明治期から昭和初期の学校教育における「修養」と「教養」に関する基盤的研究
Project/Area Number |
19K02457
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 智哉 國學院大學, 文学部, 教授 (80570481)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 修養 / 修行 / 行 / 教養 / 欧陽脩 / 岡田虎二郎 / 修養主義 / 教養主義 / 身体 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、近代日本において自己形成の中心的な概念であった「修養」と「教養」 の思想と実践を、明治期から昭和初期の学校教育に限定して検討することによって、歴史的 に解明することである。「修養」については、木下竹次・中村春二・澤柳政太郎・蘆田惠之助等の教育関係者、西尾実と京都学派、浄土真宗やキリスト教思想等を対象に、それぞれの「修養」を整理し、歴史的・文化的・社会的な文脈において総合的に検討する。「教養」については、大正教養派を中心的な対象に総合的に検討する。実践に関しては、奈良女子高等師範学校附属小学校や成蹊学園、成城学園、蘆田の同志同行の実践、飯田下伊那における教育実践を中心的に検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、明治期の芦田恵之助における「修養」の検討を行った。今年度は、大正期から芦田が亡くなる戦後直後までを対象時期として、「修養」の検討を行った。その結果、1921年から「修行」を用いるようになり、1933年には「修養」よりも「修行」の使用回数が大幅に上回ったことが明らかになった。芦田が「修行」を多用するようになった背景には、禅の影響、とりわけ『典座教訓』からの影響が認められる一方で、親鸞からの影響もある。また、「修養」の言い換えとして「修行」を用いたり、その逆があったりもするため、今後、芦田の「修行」概念に関して、禅思想を参照軸にして検討する必要がある。 また、芦田における教師と子どもの関係をあらわす標語の変遷も明らかにした。大正期は「修養の道連」と表現された。昭和前期になると「師弟共流」という表現に変化する。同時に、恵雨会に参加する教師たちとの関係では「同志同行」が使用されるようになった。この「同志同行」は、親鸞の同朋同行に着想を得ている。そして、戦後になると、教師と子どもの関係、教師同士の関係にとらわれず、あらゆる人との関係として「共に育ちましょう」という標語に結実した。芦田における標語の変遷は、彼自身の「修養」概念の深化ともかかわりがあることも明らかにすることができた。 今年度の研究では、「修養の道連」から「共に育ちましょう」へ至る変遷は十分に明らかにすることが出来たが、1930年代から1940年代前半における「修養」と「修行」の関係、あるいはそれぞれの概念の意味を十分に明らかにすることが出来なかった。しかし、同時期には奈良女子高等師範学校附属小学校の木下竹次が「肚腰錬成」を唱えたり、橋田邦彦が「行の教育」を唱えたりするなど、「修行」と類似する概念が多く登場している。それらについて思想背景から明らかにすることが、今後の課題として明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
期間を延長していただいたおかげで、概ね順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要でも書いたが、芦田恵之助の「修養」概念の研究を中心に据えたことで、1930年代の教育実践における「修養」「修行」と禅思想の関係を明らかにしなくてはならないことが、課題として明確になった。次年度は最終年度になるため、できうる限り明らかにする予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(4 results)