格子間原子集合体の一次元運動過程を取り入れた核形成・成長モデルの改良
Project/Area Number |
19K05334
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 31010:Nuclear engineering-related
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 裕樹 広島工業大学, 工学部, 教授 (20211948)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 一次元運動 / 格子間原子集合体 / 超高圧電子顕微鏡 / その場観察 / 照射損傷 / 点欠陥反応 / 欠陥集合体 / 電子顕微鏡 / 計算機シミュレーション |
Outline of Research at the Start |
材料が高エネルギー粒子の照射を受けると、構成原子がはじき出されて結晶に欠陥が導入され、これら欠陥が蓄積することにより材料の強度が劣化する。こうした欠陥蓄積の進行を律速しているのは、格子間原子集合体の高速移動(一次元運動)であると考えられているが、その詳細はよく理解されていない。本研究では、超高圧電子顕微鏡を用いて高エネルギー電子を照射しながら格子間原子集合体の一次元運動を直接観察し、一次元運動過程を理解するとともに、欠陥の蓄積過程をより正確に予測する方法を確立することを目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,超高圧電子顕微鏡を用いた電子照射その場観察により,鉄と銅に形成される格子間原子集合体の一次元(1D)運動を調査し,1D運動が高エネルギー粒子照射下における格子間原子集合体の形成・成長や損傷組織発達にどう影響しているのかを明らかにすることを目的としている. 『熱処理なし』,『バルク熱処理』,『標準(熱処理)』の3つの方法で作製した試料の電子照射その場観察実験から,試料作製時の熱処理により何らかの不純物が導入され,特に高純度銅では格子間原子集合体の形成を10倍以上に上昇させ,1D運動の距離や頻度を低下させていることが判明した.この不純物を同定するために飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を実施したところ,いくつかの元素に対応するピーク強度が熱処理により上昇する場合があった.さらに通常型二次イオン質量分析法(D-SIMS)を用いてこれら不純物濃度の定量測定を試みたが,再現性よく分析下限濃度(おおよそ数~数10 appm)を超える不純物は検出されなかった. 公称純度 6Nの純銅に,ニッケル,シリコン,ゲルマニウム,スズの4種類の溶質原子をそれぞれ濃度を系統的に振って添加した16種類の銅基二元希薄合金を作製した.これら合金から『標準(熱処理)』試料を作製し,超高圧電子顕微鏡(北海道大学JEM-ARM1300)を用いて室温で1250kV電子照射を行い,格子間原子集合体の形成・成長および1D運動挙動をその場観察した.溶質原子が格子間原子集合体の形成と成長及び1D運動にどのように影響するのかを明らかにするために,溶質原子の原子サイズ因子と添加濃度に注目しつつ実験結果を解析している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染症がほぼ沈静化し,出張して行う必要のある照射実験が定期的に実施できるようになったため.
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Strategy for Future Research Activity |
試料作製時の標準的な熱処理により不純物が導入され,高純度材料においてはこれら不純物が格子間原子集合体の形成・成長および1D運動挙動に影響している可能性を指摘した.しかし不純物の素性や具体的な作用の機構は解明できていない.引き続き下記の2つの方法を用いて,これを明らかにすることを試みる. 1) 高純度銅の格子間原子集合体の形成や1D運動挙動と熱処理条件の関係をより詳細に検討する.具体的には,熱処理温度,熱処理に使用している部材や雰囲気を変えて試料を作製し,電子照射実験を行って結果を比較する. 2) 溶質元素と濃度を系統的に変化させた16種類の銅基二元希薄合金の『標準(熱処理)』試料について電子照射実験を実施中であるが,さらに『バルク熱処理』試料を作製して比較する.これまでの純銅を用いた実験によると,格子間原子集合体の挙動に強く影響する不純物は『バルク熱処理』では導入されないため,両者の比較から溶質原子と不純物の影響を分けて検出することが可能になると期待される. 第二のサブテーマにも継続して取り組む.銅などのfcc金属に形成される格子間原子集合体には,1D運動できるプリズマティック型と構造上1D運動できないフランク型の2種類がある.微小格子間原子集合体の型の同定法は確立されていないため,高エネルギー粒子照射下ではどちらの型が形成され,また成長とともに両者の比がどう変化するのか明らかにされていない.本課題では超高圧電子顕微鏡による電子照射で微小な格子間原子集合体を導入し,通常型の透過電子顕微鏡を用いていくつかの回折条件で集合体の像を撮影し,像の可視・不可視から格子間原子集合体の型判定を行う方法を検討している.これをサポートするために,新たに微小格子間原子集合体の電子顕微鏡像シミュレーションを実施する計画である.
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Report
(4 results)
Research Products
(8 results)