Project/Area Number |
19K05754
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38010:Plant nutrition and soil science-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河内 美樹 名古屋大学, 高等研究院, 客員准教授 (40625125)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 亜鉛 / 輸送体 / オーキシン / 植物ホルモン / 亜鉛輸送体 / IAA / ZIP |
Outline of Research at the Start |
主要な天然オーキシンであるインドール-3-酢酸 (IAA) は、濃度依存的に成長を促進・抑制する作用を持ち、環境に適した成長制御に重要な役割を果たしている。申請者はこれまでの研究から、小胞体でIAA-Alaの加水分解により発生したIAAが、オーキシン作用をもたらすためには、小胞体に局在する亜鉛輸送体IAR1によるサイトゾルへの亜鉛輸送が必要であることを示唆する結果を得ている。しかし、IAR1による亜鉛輸送がどのようにオーキシン作用に関与しどんな生理的役割を果たしているのかは分かっていない。亜鉛輸送体IAR1が関わるオーキシン作用機構とその生理的役割を明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ERに局在する亜鉛輸送体IAR1が欠損すると野生株で見られる不活性型のオーキシンであるアミノ酸複合体オーキシンIAA-AlaやIAA-Leu処理による根の伸長抑制が起こらないことが分かっているが、通常の生育条件では野生株と生育差が見られない。IAR1は側根原基や根端での発現が強く活性型オーキシンである遊離のIAAによる成長制御が報告されている場所と一致することから、ある環境ストレス下ではER内で遊離のIAAを生成することで成長を制御しており、そのシグナル伝達にIAR1が必要なのではないかと推測し、乾燥ストレス、塩ストレス、浸透圧ストレスなど、IAAを発生させることが知られている各種ストレス条件でIAR1の発現量に変化がないかIAR1-mGFP発現株を用いた解析、そしてIARが欠損することで生育に不利となることがないか欠損株を用いた表現型解析を行なった。IAR1-mGFPを用いた解析では、塩ストレス、マンニトールによる浸透圧ストレス、亜鉛過剰、亜鉛欠乏、IAA処理、IAA-Ala処理、高温処理、低温処理によるGFP蛍光の変化は見られなかった。欠損株の表現型解析では、IAR1欠損株ではマンニトール処理による側根形成数変化が野生株と異なることが分かった。1週齢の野生株を200 mMマンニトールで処理すると処理3日目に側根の数がマンニトールで処理していない時の6倍に増加し、処理5日目以降はマンニトール未処理時より側根形成が減少していたが、IAR1欠損株ではマンニトール処理による側根数の増加は見られず、処理5日目以降の側根形成減少は起こることが分かった。IAR1は浸透圧ストレスに対する初期の一時的な側根形成促進に必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に行う予定であった実験計画のうち3分の2程度は進めることができたが、コロナ禍のため計画通りに全ての計画を完了するには至らなかった。自然に起こりうる条件での表現型解析とIAR1の発現解析、そしてIAR1-mGFP発現株やオーキシン応答レポーターを用いたストレス応答に対する解析を進めることができた。乾燥ストレス、塩や浸透圧ストレスなど、IAAを生成することが知られている各種ストレス条件で、IAR1が欠損することが生育に不利となることがないかどうかを検証し、野生株で観察された浸透圧ストレスに応答した側根形成数の変化がIAR1欠損によって減少することが示された。また、IAR1-mGFP発現株を用いた解析から浸透圧ストレスによる発現量の変化が少なくとも6時間以内には見られないことも分かった。自然に起こりうる生育条件でのIAR1の表現型を見出すことができ、IAR1の生理的役割を考える上で重要な実験結果を得ることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究からIAR1欠損によって野生株で見られた浸透圧ストレス初期における側根形成数の増加が起こらないことが示され、IAR1は浸透圧ストレスに応答した側根形成において重要な役割を果たしている可能性が示された。IAR1が側根形成の調節にどのように関わるのか、浸透圧ストレスによるオーキシン応答とIAR1欠損の影響をオーキシン誘導性DR5::GUSレポーター導入株を用いて解析する。マンニトール処理によってGUS活性に変化が見られるか、そしてその変化にIAR1の有無が影響するかどうかを、マンニトール処理後経日的に観察を行うことで調べる。また、マンニトール処理以外にNaClなど他のイオンによる浸透圧ストレスによる側根形成数の変化にIAR1欠損が影響するかどうかも調べる。これまでの研究でマンニトール処理をしても野生株とIAR1欠損株の主根の長さに有意差がないことは分かっている。マンニトール処理をした野生株とIAR1欠損株で地上部の生育に差が見られるかどうか、地上部の重量測定や生殖成長への移行時期に影響がないかを調べ、IAR1欠損株で見られた浸透圧ストレス初期の側根形成促進が起こらないことがどのように植物の成長に影響するかを調べる。さらに、膜透過性の亜鉛蛍光プローブを用いて、IAR1の有無による細胞内亜鉛濃度の違いが見られるかも調べる。IAA-AlaやIAA処理、浸透圧ストレス処理によって細胞内の亜鉛濃度に変化起こるかどうか、そしてIAR1欠損がそれにどのような影響を与えるのか、特にIAR1が局在するER周辺に注目して解析を進める。
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