ハイドロトロープとしてのATP:細胞環境シミュレーションによる物理化学的解明
Project/Area Number |
19K05389
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
優 乙石 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (90402544)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | ATP / 蛋白質間相互作用 / 分子動力学 / 分子混雑 / 細胞環境 |
Outline of Research at the Start |
ATPはエネルギーの放出・貯蔵の基本単位として普遍的な役割を担っている。しかし近年、ATPが様々な蛋白質に非特異的に結合し、可溶性や凝集を制御している可能性が示され、細胞内におけるハイドロトロープ(Hydrotrope: 可溶化剤)としての役割が新たに注目されている。これは蛋白質水溶液の液-液相分離や熱変性など巨視的観測によって示されているが、分子レベルの作用機構については不明である。本研究は、ATPの非特異的相互作用が蛋白質動態に及ぼす影響を、①全原子モデルを用いた分子動力学法による細胞環境シミュレーションと、②液体の統計力学を組み合わせ、微視的かつ物理化学的に解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
細胞質内に存在するATP(アデノシン三リン酸)が蛋白質凝集や液液相分離構造(LLPS)の形成を制御している可能性が実験的観測によって示されている(A. Patel and L. Malinovska, Science, 753 (2017))。しかしATPが蛋白質のいかなる部位に作用し、どのような分子間相互作用によって蛋白質同士の過剰な凝集を抑制しているかについては不明な点が多い。本研究課題はこの問題について分子動力学(MD)シミュレーションを中心とした理論的手法によって解明することを目的としている。 本年度は、主に①RNA結合蛋白質FUS(Fused in sarcoma)の低複雑性領域(LCドメイン:以降FUS-LCと表記する)が複数分子溶け込んでいる分子混雑モデルを作成した。これについて、使用する水分子モデルやイオン濃度などを変え、様々な条件下でMDシミュレーションを実行し、凝集体に与えるATPの添加効果を調査した。②細胞質内のに存在する様々な代謝物(ATPなどのヌクレオチド三リン酸や各種イオン)が蛋白質相互作用に与える影響調査するため、前年度までに完了した大規模MDトラジェクトリデータの解析を進めた。具体的な成果については後述する。③細胞環境のように多数の分子が共存する大規模シミュレーションデータを並列的に解析するためのプログラムの開発・実装を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①についてはATP添加による凝集体の不安定化が観察された。また、イオン濃度や水分子モデルの変化が個々のFUS分子の柔軟性に与える影響についてもデータが得られた。②についてはATPやその他の代謝物のダイナミクスに着目し、それぞれの特徴を明らかにした。解析結果をまとめ論文化を進めている。③については実装やベンチマークが完了し学術論文に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にむけて、現在までのシミュレーション結果を整理し、論文として発表する事を優先する。大規模細胞質モデルについては、すでに論文化が進められており、年度前半の論文投稿を目標とする。また、解析プログラムの開発についても引き続き高機能化を推進する。
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Report
(5 results)
Research Products
(11 results)