自己に内在する公共性を喚起し、個人と公共性の矛盾を解消する道徳教育の在り方
Project/Area Number |
19K02390
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
生越 達 茨城大学, 教育学研究科, 教授 (80241735)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 共感的理解 / 対話の対等性 / 対話の多層性 / オープンダイアローグ / 子どもに学ぶ理解 / 対話 / 道徳性 / 対等性 / 異質性 / 共存在 / 異質な他者 / 対話性 / 他者とのつながり / 内なる公共性 / 内なる道徳性 / いじめ防止対策推進法 / 近代的自我と共同性 / 林竹二の授業 / よだかの星 / 金八先生 / 自然な道徳 / 現象学 / 公共性 / ハイデガー / 道徳科 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、今日求められる道徳教育の課題が、公共性と個人の矛盾の解消にあることである考え、ただこの課題が実は見せかけの課題であり、実は個人の内に公共性は内在化していること、したがって道徳教育の課題は、この内在する内なる公共性を引き出すことであることを現象学的研究、特にハイデガーやメルロ=ポンティの思想に示唆を得て明らかにすることを目的としている。また上記のような立場から、具体的な道徳科の授業において、どのような授業を行ったらいいのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、公共性は教育によって外から注入されるべきものではなく、人間存在の内にすでに存在しているということ、ただ競争原理が重視される現代社会においてはこの公共性は外在化しにくいのではないかということ、こうした二つの仮説のもとに、この仮説の真偽を明らかにし、もし真理だとすれば、どのようにすれば内在する公共性を外在化できるのかを明らかにすることを目的とした。 まず明らかになったことは、ハイデッガー現象学、ブーバー対話哲学、ロジャーズ心理学ばかりではなく、生物の進化や文化人類学研究、さらには精神医学をはじめとする医学研究などをとおして、公共性が人間存在の根底に存在すること、したがって個と公共性は矛盾するのではなく、個の内側に深く公共性が浸透していることであった。 そこで次に対話哲学等をとおして明らかにしたことは、それでは内在する公共性を喚起するためには、どのような実践が求められるかということであった。それは対等性と多層性に拓かれた対話をすることそれ自身が、人間を公共性に拓き、個であることと公共的存在であることとの矛盾を解消できるということであった。 道徳教育という視点から具体的に考えると、教材として人間が対話的存在であることに重点を置くこと、またその教育方法としても、対等性と異質性(多層性)を大切にした対話を取り入れること、また日常の学級経営や授業を対話的に実践することが対話の地盤づくりとして必要なこと、などが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は研究の最終年度だったが、実際には具体的な道徳の授業を意識するところまでは研究を進めることが出来なかった。上記で明らかになった点を踏まえて、具体的なカリキュラム作りや授業づくりを創ることが残る課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
理論的な研究はすでに目途がたっているので、今年度は道徳の授業に関する先進例などを研究しながら、具体的なカリキュラムや授業例について検討する課題を実施する。
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Report
(4 results)
Research Products
(10 results)