超新星残骸X線データの新解析手法で迫る超新星親星・爆発機構の包括的研究
Project/Area Number |
19K03908
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬場 彩 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70392082)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 超新星残骸 / 特性X線 / 元素合成 / X線天文学 / 宇宙線加速 / 中性子星中性子星合体 / 超新星爆発 / X線宇宙物理学 / 重元素 / 化学進化 / 重元素組成 / プラズマ物理学 / 画像診断 |
Outline of Research at the Start |
星が死の際に爆発する「超新星爆発」は宇宙空間に重元素を供給し化学進化の主役を担う、宇宙の多様性の源である。また、Ia型超新星爆発は標準光源として宇宙論で広く用いられている。しかし、その爆発頻度や爆発機構は明らかではない。超新星残骸はその衝撃波が爆発噴出物を数千万度にまで温め、膨張によりドップラー偏移した特性X線を放射する。我々はドップラー偏移を利用し、X線画像とスペクトルから残骸内噴出物の3次元膨張構造を決定する全く新しい手法を開発し、爆発型を特定して宇宙化学進化の理解につなげる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
星が死の際に爆発する「超新星爆発」は宇宙空間に重元素を供給し化学進化の主役を担う、宇宙の多様性の源である。また、Ia型超新星爆発は標準光源として宇宙論で広く用いられている。しかし、その爆発頻度や爆発機構は明らかではない。超新星残骸はその衝撃波が爆発噴出物を数千万度にまで温め、膨張によりドップラー偏移した特性X線を放射する。我々はドップラー偏移を利用し、爆発型を特定して宇宙化学進化の理解につなげる研究を続けている。 本年度は、特に超新星残骸の膨張と衝撃波での宇宙線加速の関係についての研究を掘り下げた。衝撃波での宇宙線加速効率は、何もない空間で減速のない衝撃波の方が良いのか星周物質とぶつかり乱流磁場が増幅された衝撃波の方が良いのかは議論が続いている。また逆に超新星残骸星周環境を知るうえで宇宙線からの放射が重要になる。我々はKeplerの超新星残骸衝撃波で加速された宇宙線電子からのシンクロトロン放射を詳しく調べ、北部の星周物質と相互作用している領域と、南部の相互作用していない領域では、衝撃波速度と宇宙線最高エネルギーの相関係数に違いがあることを発見した。ここのほかに、古い超新星残骸からの宇宙線の流出、中性子星-中性子星合体で生まれる超重元素を探るために中性子星-中性子星合体残骸の観測可能性の研究、大質量星爆発で生まれるパルサー星雲の進化の研究なども行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は超新星残骸の膨張とその衝撃波での宇宙線加速を結び付けることで、新たに超新星残骸起源の情報を持つ星周物質の情報を得られることを、Keplerの超新星残骸で初めて示した。これは、星周物質との相互作用の有無で宇宙線加速の効率が変わることを示唆する重要な結果である。我々は同様の研究を行うため、別の超新星残骸RCW86のNuSTAR観測を提案し採択され、解析を進めている。また、超重元素の起源も宇宙の化学進化を知るうえで非常に重要であり、中性子星-中性子星合体からの核ガンマ線観測見積もりは数多く行われてきた。しかし現在までのガンマ線観測では感度が足りず、観測実現性が低いことが分かっている。我々は合体の後時間が経った「中性子星-中性子星合体残骸」に着目、エネルギーが低く寿命が長い核ガンマ線の検出可能性について検討を行った。その結果アメリカの将来宇宙X線衛星計画HEX-Pや日本の将来宇宙X線衛星計画JEDIでは検出可能性が十分にあることを示した。また、ドップラー偏移を用いた膨張速度測定も可能であることも示した。このように長寿命核ガンマ線を用いた超新星残骸・中性子星-中性子星合体残骸の運動学を開拓しつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
我々は特性X線のドップラー偏移を用いた超新星残骸膨張測定が有効であることを示した。一方で現在のX線観測技術では非常に若く明るい天体にしかこの手法が適用できないことも分かった。2023年度打ち上げ予定の日本のX線宇宙衛星XRISMは、従来の宇宙X線観測の数十倍エネルギー分解能の良い観測が可能であり、本手法により年老いた超新星残骸までサンプルを一気に増やすことが出来ると期待し、現在検討を進めている。また、超重元素起源に関しては低エネルギー長寿命核ガンマ線を用いた探査が有効であることを示せたため、液体アルゴンを用いた大有効面積宇宙ガンマ線観測計画GRAMSに参加し、工学実証を進めている。サイエンス検討と共に本計画を完成させ、宇宙の全ての元素の起源を解明することをこれからも目指していく。
|
Report
(4 results)
Research Products
(63 results)