Project/Area Number |
19K03668
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13010:Mathematical physics and fundamental theory of condensed matter physics-related
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南 和彦 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (40271530)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | 格子模型 / 厳密解 / free fermion / 伝送行列 / 数理物理 / 可解格子模型 |
Outline of Research at the Start |
新しく見出された対角化の方法による、2次元量子スピン系の厳密解の研究である。ハミルトニアンの各項が条件をみたすとき、交換関係と周期のみから自由エネルギーが厳密に導かれることを、申請者が見出した。条件をみたす演算子列から解ける模型が得られ、解くための変換も同時に自動的に得られる。既知の主要な模型の多くが、この方法で同じ手順で対角化できている。この手法を基礎に以下のテーマを扱う: 1) Kitaev模型を特殊な場合として含む2次元系の可解模型の系列 2) この手法による新しい2次元量子系の厳密解 3) 手法自体の拡張による可解模型の新しいクラス 4) 等価性、CFT、量子計算に関連する磁性物質等への応用
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題で扱われている手法で対角化される一連の模型の特別な場合であるtransverse Ising模型は、Ising相互作用にtranverse磁場をかけた単純であるが基本的な量子スピン模型である。Ising相互作用とtranverse磁場との非可換性から量子効果が現れる。1次元でスピン1/2の場合については、厳密解が得られる以前にFisherが零磁場のtransverse帯磁率を求め、その後、KatsuraそしてPfeutyが自由エネルギーを求めた。スピン1/2の場合の1次元transverse Ising模型はfree fermionに帰着されて解ける模型で、またスピン1/2の場合については、1次元transverse Ising模型と2次元正方格子Ising模型とが等価であることが分かっている。
この模型について、一般のスピンSでは厳密解はまだ得られていないものの、零磁場の帯磁率および周期的なあるいはランダムな相互作用を持つ場合の帯磁率が導かれている(Minami, 1996年, 1998年, 2013年)。これらはいずれも最近接の相互作用のみを持つ模型である。
この模型の次近接相互作用のある場合について、一般のスピンSでの零磁場のtransverse帯磁率を厳密に導出した。帯磁率の導出の鍵になるのは伝送行列であるが、次近接相互作用を伝送行列で扱うことができたためにこの導出が可能になった。帯磁率は低温の極限でSに依存せず、相互作用が特定の値をとるとき、温度T→0の極限で1/Tの発散を示す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
transverse Ising模型の一般のスピンSでの帯磁率については、1996年、1998年、2013年の論文で扱ってきたが、伝送行列の特性からその議論は相互作用が最近接の場合に限られると考えていた。今回、1965年のOguchiのアイデアを利用してその議論を拡張し、次近接相互作用を持つ場合の帯磁率を厳密に導出することが出来た。次近接相互作用を含んでも低温での普遍性はそのまま成り立ち、基底状態が転移を示す点ではT→0で帯磁率は発散を示す。この発散は、転移点で基底状態が極めて高い縮退を示し、その結果として基底状態の状態空間の中でのキューリー則が成立したものとして理解できる。
大阪大の磁性実験の研究者と議論したが、次近接相互作用のあるIsing鎖としては磁性物質としてはCsCoCl3などがあり、帯磁率の測定も可能であるようだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
free fermionの構造を持つ可解模型は重要な模型を多く含み、その周辺に同じ構造を持ついくつもの系列が見られる。一方でスピンSのtransverse Ising模型はその自由エネルギーはまだ得られておらず、またfree fermionの構造を持つとは考え難い。今回の結果をひとつの手がかりとして、可解模型の系列のfree fermionからの拡張を試みる。
|
Report
(4 results)
Research Products
(16 results)