発達障碍児の行動調整機能の改善を目指した「動物との接触行動プログラム」の開発
Project/Area Number |
19K02940
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09060:Special needs education-related
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Research Institution | Jin-ai University |
Principal Investigator |
水田 敏郎 仁愛大学, 人間学部, 教授 (00340034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 沙央里 仁愛大学, 人間学部, 助手 (60845139)
氏田 麻美 仁愛大学, 人間学部, 助教 (10782229)
大平 壇 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30322283)
大森 慈子 仁愛大学, 人間学部, 教授 (90340033)
山岸 厚仁 仁愛大学, 人間学部, 助教 (10881790)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 手・指の運動 / 生活経験 / 眼・指協応運動 / 不器用 / 視運動訓練 / 発達障碍 / 動物との接触 / リラクセーション / 発達障碍児 / 行動調整機能 / 動物 / 接触行動 / 生理心理学 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、発達障碍児によくみられる知覚-運動系機能の問題、いわゆる手先の不器用さに着目し、動物との接触時において生じる手指の複雑な運動経験を重ねることで期待される行動調整機能の改善を目的とした。そのために本研究では、①ヒトが動物に対して示す行動の観察と調査(予備的研究)を行い、②動物との(実験的)接触行動前・後における行動調整能力の生理心理学的アセスメントを行う(基礎的研究)。そのうえで③発達障碍児の教育現場等において動物との接触機会を設け、その効果を検証する(臨床研究)。以上に設定した三つの課題を、質問紙調査、実験室実験、観察記録によって実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
知覚-運動系機能が弱い児童の行動調整機能改善を目指し、昨年度に引き続き小学校低学年の定型発達児と発達障碍児を対象に指先の器用さを検討するための調査を実施した。さらに同年齢期の児童を対象に、視知覚と指運動の協応動作を実施しているときの脳活動の様子を脳波を指標として検討した。 1)小学校低学年児童の指先の器用さと動物飼育ならびに手指の運動経験との関連調査 (3) 2019、2020年度に引き続き、小学生の指の器用さと手先の運動経験や動物の飼育経験の関連について調べるため、4種のテストからなるバッテリの開発・実施に取り組んだ。2021年度の調査対象は昨年度から学年をさらに1年下げた小学1年生とした。2種類の質問紙調査は一昨年度から一貫して用いているもので、「習い事や昔遊びの経験」と「動物飼育経験と期間」を問うもの、2種類の実技系テストとして、折り紙課題と既存の描線テストを実施した。その結果、各学年で生活経験の豊富さと指運動の精緻性の相関が認められた。 2)幼児・児童を対象とした「視覚-指運動」の協応動作時における脳活動の検討 保育園年中児、小学生の低・中学年児童と大学生を対象に、砂とビーズアイテム及びブロックを用いた手先を使った課題を設定し、探索課題(①単純物体探索・②砂中の物体探索)と、造形課題(①ブロック模写造形・②ブロック模写を手元を隠して造形)中の頭皮上の脳波を記録した。探索課題、造形課題どちらの課題においても、課題遂行中に脳波のα帯域(8-13ヘルツの周波数帯域)含有率が安静時よりも大きく減弱しており、課題中は右脳の広範囲において活動性が高まっていることが示された。また、C4(前方:運動野/後方:体性感覚野)及びP4(頭頂連合野)を詳細に分析したところ、成人よりも小児の方が感覚情報処理機能を強く働かせていることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一昨年からの新型コロナ感染症の拡大の影響で、大学生の登学機会や研究協力校(小学校)への出入りの制限が継続されており、計画通りの研究を遂行することが困難であった。そこで、一昨年、昨年度度の研究をベースにさらに研究対象(年齢)の幅を広げ、研究協力者である協力校内の小学校教諭(対象児童の担任)主導で実施することが出来る本研究の主要テーマに関連する課題を継続的に実施した。 1)小学校低学年児童の指先の器用さと動物飼育ならびに手指の運動経験との関連調査(2) 小学生を対象とした指の器用さと手先の運動経験などの関連調査は順調に進み、データの回収は100%に達した。また、2019、2020年度に実施した調査データの分析を終え、論文としてまとめ。 2)幼児・児童を対象とした「視覚-指運動」の協応動作時における脳活動の検討 コロナ感染症拡大予防措置のため、学外機関・施設の中に立ち入っての実験を行うことが困難であったため、研究計画の一部を学内で実施可能な内容に変更して実施した。研究代表者の知人、家族のなかで協力可能な方に実験参加依頼をし、保育園年中児や小学生の低・中学年児童を対象に、指先の運動を行っている際の脳波を記録、詳細に分析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況にも記した通り、昨年度も、新型コロナ感染予防の影響により、当初の計画通りの研究を遂行することが困難であった。今年度も、事態の大幅な改善が見通せるかは微妙な状況であるため、引き続き当初の計画に若干の変更を加える予定である。大学生を対象とした基礎的な指運動に関する生理心理学的実験について、大学生の登学状況にあわせながら今年度可能な範囲で実施する。さらに、小学生児童の動物飼育経験実施前後の指運動のアセスメントを学校の教育現場で調査し、生理心理学的実験データを用いて検証する予定である。 1)動物との接触行動時にみられる指運動の分析:動物との自由接触場面でデータ・グローブとビデオにより手指の運動の時系列記録を行い、出現頻度が高い動作を見出し、その運動特徴を無生物を触るときのものと比較、検討する(当初は2020年度の予定であった課題)。 2)小学校学級内での小動物飼育が指先の運動の精緻性に及ぼす効果:調査協力校の1学級内で小動物の飼育を行い、その前後における指運動のアセスメント結果の比較を行い、動物との接触行動が指運動の精緻性に及ぼす効果について実証的に検証する。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)