超高周波ワイヤレス給電に向けたスピンを介した分子運動-電気伝導変換の理論的研究
Project/Area Number |
19K05249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 29010:Applied physical properties-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
古門 聡士 静岡大学, 工学部, 教授 (50377719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 匡清 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80250702)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 伝導電子-局在スピン間相互作用 / スピン-分子振動相互作用 / スピン軌道相互作用 / 異方性磁気抵抗効果 / 摂動論 / 厳密対角化 / スピン緩和 / 摂動理論 / スピン / 分子運動 / スピンー軌道相互作用 / 電気伝導 / 理論 |
Outline of Research at the Start |
いつでもどこでも自動で充電されるスマートフォンは夢のモバイル機器の1つである。その充電方法としてWiFiや基地局からの電磁波によるワイヤレス給電が考えられている。その電磁波は、現在、高速通信に向けてセンチメートル波からミリ波へ高周波化されつつある。さらに将来、テラヘルツ波への移行も一部で予想されている。現状、ラジオ波からモバイル機器への近接給電は実施されているが、ミリ波やテラヘルツ波からの給電方法はほとんど提案されていない。本研究では、ミリ波が分子回転、テラヘルツ波が分子振動を励起することに着目し、その分子の回転と振動がスピンを介して電気伝導を引き起こす機構及びそれを利用した素子を提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は局在スピンを介した分子運動-伝導電子間相互作用Vに関する理論的研究である.このVの構築には,Vに大きな影響を与える伝導(s)電子からd軌道への遷移確率(s-d散乱)を詳細に調べる必要がある.s-d散乱を調べる手法として,電気抵抗が磁化方向に依存する現象である異方性磁気抵抗(AMR)効果がある.我々はこれまでに不純物によるs-d散乱をもとにAMR理論を構築してきた.特にこのs-d散乱では不純物近傍の母体原子1個のd軌道への散乱を考えた.なお本理論の有効性は未だ不明な部分があり,種々の物質に適用することで明らかになると考えられている.今回,本理論をFe4NとCo2MnAlホイスラー合金へ適用し,それぞれのAMR効果を調べた.その結果,これらの物質では本理論が有効であることが確認された.主な結果は次の通りである. 1. 数値対角化法を用いてFe4NのIn-plane,Out-of-plane及びTransverse AMR効果を調べた.電流と磁化の相対角をθとするとき,In-plane及びOut-of-plane AMR効果は2回対称(cos2θ)成分を持つ負のAMR, Transverse AMR効果は4回対称(cos4θ)成分を持つ正のAMRが得られた.またIn-plane及びOut-of-plane AMR比はTransverse AMR比の約4倍になった.これらの結果はFe4Nの実験結果と定性的に一致している. 2. 摂動論によるAMR比の解析式を用いてCo2MnAlのI//[100]のAMR比“AMR[100]”とI//[110]のAMR比“AMR[110]”の実験結果を解析した.解析式に含まれる状態密度等は東北大学・白井グループによる第一原理計算の数値を採用した.計算の結果,AMR[100]>AMR[110]>0となり,実験結果と定性的に合うことが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は主に「立方対称結晶場を持つFe4NのIn-plane,Out-of-plane及びTransverse AMR効果の理論的研究」を行った.この研究では,Fe4NのIn-plane,Out-of-plane及びTransverse AMR比の磁化方向依存性の実験結果を解析し,さらにそれぞれのAMR比のピーク構造の起源をd軌道波動関数を用いて明らかにした.このd軌道波動関数は交換磁場,結晶場及びスピン軌道相互作用を持つハミルトニアンに厳密対角化法を適用することで数値的に求めた.本研究において厳密対角化法を含むプログラムの開発及び数値計算の結果の考察に時間を要した.
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Strategy for Future Research Activity |
1. 立方対称結晶場を持つFe4NのIn-plane異方性磁気抵抗(AMR), Out-of-plane AMR及びTransverse AMR効果の理論的研究の論文を執筆する. 2. 伝導(s)電子からd軌道への遷移確率(s-d散乱)における不純物振動の効果を調べる. 3. スピン軌道相互作用と結晶場を考慮に入れた模型を用いて局在スピンを介した伝導電子-分子運動間相互作用を求める.
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Report
(4 results)
Research Products
(21 results)