Project/Area Number |
19K05492
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小林 義男 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (30221245)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | バリウムチオシリケート / 151Eu / メスバウアー分光 / フォトルミネセンス / 光照射 / チオシリケート / ユーロピウム / 内部転換電子 |
Outline of Research at the Start |
不完全4f電子殻を有するEuやDy, Er, Ybなどの希土類元素をドープした蛍光体材料は、様々な光源および液晶ディスプレイに利用されている。Euをドープしたチオシリケート(BaSi2S5 : Eu、Ba2SiS4 : Eu)は、高い発光効率の可視光ルミネッセンスを示し、Siを含むのでシリコンフォトニクス材料としても注目されている。 本研究では、Eu含有チオシリケートの光照射下におけるEu原子の励起状態と準安定状態における電子配置及びその生成メカニズムを内部転換電子メスバウアー分光と放射光メスバウアー分光を応用して解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
希土類元素をドープしたフォトルミネセンス材料は、様々な光源および液晶ディスプレイに利用されている。本研究ではBaチオシリケート(BaSi2S5)にEuにドープした試料中のEuの電子状態をメスバウアー分光を中心に研究した。 Ba(1-x)Eu(x)Si(2)S(5):Eu (x = 0.2, 0.4, 0.7) を作製し、Euの電子状態の加熱冷却による温度依存性および紫外線照射環境変化について151Euメスバウアースペクトル測定を行なった。種々の条件で観測したメスバウアースペクトルは、Eu(II)とEu(III)のそれぞれ1本の1本の吸収線で解析できた。Eu(II)+Eu(III)の全Eu面積強度に対するEu(II)の割合は、温度上昇あるいは紫外線照射により減少し、すべての試料においてEu(III)の割合が増加する結果を得た。 温度変化においては、5℃に保持した試料に比べて70℃の場合では、約25%のEu(II)がEu(III)となり、紫外線照射下では、最大で50%のEu(II)がEu(III)へと変化した。加熱または光照射することにより、Eu(II) (4f7) からEu(III) (4f6) へ電荷移動が起きていることを明らかにした。加熱時と光照射下では、メスバウアースペクトルの異性体シフトと線幅にも違いがみられたことから、熱による励起と光光による励起では電荷移動のメカニズムや遷移状態が異なるのではないかと考えられた。光励起されたEu(III)の異性体シフトは、熱励起による値に対して少しではあるが小さな値を示した。これは、光照射のEu(III)のエネルギー準位が低いことを意味する。光照射した試料は長い残光現象を示したことから、光照射による励起では励起された電子が伝導帯に遷移して、近くの空孔にトラップされ、時間をかけて基底状態に戻っているのではないかと示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
151Euメスバウアー分光法をBaチオシリケートBa(1-x)Eu(x)Si(2)S(5):Euに応用して、発光中心であるEuの存在状態を明らかにしたことは価値があると考える。フォトルミネセンス材料におけるEuの電子状態は2価と考えられているが、Eu(III)が多くあることを示すことができた。 温度変化や光照射下におけるEuの化学状態変化を追跡できたことは、今後の表面状態の研究に欠かせない基礎データとなる。熱励起と光励起では、励起後のEu(III)の電子状態に微妙な差異が現れることも、実験から示唆された。研究は、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の151Euメスバウアー吸収実験により、バルクでのEuの存在状態とその温度や光照射環境で変化を明らかにすることができた。熱励起と光励起では、励起後のEu(III)の電子状態に微妙な差異が現れることも、実験から示唆された。 今後は、Baチオシリケート (BaSi2S5 : Eu、Ba2SiS4 : Eu) の紫外線照射下での長時間発光緩和現象を引き起こす準安定状態電子状態のその場観測をCEMSと放射光メスバウアー法で行なう。CEMSは、申請者がこれまで行なってきたインビーム・メスバウアー分光研究で用いたγ線検出器の技術を応用して、吸収体にBaSi2S5 : EuまたはBa2SiS4 : Euを組み込み、光照射条件で大学の研究室で行なう。放射光メスバウアー分光はSpring8 BL09XUビームラインにおいて紫外光源を搬入して光照射前後でのスペクトル測定をする。
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