Project/Area Number |
19K02403
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Ikueikan University |
Principal Investigator |
小林 伸行 育英館大学, 情報メディア学部, 准教授 (60827153)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 社会関係資本 / 成人期 / 社会教育 / 生涯学習 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、社会関係資本の教育的効果が子ども期のみならず成人期においても認められるかを検証しようとするものである。そのために、子ども期の社会関係資本と教育的効果の尺度の妥当性を精査し直したうえで成人期にも援用可能なものとすべく、まず社会関係資本の概念を理論的に整理する。次に、一定程度以上の社会教育施設・活動が認められる特定地域の成人を対象として、社会関係資本の教育的効果が認められるかを定量的に調査・分析したうえで、認められる場合は特に効果の高い社会関係に対して社会教育が支援する方策を見出すための、認められない場合はその阻害要因を取り除き効果を高める方策を見出すための、主に質的な追加調査を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新型コロナウイルスの流行が長期的な収束を見せ始めたことから、比較対象となる先行研究とどの程度まで条件・環境が近似しているかを確認するため、予備的な追加調査を行った。その結果、想定以上に個人の行動様式や価値観が変容していることが示唆されたものの、昨年度までに進めてきた論点整理や予備調査の成果を反映させることができた面もあることから、成人期との比較や成人期への援用に際しての注意点を見出すことができた。
その一つは、交流形態への適性や当人の選択次第では、社会関係資本が多い者であっても一律に教育的効果が高まるとは限らない点である。例えば、施設利用を通じて維持されていたつながりがコロナ禍後にオンラインでの交流形態に移行した結果、オンラインでの活動・交流に馴染まない者の場合にはつながりが絶たれやすいのに対して、慣れている者の場合には活動・交流が活発化する契機ともなり得るなど、各自にとって再開しやすい活動や再構築しやすい関係性が優先されて関係性の再構築や活動の再開が行われる傾向があった。これは、社会関係資本に由来する教育的効果(の増減)と当人自身の選択に基づいて変動する教育的効果(の増減)を区別する必要性を示唆しているとも言える。
また、先行研究では社会関係資本の多寡を主として静態的に捉えた上で、資本の多い者と少ない者の差に専ら注目していたのに対して、つながりごとに利用頻度や有効活用の度合いに違いがある(ないし意図的に差をつけている)場合には、たとえ同一人物であっても教育的効果が異なってくる可能性もある。加えて、メンバーの一部が入れ替わるだけで(あるいは誰が入れ替わるかによっても)活動・交流の活性化度合いや教育的効果が大幅に変動する可能性があるなど、当人以外(の社会関係資本)の影響も低く見積もることができない場合についての示唆を得ることもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主たる要因は、新型コロナウイルスの蔓延が個人の行動様式・価値観や物価などの社会環境を想定以上に変容させていたことが明らかになり、コロナ禍以前の状況における先行研究との比較・検証等を前提としていた研究計画が、さらに大幅な修正・再検討を余儀なくされたためである。
対面状況での調査実施が制約を受ける側面は大幅に緩和されつつあるものの、社会全般において人的交流が断続的に途絶えがちとなったことで社会関係資本に関する前提条件が先行研究と異なっていた点については、原状回復が遅れているというより最早、当初の想定とは全く異なる様相も入り混じり始めたと言える。そのため、単純に調査・研究が停滞した消極的な側面と、予想外の着想・観点を見出すことにつながる積極的な側面が、並行して生じる状況となり、昨年度の想定以上に進捗が滞る結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
人的交流や社会関係の様態がコロナ禍以前に戻ることを前提とせずに(むしろ異なる部分を積極的に活用しながら)遂行できるように、これまで断続的に行ってきた調査の結果や論点の整理を新たな研究計画に反映させることで、より効果的な調査の実施と結果の分析、および最終的な成果報告を十分に行える見込みである。
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