Project/Area Number |
19K06325
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41040:Agricultural environmental engineering and agricultural information engineering-related
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Research Institution | Toba National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
白石 和章 鳥羽商船高等専門学校, その他部局等, 教授 (40442454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 和也 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00390401)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 深層学習 / 強化学習 / マルチドリップ栽培 / 果樹 / 温州ミカン / スマート農業 / かん水制御 / 画像処理 / 果樹栽培技術 / かん水技術 / ディープラーニング / カンキツ栽培技術 |
Outline of Research at the Start |
三重県熊野市の極早生ミカンは東紀州地域の特産品であり皮が青い時季に食べられ、出荷時期が早いことから他産地品種との競争力が高い。しかし、高齢化に伴う人手不足から高品質ミカンの安定生産が難しいことが、大きな課題となっている。本研究では安価な可視光画像を用いる強化学習ディープラーニングネットワークによって、熟練者のかん水技術に匹敵する自動かん水制御を実現し「高品質ミカンの安定生産」を可能にするものである。また、本研究により得られた知見を横展開することで、全国の果樹生産技術の向上を目指す。本研究による安価な自律かん水システムは、日本における様々な分野の農業において、応用可能な可能性を秘めた技術である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、三重南紀地区におけるカンキツ類栽培の現状と課題を背景に、AI自律かん水システムの導入による高品質果実生産と経営的効果の実現を目的として行われた。地域特有の温暖な気候を活かし、極早生温州など特徴的な品種の栽培が進んでいるが、担い手の高齢化や小規模経営体の多さが省力化技術の導入を困難にしており、これらの課題に対応するための技術開発が急務であった。 達成目標は、AIを用いた水分管理により、果実の品質基準合格率および出荷比率を向上させることである。具体的には、AI自律かん水システムの導入により、適切な水分供給が可能となり、果実の糖度と肥大を損なうことなく、産地のブランド基準を上回る高品質果実の安定生産を目指した。 R4年度の実証結果によれば、AI自律かん水システムを使用した園地では、品質合格率が大幅に向上し、参加農家においても10%以上の品質向上が確認された。さらにR5年度には、システムの導入園地を拡大し、前年度と同等の高品質果実生産成績を維持し、その有効性を確認できた。 この技術は、現場での樹体水分ストレスの簡易診断を可能にし、データに基づく適切な水分管理を実現することで、高品質果実の生産を促進し、生産者の労働負担を軽減する。今後の展望として、AI自律かん水システムのさらなる精度向上と普及が求められる。これにより、地域産業の持続可能な発展に貢献し、新たな担い手の確保にも繋がることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R5年度の研究進捗がR4年度に比べて順調に進展している理由は、主として以下の三点である。 第一に、AI自律かん水システムの導入範囲が拡大されたことが挙げられる。R4年度では初期段階の実証が行われていたが、R5年度にはその適用範囲をさらに2園地に拡大し、3箇所以上のかん水園地でアプリによる管理を実施した。この結果、システムの有効性が実地で確認され、AIとアプリの双方による管理がR4年度と同等の成績を保つことができた。 第二に、技術の熟成と経験の蓄積が進んだことである。初年度には運用中の課題が多く見られたが、それらのフィードバックを元にシステムの改良が行われ、より安定した運用が可能となったことが示唆された。 第三に、官学連携がさらに強化された点が挙げられる。三重県と鳥羽商船高専との間での技術開発の連携が深まり、研究開発のスピードが加速した。この連携により、地域特有の課題に迅速かつ具体的に対応することができるようになった。 これらの要因により、R5年度には研究がより具体的な成果を挙げることができ、地域のカンキツ類栽培の持続可能性と競争力の向上に寄与していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
三重南紀地区におけるカンキツ類栽培の進展に向けて、R6年度の研究は、AIかん水システムのさらなる改善と効果的な運用を目指す。まず、糖酸度の測定及び高品質果実出荷比率の比較を継続し、AIシステムの精度と効果をより詳細に分析する。これにより、品質向上の具体的な指標を確立する。 次に、園地全体を俯瞰するカメラを用いた水分ストレス推定を実施し、樹体毎に設置されているカメラの推定結果と照らし合わせることで、システムの経済性と効率性を評価する。これにより、必要な経費の削減可能性を検証し、全体のシステムコストを最適化する。 さらに、産地に導入されている営農指導支援システムとのデータ連携を強化する。AIによる推定水分ストレスの状況や糖酸度情報を農家にリアルタイムで共有し、即時の対応が可能となるよう支援を提供する。このシステムの連携により、農家は最適な灌水時期と量を決定し、効率的な水管理が行えるようになる。 これらの方策を通じて、高品質なカンキツ類の安定生産を目指すとともに、地域農業の持続可能性を高める。AI技術のさらなる発展と農業実践への適用拡大が、生産性と経済性の向上に寄与することが期待される。
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