性の多様性を包摂する小学校国語科教育カリキュラムの開発
Project/Area Number |
19K02849
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
原田 麻詠 (永田麻詠) 四天王寺大学, 教育学部, 准教授 (10612228)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 性の多様性 / クィア・ペダゴジー / 批判的リテラシー / 文学教育 / 言語感覚 / 包括的性教育 / 国語科教育 / インクルーシブ教育 |
Outline of Research at the Start |
いじめや不登校など、学校教育における性の多様性をめぐる課題には、人称や言葉遣い、言語感覚などことばの側面が認められる。この点から国語科教育において、性の多様性を教科内容と合わせて取り上げ、性の多様性を包摂する小学校国語科教育カリキュラムを開発する。また、このことは「言葉による見方・考え方」育成を図る国語科に、性の多様性を据えることで国語科の目標や言語力の育成がどのように実現可能となるのかを同時に探ることでもある。 さらに、国際的には性の多様性への教育的対応もインクルーシブ教育とされていることから、性の多様性を包摂する小学校国語科教育カリキュラムをインクルーシブ教育の一環として位置づける。
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Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は性の多様性への対応におけることばの側面を整理し、特に国語科教育においてどのような具体的対応が可能かについて検討した。その結果、国語科教育でこれまで取り組まれてきたメディア・リテラシーの学習や、文学的文章の読解、言語感覚の育成などにおいて性の多様性への対応が可能になるということが明らかになった。 すなわち、メディアや文学的文章を批判的に読む学習を通して、メディアや文章に描かれている男女二元主義や異性愛主義を問題にすることで、リテラシー能力を育成しながら性の多様性に対応することができる。この点を具体化するにあたり、クィア・ペダゴジーの考察から「批判的に読む」ことの重要性を確認し、批判的リテラシー論と合わせて研究を進めた。また、学習指導要領において教科の目標として言及される「言語感覚」を育てるために、性の多様性をめぐる言語表現を取り上げることが、具体的事象からの言語感覚育成の契機として機能できる。この点については、従来国語科教育において「言語感覚」がどのようにとらえられてきたのか、学習指導要領の変遷もあわせて歴史研究を行いながら、研究を進めた。以上のようなことに着手しつつ、2019年度は実際の小学校国語科教材を用いて、授業化するためにどのような教材研究が必要かなどを研究することができた なお、本研究では小学校国語科教育カリキュラムの開発をめざしているが、中学校国語科教材についても研究する機会があり、今後は小中接続をにらんだカリキュラム開発や、中学校国語科教育から小学校の発達段階を照射し、各学年でどのようなカリキュラム構成が求められるかについても明らかにすることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた、性の多様性への対応という観点から、国語科教育においてどのような具体的実践が可能なのかについては、研究を進めることができたが、性的マイノリティとされる当事者が、人間関係に伴うことばの問題にどのように直面しているのかについては明らかにすることができなかった。当事者へのインタビュー等を行う予定であったが、社会状況により対面しての聞き取り調査を行うことができなかったため、次年度の課題となる。 また、小学校での国語科授業の参与観察も不十分であったため、今後さらに充実させることが必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度では、性の多様性を包摂する小学校国語科教育で育成できる言語力の定義を行うため、2019年度の研究成果を実証すること、そのうえで学童期という発達段階を考慮したカリキュラム開発に着手する。 ただし、2020年4月現在の社会状況から、小学校における参与観察や国語科授業の実証が難しいことが予想される。そのため、特にUNESCOほかが示す「包括的性教育」で描かれる各発達段階別の性をめぐる学力を参考に、性の多様性と言語力の関係を整理し、本研究で育成をめざす言語力を定義したい。また、2020年度は小学校国語科教科書が一新される年であるため、実際の国語科教科書や指導書を入手し、具体的教材を分析することで、性の多様性を包摂する小学校国語科教育カリキュラム開発につなげていくこととする。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)