International Migration and Subjective Well-being: Comparative Studies on Experiences of Asian nurses in Japan and in the UK
Project/Area Number |
19K03196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10010:Social psychology-related
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
浅井 亜紀子 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (10369457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 真弓 関西大学, 総合情報学部, 教授 (20268329)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 国際移動 / 主観的ウェルビーイング / アジア系 / フィリピン人 / 看護師 / 介護福祉士 / 自己再編 / 関係規定的存在 / 主観的幸福感 / 英国 / 外国人看護師 / 外国人介護福祉士 / 二国間経済連携協定 / 異文化接触 / インドネシア人 |
Outline of Research at the Start |
EPAインドネシア人の調査から、帰国理由は結婚や親の病気であり、EPA開始時には予想しなかったライフコースの問題があることがわかった。外国人看護師の日本への定住化を探るためには、職場や職場外における主観的ウェルビーイング(subjective well-being, SWB)、つまり生活の満足度についての個々人の意味づけを文脈や時間軸をいれて検討する必要がある。本研究では、欧米で活躍が知られるフィリピン人看護師が、英国と日本においてどのようにSWBを意味づけているのかを比較検討する。これにより国際移動におけるSWBと影響因の理論の精緻化を図り、外国人看護師の受入れの望ましい条件を探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、国際移動するアジア系看護師の主観的ウェルビーイング(Subjective well-being, SWB, Diener, 1984)について国際学会(IAIR)で発表を行った。 (1)日本に滞在するフィリピン人EPA(経済連携協定)介護福祉士の主観的幸福感を、フィリピン人の価値観の観点から調査した。同系列の2つの施設(地方と都市)で働く6人のフィリピン人介護福祉士に半構造化インタビューを行った。その結果、EPA制度での日本で仕事をしながら、家庭をを優先させ将来設計する事例がみられた。一人は5年間の日本での就労後に帰化して日本人女性との結婚を決めた。合格したら世話になった施設に2年間は働く約束をしたが、試験合格を放棄し帰国し結婚準備をする者もいた。パートナーの状況を考慮し家族優先の将来設計をしている。独立した個人より関係性の中での自己を優先させる彼らの位置取りは、ガーゲンの関係規定的存在の観点からの分析の有用性を示唆している。 (2)英国に移動したフィリピン人看護師25人に半構造化面接を行い、SWBと影響因の観点から分析した。SWBは、時間軸による変化、仕事と生活領域のSWBによる異なり、包括的に捉える必要があることがわかった。移動直後は、母国と異なる看護師実践や英国英語のスキル習得に伴うストレスが大きい。また同僚や患者からの差別はSWBを低めた。しかし家族をサポートやW&Lバランスの満足でSWBを補った。5~7年滞在するフィリピン人で、管理職に昇格した者もおり看護師プロとしてのSWBを高めていた。これは職場での統合のあり方に左右される。既婚者で子育てをする者は文化継承の問題を感じていた。家族への経済援助はSWBを高めるが、家族から離れる孤独感もあった。SWBは肯定的情動と否定的情動の両者を別に扱う概念であるが、こうした情動の両価性を表すのには有効である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究より、フィリピン人の主観的ウェルビーイングの根幹に、母文化で培われた家族中心の価値観があり、関係的な自己を重視しながら、国際移動で、自己を構築している様子が一部解明できた。またそのプロセスの中で、メゾやマクロのコンテクストの中で解釈することで、移動に伴う変化がよく理解できる。 国際移動では、自己イメージが、他者からのイメージとのギャップが起こり、そのためにアイデンティティがゆらぐといわれる。在英フィリピン人看護師の語りの中では、ホスト国の同僚から「フィリピン人は勤勉で従順」という思われ、きつい仕事を押し付けられる微妙な差別があるという。明白な差別ではないが、マイクロアグレッションとよばれる、当事者が感じる微妙な扱いである。2023年度は、当事者が差別をどう認知し、それらにどう対処しているかについて十分わかっていない。これらの回復プロセスについて仮説生成を精緻化していく。さらに関係的規定的存在の観点の可能性にも目を向け、SWBの仮説生成を行う。 フィリピン人看護師といっても多様である。英国に渡る看護師、日本のEPAで来る看護師の社会的な背景は異なると思われる。また、現在の技能実習や特定技能でくる介護人材も異なる。フィリピン人の社会経済的背景や教育歴が、国際移動したあとのキャリアや生活にどう影響するのかについても検討していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、 1.フィリピン人看護師が英国で受けるマイクロアグレッションや差別についての分析を進め、それらがホスト国での自己再編成とSWBにどう影響しているかを検討する。 2.研究方法として質的研究方法を用いるが、なかでも現象学的アプローチについての理論とそれに基づく先行研究についての文献調査をより深く行っていく。 3.フィリピン人の日本と英国での経験の違いについて、社会的階層、動機、直面する課題についてより詳細な検討を行う。そのことから、ホスト国が多文化共生を考える上で必要なマインドセット、制度についての考察を加え、教育研修への応用についても検討していく。
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Report
(4 results)
Research Products
(18 results)