Project/Area Number |
19K03930
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
松本 桂 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (90362748)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2020: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 活動銀河核 / OJ 287 / 歳差連星ブラックホールモデル / 天文学 |
Outline of Research at the Start |
BL Lac型の活動銀河核である OJ 287 の準周期的な増光現象を説明する仮説として最も有力と考えられる「歳差連星ブラックホールモデル」から予測される将来の増光の時期を、可視光観測により検証する。OJ 287 の増光時期は2015年以降、一般的に約12年といわれる周期性から大きく逸脱する期間に入っていると予測されている。それが確かめられれば、OJ 287 のブラックホールの連星系における公転軌道の大きな歳差角の必要性が明らかとなり、将来の増光時期の予測に際して、あくまで約12年の周期性および過去からの外挿に立脚する他の理論モデルは棄却される。
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Outline of Annual Research Achievements |
OJ 287 の歳差連星ブラックホール(BH)モデルを検証するために、着目していた2019年および2022年の熱的フレアに引き続き、その後の同天体の挙動を把握するための可視光での多色測光観測を実施した。概観としては、OJ 287はやや暗い状態が続いた2022年に比べ約1等程度明るくなりつつ、これまでと同様の小規模な増減光を示していた。特に2023年6月から9月にかけてRcバンドで少なくとも約2等明るくなり、Bバンドでも同様の挙動であった。したがって同天体の長期的なトレンドとしては2023年で減光の底を打った可能性があり、全体的な増光傾向が今後も続くかどうか見極めたい。また上記の挙動を有意に上回る(2022年の熱的フレアを否定しうる)顕著な活動性は見られないことを確認した。
歳差連星BHモデルの妥当性の検証のしめくくりとして、同モデルに基づけば2022年の熱的フレアに付随する潮汐フレアが2024.5年頃に起こると予測されている。もしこの発生を確認できれば、本研究課題が想定する歳差連星BHモデルの検証は完了する。またこれは、2023年に共同研究グループの一部が離別して提示した別の連星BHモデルとの弁別としても機能する(2022年の熱的フレアの発生時期と予測されていた7月とは別に、主BHの降着円盤の状態によっては10月が候補のひとつに挙げられていたことがあったところ、10月にはそれらしい活動性がおよそ見られなかったことから、共同研究グループの一部が歳差連星BHモデルに対する疑義を主張し、BHの質量や連星軌道のパラメータが大きく異なる対立モデルを提唱し出版するに至ったできごとがあった)。したがって今後さらに1年、2024年も引き続き継続的な観測を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OJ 287 の歳差連星BHモデルの検証となる2019年および2022年に生じると予測された2つの熱的フレアの結果を得ることができており、それらの論文も出版された。また2019年度から2023年度までを通じて継続的な観測を実施できており、歳差連星BHモデルの帰結である長期変動を検証するための基礎データの取得が進んでいる。2022年7月の熱的フレアに関しては、太陽との位置関係により地上からは明瞭な観測的兆候をとらえられていない一方、その前後に得られた小規模増光などの観測結果は歳差連星BHモデルが予測した描像と一致している。また予測外の熱的フレアに相当するような増光も明らかに生じていなかったと今のところ結論付けられる。これらのことから、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
歳差連星BHモデルによれば、次回のOJ 287の熱的フレア(out-type)は2031年に生じると予測されており、増光現象を用いた理論モデルの検証の機会は当分やって来ない(なお、概要欄に記した2023年に提唱された対立モデルでは次回の増光時期を2026年~2028年と予想している)。いずれにしても現在の連星BHモデルに従うまたは矛盾する観測事実が示されるか検証を続けるために、同天体の長期的挙動を把握することが求められる。また2022年の熱的フレアは明確な検出には至っていないことからも、2024年に起こると予測されている潮汐フレアの検出を含めた調査を今後1年は続けることが歳差連星BHモデルの検証において有用である。したがって2024年度も継続的な OJ 287 の測光モニタ観測を実施したい。また継続的な多色観測は、次回の熱的フレアへ至る過程における光学的挙動の基礎データとなる。
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