしてきたが、本年度は「研究実績の概要」で述べたように個別の郷土史団体に即してその変容と現況を調べることで遅れを取り戻しつつある。 これまでは郷土史団体といってもかなり大きなところに関心を寄せがちであったが、中小の団体に幾つもコンタクトをとって直接調べることで研究上で新しい局面を見出し得たと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
一つは本年度の「研究実績の概要」で述べた郷土史団体について引き続き接触して調べていくこと、二つめに行政の歴史文化財関係部署との関わりを深めて考えていくこと、三つめとして当初より調査を考えていた規模の大きな郷土史団体を調べていくこと、そして四つめとして諸団体の会誌や会報にあたって、時間を遡って見ていくことを通じてそうした諸団体の性格の変化を明らかにしていくこと。 これらの作業を通じて、郷土史団体の現状を明らかにして今後の展望を考えていきたい。
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Report
(5 results)
Research Products
(8 results)