Project/Area Number |
19K03516
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Kyushu University (2020-2022) Kyoto University (2019) |
Principal Investigator |
佐藤 康彦 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (70581502)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 核型次元 / 作用素環 / 分類定理 / KMS-状態 / 非単純 / Jiang-Su環 / 分類理論 / KMS状態 / 力学系 / Toms-Winter 予想 / Jiang-Su 環 / KMS 状態 / 分解階数 / 2-positive / 接合積 / トレース空間 / 分類可能性 |
Outline of Research at the Start |
この研究では作用素環とよばれる無限次元の数学的対象から, ある種の有限な量を取り出す事が目的である. 作用素環は元々 J. von Neumann による量子力学の数学的な定式化に端を発し, 現在では非可換幾何学や自由確率論といった分野の母体となり, 様々な応用が得られてきた.
本研究は作用素環の核型次元と呼ばれる数に焦点を絞り, 作用素環の分類定理を検証する国内初の研究課題である. 既に国内で盛んに研究されているvon Neumann 環論や群作用の技術を, 核型次元という新たな研究対象に活かすという点で, 今までに無い化学反応が起こり, 大きな結果へつながると期待する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年に得られた K. Thomsen, G.A. Elliott 氏との共同研究を一般の局所コンパクト空間へ拡張した. 専門的な用語を避け, ごく大雑把にこの拡張を述べると, これまでは有界な空間の上にKMS状態の束を自由に構成する方法を得ていたが, 今回の拡張では非有界な(無限な範囲の)空間上でもKMS-状態の束を構成する事が可能となった. この結果は G.A.Elliott氏との共同研究としてarXivへ公開し, 数学雑誌へ投稿中である.
技術的な事を述べると, 上記の非有界な空間への拡張にはこれまで考えられていた単純な核型作用素環に対する分類理論を適応するだけでは不十分であり, 対応する非単純な核型作用素環の分類理論が要請される. この技術的な困難を克服するため, 当該年度の研究では Rationally AF algebra と名付けた新しい作用素環の概念を導入し, 非単純な Rationally AF algebra に関する分類理論を構築した.単純性という基本条件を仮定しても, 多くの分類可能な核型作用素環がK0-群とK1-群の情報で分類される. 一方で 我々が導入した RAF algebra は非単純の条件下でも K0-群の条件のみで計算可能という利点が得られる. これはKMS状態の研究と核型次元の研究のみならず分類定理自身を拡張する進展といえる.
これらの結果は 上海 Operator Algebras Special Week 2022, 京都大学作用素環セミナーなどで講演し興味深い結果として専門家の支持を得る事ができた. 更に, 2023年1月のRIMS共同研究(グループA型)において当該研究テーマと関連する話題の研究集会を主催し, 分類理論, 群作用, 核型作用素環, 数理物理などの話題を中心に核型次元有限な作用素環の研究を深化させる事ができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響下で海外出張に大きな影響が出たものの、オンライン研究集会や頻繁なメールのやり取りにより地域差を超えた形で意見交換を行えた. このことは逆に国際的な共同研究を推進する助けとなり, 大きな共同研究として成果を残す事に至った.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は構成が成功したKMS-状態の構造定理をより精密に調べ, これらを更に細分する事を目標とする. 具体的には各KMS-状態により自然に構成される von Neumann 環の因子タイプを調べ, 可能であればIII型の因子環を特徴づけるパラメータが構成方法により, どの程度制御できるのか?という問題を明らかにしたい. この方向性では, 既に II無限型の因子環の構成が得られ, 整った条件下での時間発展が得られた構成方法と共役をのぞいて同値である事が解っている. 今後は当該研究で構成されたKMS-状態から他のタイプの因子環を導出し, その特徴づけを行いたい.
非有界なKMS-状態の束を構成する研究で得られた非単純な作用素環に対する分類定理を一般化したい. 既存の分類定理では, 単純性という基本条件を仮定しても, 多くの分類可能な核型作用素環がK0-群とK1-群やトレースの位置情報で分類される. 一方で 我々が導入した RAF algebra のクラスは非単純の条件下でも K0-群の条件のみで計算可能という不変量を制御する上での利点が多い. しかしこの定理では, 他の不変量が非単純な条件下でどの様に振る舞うかという点が不明瞭である. 非単純核型作用素環の分類理論が自然な動機から要望されるに至ったので, この方向性で RAT, RAH として定義できる作用素環の分類理論へ拡張したい.
当該研究内容について, 7月に中国の河北師範大学で集中講義を予定している. この期間中は連続講義と討論会という長いスケジュールで私の研究内容と問題意識を講演する場が長時間得られている。また, 8月の初めには上海で作用素環論の国際的な研究集会が予定され講演予定である. これらの講演会における意見交換から研究の進展を期待している.
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