Project/Area Number |
19K03257
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10020:Educational psychology-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 晴夫 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (20361595)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | ナラティヴ / 回想 / 協同想起 / 高齢期 / 歴史 |
Outline of Research at the Start |
高齢者の語る思い出話には,語っている本人が,自分の人生に納得する働きがあると,心理学では考えられてきた。しかし,この思い出話が独りよがりのものになると,家族をはじめとした周囲との間で,食い違いが大きくなってしまう。そのため,思い出話は,周囲との調整や妥協といった共有プロセスを伴っていると予想される。この研究では,こうした共有プロセスについて,インタビューや海外の研究動向調査を通じて,解明を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
高齢者単独のインタビューから得た個別回想と,高齢者夫婦の合同インタビューから得た協同回想の内容を比較した。それぞれのインタビューの質問項目は,描画したライフライン上の屈曲点に現れた人生上の転機とした。協同回想においては,それぞれの想起内容をめぐる相互交渉のパターンが抽出された。そこには,個々の想起内容を互いに承認する様子のほか,互いの記憶の欠落を補完する様子が見受けられた。その一方,互いの記憶の齟齬が露わになった場面では,一方が他方の記憶の正当性を認めたり,正当性をめぐって抗弁する様子が見受けられた。また,協同回想では話題とされないながらも,それぞれの個別回想で話題になった記憶内容にも,やはり重複と齟齬が認められた。本報告時現在は,これらの協同回想内における齟齬や,個別回想間における齟齬に着目し,反復して収集したインタビューの経年変化を探索している。以上の調査研究の成果は,広義には,語りが聴き手との間でどのように構成され,それが記憶として固定され,家族史として共有されるかという問いに関わる。そのため,これらの成果を援用しつつ,聴き手との間の語りの協同構成について,成書の一章にまとめ,出版準備中である。また,やはりこれらの成果をもとに,心理臨床場面におけるクライエントとセラピストという特異的な関係性のもとで,語りが協同構成されることの功罪に関して,精神病理学領域の学会で発表した共に,その内容を発展させて論文にまとめて公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高齢者を対象とした縦断的研究という研究計画の特性上,COVID-19感染症拡大期にあっては,調査対象者の感染防止に配慮して,インタビュー調査を控えていた。その間は,過去に収集したインタビュー・データや,対面を要さずに収集できる日誌データの解析から,本研究課題の達成を企図した。しかしながら,縦断的調査に要する経時的なデータ収集が遅れたため,本研究課題全体の達成時期が,約1年遅れた。ただし,現在は,調査対象者との対面インタビューも着実に計画され,これまでの遅れを取り戻せる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19感染症予防のために保留していた対面による個別・協同インタビューが,着実に再開されており,縦断研究に要する調査データの収集が確実に見込める。また,やはり控えていた国際学会における発表に関しても,ヨーロッパで開催されるナラティヴ関連や健康心理学関連の学会を場に,実現予定である。本研究課題全体の成果報告は,すでに出版社との間で公刊が予定されている成書において,複数の章にわたって実施することが決まっている。
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