Project/Area Number |
19K02554
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09020:Sociology of education-related
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
加藤 美帆 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60432027)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 不登校 / 長期欠席 / 登校拒否 / 後期近代 / 教育の市場化 / 進路 / 家庭教育と学校教育 / 公教育 / 家庭教育 / 映像アーカイブ / 戦後史 / フリースクール運動 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、現在不登校と呼ばれる学齢期の子どもが学校に行かない現象について、戦後から今日までの変遷を検討することで社会の構造変動と欠席現象の関係を明らかにすることを目的としている。具体的には、公式統計の二次分析により長期の欠席の社会経済的な背景を検討する量的分析と、欠席の社会的意味に関する質的分析を組み合わせ、包括的に欠席の戦後史を描き出す。本研究は、戦後の長期欠席問題化過程の分析や、1980年代の登校拒否の問題化からおこっていった社会運動の意味の検証、それらの現代への影響の検討から欠席現象を包括的にとらえ直すことで、欠席現象を通じた戦後史を明らかにし、今後の公教育の検討に資するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現在不登校と呼ばれる学齢期の子どもが学校に行かない現象について、戦後から今日までの変遷を検討することで社会の構造変動と欠席現象の関係を明らかにすることを目的としている。教育機会確保法成立を契機に不登校への社会的注目が高まっているが、これまで長期の欠席がどのような問題とされてきたのか、また、欠席の社会的な背景についての説明も不十分な状況でもある。本研究は、戦後の長期欠席問題化過程の詳細な分析や、1980年代の登校拒否の問題化からおこっていった社会運動の意味の検証、そしてそれらの現代への影響の検討から欠席現象を包括的にとらえ直すことで、欠席現象を包括的に検討し、公教育のあらたな形の模索に資する基礎研究を目指すものである。 2023年度にはA自治体による不登校経験者の追跡調査のデータから、義務教育段階の不登校後の進路形成についての検討を主に行った。多くの不登校経験者が中学校卒業後に何らかの教育機関に進学していることは、先行研究(不登校生徒に関する追跡調査研究会 2014)で指摘されているが、A自治体でも同様の傾向であった。進路形成に大きな不利益を被っているとは言えない一方で、進路の中心となっていたのは不登校経験者の受入を掲げた定時制高校や、通信制サポート校といった主流ではない後期中等教育機関であり、「不登校トラック」ともいえる進路の水路づけが確認された。また「不登校トラック」は、中途退学といった不安定なリスクが少ない、多くが卒業まで全うする状況もみられた。こうした相対的に安定した進路を支えていた資源のひとつが親たちのきめ細かいサポートである。親たちの献身的とも言える関与によって不登校後の進路が左右される状況は、市場化のなかで階層化がすすむ教育の特質としてとらえることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに映像アーカイブ分析を用いた1980年代の登校拒否の問題化についての言説研究は論文化して発表をしているほか、A自治体における不登校調査の分析をすすめている。2020年以降のコロナ禍以降の不登校児童生徒の増加は社会的にも注目がされている状況にあるが、A自治体における調査は、こうした現況において義務教育後の進路のほか、子どもたちの不登校経験、家庭の関与、自治体による公的支援体制などについての実践的な知見を得るうえでの重要な基礎データとなる。2023年度には学会発表等によりA自治体データにもとづく研究発表に着手することができた。今年度は後期近代における学校、教育の意味についての考察をより深めることとする。
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Strategy for Future Research Activity |
計画を延長したため2024年度が最終年度となるため、これまでの総括を行う。戦後、学校に行かないことがどのような問題となってきたのか、長期欠席問題から、1980年代の登校拒否の問題化、および現代の不登校者の増加状況についての分析を接続することで、学校教育をめぐる近代から後期近代における状況を包括的に読み解く枠組みの提示を目指したい。具体的には後期近代における不登校現象を、家族と学校の関係の再編過程の視点から捉え直し、教育の市場化、親の責任の増大、階層化がすすむなかでの不登校現象の現代的な特質を描出したいと考えている。
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