新規レーザ-分光実験と反応経路探索理論の協奏による桂皮酸光化学過程の体系的研究
Project/Area Number |
19K05387
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
江幡 孝之 広島大学, 理学研究科, 名誉教授 (70142924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 佳哉 広島大学, 理学研究科, 教授 (30311187)
村松 悟 広島大学, 理学研究科, 助教 (40837796)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 日焼け止め剤 / 桂皮酸メチル / 光誘起異性化 / レーザー分光 / 水素結合 / 超音速ジェット / 桂皮酸 / 無輻射過程 / 異性化 / 時間分解分光 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,紫外B光 (280~320nm)を吸収してトランス→シス異性化反応を示す桂皮酸およびその誘導体の異性化に影響をおよぼす置換基効果(内部環境),および水和等の外部環境効果を統一的に解明する。具体的には,我々が開発した新規実験手法(i)UV-DUVレーザー分光,(ii)レーザー蒸発/チャンネルノズルによる超音速ジェットと,(iii)反応経路探索理論(GRRM法)による電子状態計算結果を総合して,桂皮酸の異性化反応に対する置換基および環境効果を統一的に解明し,植物での桂皮酸化合物の光化学反応の解明や日焼け止め剤作成の分子設計等の応用における基盤を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
置換基のついていない桂皮酸メチル(MC)について、低温マトリックス赤外分光実験と超音速レーザー分光実験を行なった。その結果、MCも紫外光を照射することでtrans体からcis体に異性化することを確認した。超音速レーザー分光実験では、桂皮酸誘導体で初めてS1(nπ*)状態を観測し帰属することに成功した。また、S1(nπ*)状態のわずか660 cm-1高エネルギー側にS2(ππ*)状態を観測した。各状態の寿命を測定した結果、S1(nπ*)状態は、ゼロ点準位での寿命が10ナノ秒であるが、エネルギーに上がるに従って急激に寿命が短くなり、ゼロ点付近ですでにT1(ππ*)状態に項間交差で無輻射緩和していることが分かった。さらに、S2(ππ*)状態はゼロ点準位での寿命がすでに10ピコ秒以下になっており、S2(ππ*)→ S1(nπ*)→T1(ππ*)の無輻射過程が進行していることが明らかになった。T1(ππ*)の生成は、ナノ秒レーザーを用いたUV-DUV pump-probe法で確認できた。 次に、MCとメタノールとの水素結合錯体を形成し、水素結合効果を調べた。その結果、MCのカルボニル基にメタノールが水素結合するとS1(nπ*)状態は70cm-1 red-shiftして寿命はあまり変化しないが、S2(ππ*)状態が230cm-1 red-shift して寿命が170ピコ秒と17倍以上も長くなることがわかった。つまり、MCは水素結合すると蛍光特性が上がることがわかった。実際に、シクロヘキサン溶液とメタノール溶液とでMCの蛍光強度を比べると、メタノール溶液の方が蛍光強度が約2倍強くなることがわかった。これらの結果は、ヨーロッパの著名な国際雑誌Phys. Chem. Chem. Phys.にアクセプトされ、現在web siteに掲載されている。また、第35回化学反応討論会でも発表した。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)
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[Journal Article] The Direct Observation of the Doorway 1nπ* State of Methylcinnamate and Hydrogen-Bonding Effects on the Photochemistry of Cinnamate-Based Sunscreens2019
Author(s)
S. Kinoshita, Y. Inokuchi, Y. Onitsuka, H. Kohguchi, N. Akai, T. Shiraogawa, M. Ehara, K. Yamazaki, Y. Harabuchi, S. Maeda, T. Ebata
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Journal Title
Phys. Chem. Chem. Phys.
Volume: 21
Issue: 36
Pages: 19755-19763
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Study on nonradiative decay process and trans→cis photoisomerization of the most simple cinnamate2019
Author(s)
S. KINOSHITA, Y. INOKUCHI, K. NAGAMORI, H. NAKATA, Y. ONITSUKA, H. KOHGUCHI, N. AKAI, Nobuyuki, T. SHIRAOGAWA, M. EHARA, Masahiro, K. YAMAZAKI, Y. HARABUCHI, S. MAEDA, T. TAKETSUGU, T. EBATA,
Organizer
第35回化学反応討論会
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Int'l Joint Research
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