大麦若葉由来葉緑体チラコイド膜糖脂質の炎症性腸疾患抑制作用の解析
Project/Area Number |
19K05936
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
奥 和之 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40549797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 富弘 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (00200189)
宮田 恵多 山梨学院大学, 健康栄養学部, 准教授 (90736290)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 大麦若葉末 / テラコイド膜糖脂質 / 炎症性腸疾患 / 培養細胞 / 炎症性サイトカイン / 線虫 C.elegans / チラコイド膜糖脂質 / 線虫(C.elegans) |
Outline of Research at the Start |
大麦若葉由来葉緑体チラコイド膜脂質は、炎症性腸疾患の発症および症状悪化を抑制する。大麦若葉末の摂取は、炎症性腸疾患(IBD)モデルマウスの炎症抑制と症状緩和を示した。その作用には、大麦若葉の食物繊維効果とともに、糖脂質が関与していると考えられる。本研究では、植物性糖脂質に注目し、培養細胞を用いた腸管炎症モデルによる大麦若葉由来糖脂質の作用機構の解明と炎症性腸疾患(IBD)モデル動物を用いた関与成分を含む画分の炎症抑制作用の確認し、炎症性腸疾患の予防・治療に有効な知見を得るとともに、炎症性腸疾患抑制効果を明らかにし、大麦若葉由来糖脂質の抗炎症メカニズムを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,植物葉緑体由来チラコイド膜糖脂質に注目し,培養細胞を用いた腸管炎症モデルによる大麦若葉末の炎症性腸疾患抑制効果を検討した. 1)培養細胞を用いた腸管炎症モデルとして,ヒト腸管上皮様細胞(Caco-Ⅱ)を用いて大麦若葉の炎症性腸疾患抑制効果を調べたところ,大麦若葉由来糖脂質画分(YBLP-GL)で炎症性サイトカイン(IL-6,IL-8)の強い分泌抑制が確認され,IL-6,IL-8遺伝子発現を抑制した.またTNF-αによるIL-6,IL-8遺伝子の発現に関与する転写因子である活性型Nf-κB濃度を調べたところ,YBLP-GL画分添加で有意に低下し,炎症抑制作用を示した. 2)活性型マクロファージ様細胞として,PMA処理したヒト急性単球性白血病THP-1細胞を用いて炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-1,IL-6,IL-8,IL-12,IL-23,TGF-β)および抗炎症性サイトカイン(IL-4,IL-10)分泌への影響を調べた.炎症メディエーターとして大腸菌O55由来LPSを添加して炎症を誘導したところ,YBLP-GL画分の添加により、炎症性サイトカイン分泌抑制が確認された.一方,IL-4は検出されなかったが,IL-10濃度がYBLP-GL画分で増加し,炎症におけるサイトカインストーム抑制が確認された. 3)実験動物を用いた炎症性腸疾患モデルの代替として,線虫(C.elegans)を用いた腸管炎症モデルを作製し,大麦若葉末由来糖脂質の炎症抑制作用を検討した.化学メディエーターとして,水溶性ラジカル発生剤DPPH,ハプテンとして作用するTNBSおよびムコ多糖のデキストラン硫酸Na(DSS)を添加処理後のIL-6,IL-8濃度を調べたところ,YBLP-GL画分の添加によりいずれも低値を示した. 以上の成果から,大麦若葉由来糖脂質が炎症性腸疾患抑制に有効であると示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
炎症性腸疾患の予防として,植物葉緑体由来チラコイド膜糖脂質に注目し,培養細胞を用いた腸管炎症モデルによる大麦若葉末の炎症性腸疾患抑制効果のタンパク質レベルおよび遺伝子レベルでの解析を進めている. コロナ禍の影響によりCaco-2細胞やTHP-1細胞、細胞培養・遺伝子解析関係の消耗品の入手が難しく時間がかかるため,進捗状況がやや遅れてる.また,実験補助者(学部生)のコロナ感染により研究中断期間があったこと、さらに研究代表者(奥)が慢性腎不全のため、血液透析などの治療が入っていること、治療による貧血、低血圧、低血糖などによる体調不良により、研究の遂行が当初予定より遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
大麦若葉由来糖脂質(YBLP-GL)の炎症性腸疾患抑制作用について, 1)関与成分の単離・構造解析と単離精製した関与成分の抑制作用の確認を行う.昨年度,大麦若葉末より粗糖脂質画分を調製している.分取TLCや分取HPLCによる分画とNMR,LC-MSによる構造解析を行う.また単離成分について,Caco-Ⅱ・THP-1混合培養による炎症抑制作用を確認する. 2)ヒトiPS細胞由来超上皮細胞F-Hisicとマクロファージ様細胞THP-1との混合培養におけるin vitro腸管炎症モデルを用いて,YBLP-GLの炎症性腸疾患抑制を確認する.特に培養後の各細胞を分別回収し,サイトカイン関連遺伝子の発現をRT-PCRにより調べる. 3)YBLP-GLの炎症抑制作用メカニズムの解明を行うため,培養細胞(Caco-Ⅱ,THP-1)を用いて,遺伝子解析によるサイトカインカスケードや転写因子発現への影響を検討する.また遺伝子発現におけるヒストン修飾酵素への作用を調べ,炎症性腸疾患のエピジェネティクス制御におけるYBLP-GLの関与に関する知見を得る. 4)昨年度検討した線虫(C.elegans)を用いた腸管炎症モデルを用いて,YBLP-GLの炎症性腸疾患抑制作用を遺伝子発現レベルでの解析を行う.またC.elegansは,緑膿菌由来LPSによる炎症モデルを用いて炎症性サイトカインIL-17の発現とJACK/STAT経路による遺伝子発現が報告されている.これらを解析することにより,炎症性サイトカインIL+-17によるサイトカインストームの発生おけるYBLP-GLの抑制効果を検討する.これらの成果にて,学会発表,論文化を行う予定である.
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Report
(4 results)
Research Products
(2 results)