Project/Area Number |
19K03846
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
棚橋 誠治 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (00270398)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 素粒子質量の起源 / 電弱対称性の破れ / 有効理論 / 標準模型を超える物理 / 素粒子現象論 / 素粒子質量起源 / ユニタリティー / 電弱精密測定 / 低エネルギー有効理論 / 素粒子現象 / ヒッグス |
Outline of Research at the Start |
究極的には、すべての素粒子の質量の起源となるヒッグスポテンシャルの解明を目指す。この目標を達成するため、なぜヒッグス質量が理論の紫外切断スケールよりも有意に小さいのかを明らかにする。これまで、ヒッグスに関するさまざまな低エネルギー有効理論が構築されてきたが、この研究では、幾何学と対称性の観点から、それらの統一理論を構築する。ヒッグス多様体を記述する幾何学量のみを用いて、粒子散乱振幅を記述することで、ヒッグス物理の素粒子現象に対して新たな知見を加える。当面の目標は、このような統一有効理論を用いることで、従来の有効理論とは異なる観点で、標準模型を超える模型(BSM模型)への制限を得ることである。
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Outline of Annual Research Achievements |
その起源が量子色力学の次元変性であることが知られているQCDスケールと異なり、電弱対称性の破れのスケール、つまり素粒子質量の起源はいまだ明らかに なっていない。素粒子標準理論における説明はツリーレベルのヒッグスポテンシャルのパラメータ調整によるものであるが、QCDの場合とは異なり、この説明で の電弱対称性の破れのスケールは古典的に禁止されておらず、巨大な量子補正を受けしまい、電弱対称性の破れのスケールの小ささを説明するためには、パラ メータの微調整が必要となる。この問題を解決するため、これまで多くの素粒子標準理論を超える物理の可能性が検討されてきた。本研究は、これらの素粒子標 準理論を超える物理を個々に調べるのではなく、統一的な有効理論を構築することで、模型の詳細によらない制限を得ようとするものである。 有効理論を用い て素粒子標準理論を超える物理に含まれる新粒子を調べるには、これらの新粒子を含む有効理論を構築せねばならない。本研究では、 ヒッグス有効理論を拡張 し、任意個数、任意電荷、任意色荷をもつスピン0およびスピン1粒子の有効理論を構築してきたが、2021年度は、これらの粒子に加えスピン1/2粒子を含む有効 理論での素粒子散乱振幅の一般的表式を与え、査読付き論文(Phys.Rev.D 104 (2021) 1, 015001)として出版した。その際、電弱対称性の破れを正しく記述す るよう、有効理論を非線形シグマ模型を用いて記述し、カイラルオーダーカウンティング則として、有効場の理論におけるルー プ展開と矛盾のない定式化を行 うことで系統的な計算を可能とした。また、複合クォークや複合レプトン模型を念頭に置き、この有効理論を基づく現象論研究を展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒッグスポテンシャルに含まれる質量パラメータは、素粒子標準理論の基礎的ツリーレベルパラメータのなかで唯一の質量次元を持つパラメータであり、現在ま でに知られているすべての素粒子質量を決定する電弱エネルギースケールの起源となるパラメータである。一方、ヒッグスラグランジアンには、ポテンシャル以 外に運動項が存在し、ここからヒッグス内部空間(ヒッグス多様体)の計量テンソルを読み取ることができる。この見方に立つと、ヒッグスラグランジアンは ヒッグス多様体上の非線形シグマ模型に他ならない。ヒッグス場を点変換することでラグランジアンの見かけの形が変化することに注意が必要であり、とくに、 ヒッグス多様体が非自明な曲率を持つ場合の散乱振幅の計算は自明ではない。 本研究では、スピン0粒子のみを含む低エ ネルギー有効理論を構築し、幾何的手法を用いてその散乱振幅と輻射補正の構 造を明らかにするとともに、スピン1のゲージ粒子の寄与についても一部の考察を 行った。その成果はすでに、Phys.Rev.D 100 (2019) 7, 075020 として公表・ 発表されている。さらに、スピン1/2 粒子をも含む低エネルギー有効理論の構築と幾何的手法の適用を行い、超対称模型とのア ナロジーを用いることでノーマル座標の概念をフェルミオン空間にも 導入することが可能であることを示した。このことによって、フェルミオンを含むツリーレ ベル散乱振幅を共変量のみを用いて記述することが可能となり、有 効理論の手法に内在するパラメータ冗長性の問題が解決できることが示された。この成果は、Phys.Rev.D 104 (2021) 1, 015001として査読付き論文誌に掲載さ れている 。このように研究自体は順調に進展しているが、これらの成果を対面研究会で報告することは、コロナ渦にあって順調には進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において、スピン0粒子とスピン1/2粒子の有効理論のツリーレベル散乱振幅の構造と幾何的不変量との関係はほぼ明らかになったと言える。これ に対し、この成果をさらに発展させるには、スピン1粒子を本格的に取り入れることと、 1ループ発散を打ち消すカウンタータームに対応する幾何的共変量を明 らかにすることが必要である。また、将来の高エネルギー素粒子実験 によってこれらの共変量がどの程度まで測定できるかを明らかせねばならない。ヒッグス 多様体に非自明な曲率が存在する場合には、素粒子の高エネルギー散乱振幅の摂動論的ユニタリティーが破れるため、何らかの紫外完全化が必要である。このよ うな場合であっても、曲率がある種の条件を満たせば、適当なスカラー場(拡張 ヒッグス場)を多様体に追加することで、全体としては平坦な多様体を構成する ことができ、これは物理的には、摂動論的ユニタリティーの条件を用いて紫外理論のパラメータを決定することに対応している。また、紫外完全な理論が存在しえない曲率領域をあらかじめ除外することで、有効理論パラメータの 決定精度の向上を行う。高エネルギーでの摂動論的ユニタリティーを満たす模型において、多くの物理量が1ループ有限であることを活用することで、BSM粒子の質量に対してより精度の高い予言を行う。また、摂動論的にユニタリーでない模型についても適切な紫外切断を導入することで1ループ計算を行い、紫外切断スケールの上限を求める。本研究では、このような研究をすでに進めているが、今後、対面研究会や論文での発表を積極的におこなっていく。
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Report
(4 results)
Research Products
(4 results)